第3話 華やかなるもの制作中
そういうわけで、俺はその日から手芸同好会に顔を出すことになった。
ちくちくちく。
なれない針と格闘する毎日だ。
とりあえず、メンバー達が初心者用の手芸セットみたいなのをくれたので、それで練習中。
いてっ、ささった!
血が出てきた!
すると、俺の手元の惨状に気が付いたミカエラが手早く手当してくれる。
「大丈夫?」
「なんとか」
正直言うと、ちょっと痛い。かなり痛いけど。
男の子だから、頑張った。
なれない物でぶっさす痛みはやっぱり感じ方が違うな。
日ごろ鳥畜生につっつき回されてる時は、そんなに痛くないんだけど。
手当を終えたミカエラは、俺の手元を見て顔をしかめる。
「えっと、これなに作ってるの?」
「無難に、花かな」
「花かぁ」
腑に落ちないといった表情をされた。
どうやら俺の渾身の作品は、何か別の物に見えてしまっているらしい。
これは、タイトルは花にしない方がよさそうだ。
抽象的な芸術作品っぽく、「華やかなるもの」とか名付けてごまかした方がいいかな。
いや、なんか厨二っぽいな。
他にも犬とか鳥とか詩集したハンカチあるけど、こいつらも別のものに見えてるのか?
「あっ、こっちは豚でしょ?」
うん、見えてるっぽい。
かなり落ち込む。
俺の手芸スキルってかなり底辺レベルなんだな。




