神様と電話、むしろ不安
神様(自称)と会話します。うん、不安はつのります。
『神』から電話がかかってきて、悩むこと数分。未だに、電話には出ていない。バイブにしておいて良かったよね、シリウスがこんなに気持ち良く眠ってるのに、音がしたら起きちゃうし。
「そもそも、圏外になってもおかしくないハズだけどね」
電波がっつり入ってて、ちゃんと4G回線確保されてるし。うーん、謎が謎を呼ぶ。震え続けるスマホにちょっと嫌気がさしてきたが、未だに元気に震えている。
観念して通話してみようと思います。指で画面を撫でて、耳にスマホを当てる。
「もしもし」
『もしもし、やっと出てくれた。いやぁ、出てもらえないかと思った。本来はちゃんと面と向かって謝るべきなんだろうけど、悪かったな』
「いや、そもそもあんた誰」
若い男の声キーンと響いてくる。ちょっとスマホ離しちゃったよ。
『あ、俺? だから、神様』
詐欺、これ詐欺ですか?そもそも、俺神様って名乗るの、どうなんだろう。威厳とかあったほうが良いと思うけど、ないんですかね。というか、神様って本当なんですかね。
『あ、今威厳ないなーとか、思ったでしょ』
「はあ、思いましたけど」
『かーっ、正直だねー』
電話からの音量は相変わらずに大きいので、受話器は耳から話したままだが、向こうから遠慮のない笑い声が聴こえてくる。
「で、ご用件は?」
『ご用件はって、色々聞きたいのはむしろアンタの方じゃないの?』
「いや、それはありますけど。でも、そちらからお電話していただいた? 訳ですし」
かけてきた方が優先だろうと思って話したのだが、それが更に面白かったのか、また向こうで爆笑している。
『アンタ、面白いなー』
「それはどうも」
『さて、こっからは真面目な話。俺も暇じゃないから、手短にアンタの現状話すな』
テキパキ話始めたのは、何故志穂がここにいるのかということと、志穂が使える能力についてだった。
『アンタがそこにいるのは、正直こっちの落ち度なんだわ』
「神様の落ち度……何してくれたんですか?」
『何にもしなかった。しなかったせいで、異次元に落っこったわけ。俺たちは幾つか重なってる世界をそれぞれ管理してンだけどよ』
この世界は幾つかの重なりあった世界がそれぞれ独立して存在している。しかし、それは時々綻んで穴が開くという。その穴を塞いだり、その他異常事態に対応するのが神様の役割らしい。
『ま、簡単に言えば修理人な訳。ただ、俺最近代替わりした新人なんだよな。で、穴直すの忘れてたんだよ』
「で、私は落ちたわけですか」
『そうそう、理解早くて助かるわ。拾い上げるにはそっちの神様にも連絡して色々都合つけないといけなくてな。悪いけど、しばらくそっちで暮らしといてくれよ』
軽く言ったけどね、この人。実は私、泣きそうですがどうしよう。
『こっちが悪いから、ちゃんと便宜はかってやるって』
自信たっぷりに言われたけど、すごい不安。だってこの人、神様らしいけど、新人なんだもの。