〈マシな入口はないのか〉
「キャー!」
「ウワッ!」
アンナとアンリは同じ穴に落ちていった。
「アンリ!アンリ!危険危険!」
「知ってるよアンナ!」
落ちて落ちて落ちて……
けれど出口は見えてこない。
「ほわっ!」
「!?」
急に落ちるスピードがゆっくりになった。
「アンリ!アンリ!」
「分かってるから!」
目を輝かせているアンナにアンリはいちいち騒ぐなと言う。
「あ!アンリ!床だよ!」
「床?」
白と黒のタイルが敷かれている床がみえる。
「いやいやいや。アリスじゃあるまいし、穴の中に床なんて……」
「アンリ、アンリ、不思議な国のアリスみたいだね!」
ノンキなアンナにアンリは呆れ、静かに床に降り立った。
「アンリ、アンリ、夢かなコレ?」
「……ユメ……。ユメは覚まさせない……」
「?アンリ?」
「あ、何でもないよアンナ」
アンリの呟き、その意味が分からなくてアンナは首を傾げ彼をみた。だが、アンリはすぐアンナをみて、何事もない様に笑みを向けた。
「アンリ、アンリ!扉があるよ!」
アンナは白と黒のタイルに囲まれた部屋に降り立ってすぐ、壁と全く同じ柄の扉を指さした。
「アンナ、よく見つけたね」
「だって、アンナだもん!」
アンナはすごい。誰も気付かない様な事に気付き、解けないものを解いてしまう。
「開けようよー!」
「はいはいはい」
ボクにないものを何でも持っているんだ。
「あれ?」
扉を開けると少し小さな扉。またその扉を開けるとまた小さい扉が出てきた。まるでマトリョーシカのようだ。
「……アンリ、私たちは入れるかな?」
「しゃがめば入るよきっと」
それから数枚扉を開けた。最後と思われる扉。ちょうどボクらが四つん這いになっては入れるサイズだった。
「これでもっと小さいのが出てきたら蹴り飛ばしてもいいよね、アンリ」
「アンナ落ち着いて、それじゃぁ開けるよ」
ボクが扉を開ける。するとまた小さな扉が……。
殺気を感じたボクはすぐそこからよけると、アンナが扉を蹴り飛ばした。おかげで扉は粉々。
「これでは入れるねアンリ!」
「う、うん……」
もう少しでボクに当たりそうだったけど……。気にしていない様子でボクの手をとり、アンナは扉の奥に入っていった。




