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発見するも

「おー、まさか中身がなかったとはね」

「こりゃあ、無言なはずだ。おい! 次は、その立派な鎧をぶった切るぞ!! そうなりたくなきゃ、さっさと道を」

「……」


 中身がなくとも、話ぐらいは聞いてくれるかなという小さな望みを断ち切るかのように、また無言のまま突撃してくる首なし鎧。

 

「何をのん気に話しかけてる!」


 と、横から容赦なく蹴りにより吹き飛ばすシルム。


「こいつは、ただの操り人形だ」

「何か知ってるのか?」

「ああ。こいつは、魔界で見たことがある。【ソウルドール】という魂や魔力を定着させて動かす人形だ。簡単な命令の術式を刻み込めば、果てるまでどんなダメージを受けようとそれを実行する」


 なるほどな。こいつの場合は、闇の力により動いているってことになるか。


「で? その撃退法は?」

「……完膚なきまでに叩きのめす」

「わかりやすくて助かる。んじゃま、お前ら! 一気に叩きのめすぞ!!」

「あいさー! そんじゃ、先陣はあたしがぁ!!」


 後衛職であるエルカだが、魔力を練り上げながら、勇猛果敢に突撃していく。そんな行動に、クルルベルとシルムは驚愕するが、俺は小さく笑み走り出す。


「おら! お前達も続け!!」

「は、はい!!」

「ちっ! 命令するな!!」

「じゃあ、行くよ!」


 首なし鎧の大降りの攻撃を身軽に回避し、とんがり帽子が取れる。すると、エルカの頭から大きな獣耳が生えているじゃないか。

 耳だけじゃない。

 大きな尻尾まで生えている。普段は、隠しているその耳と尻尾が出る時は、いつも以上に本気の魔法を放つ瞬間なのだ。


「我が炎は、終焉を齎す一撃なり!! 舞え!! 《ブレイジング・ドラゴニア》!!!」


 集束した魔力は、紅蓮の炎を巻き起こし、解き放たれる。

 その姿は、まさに炎の竜。

 頭上から落ちた炎の竜は、その巨体をも飲み込み火柱を上げる。


「そんで、俺達が続く!!」

「任せてください!!」

「この一撃にて沈め!! 操り人形よ!!」


 業火に焼かれようと、攻撃を止めない首なし鎧をクルルベルが縛り、俺とシルムが切り裂いた。


「うん。いいタイミングだったな」


 崩れ落ちる首なし鎧を見詰めながらチュルメGを解除。

 実にタイミングのいい攻撃だったので、シルムを褒めたのだが。


「ふん。貴様が僕に合わせたんだろ? 勘違いしてもらっては困る」


 この通り、俺が合わせたようになっていた。ま、どっちでもいいんだけどな。


「見てください、兄貴! 道が!」


 予想通りだな。この鎧を倒したことで、道が開けた。最初とは違い一本道で、若干幅も広がっているようだが。元々正解の道に行こうとすると、こうなっていたのか? じゃあ、反対側に行っていたら、どうなっていたことか……。


「うし! さっさと調査隊を見つけ出して、ここの謎を解明するか!」

「おー!!」

 

 とは言ったものの。


「ふむ。ただただ一本道が続くだけだな」


 全然変わらない景色、道、いい加減飽きてきたな、こうも変わり映えしないと。青空とか草原だったらまだ良いが、こうも景色がぐちゃぐちゃだとなぁ。


「ねえ? どこかに魔法ぶっ放せば道が切り開かれるんじゃない?」

「おー、その手があったか」

「その手があったかじゃない。そんなことをして、空間が更に歪みでもしたら我々も出られなくなるかもしれないんだぞ?」


 それもそうか……しかし、そろそろ景色とが変わってもいい頃じゃないか? もう十分も歩いてるぞ。


「兄貴。たぶん、こっちです」

「クルルベル? ……なるほど」


 困り果てていたところに、クルルベルが明らかに歩く道がない指し示す。俺は、そこをよく見詰め確認を終えると、迷うことなく踏み出す。

 本来ならば、そのまま落下するところだが。


「見えない道か」

「おそらく、正しい道を見つけない限りずっと一本道をループしていたんだろうな」

 

 探査能力の高いクルルベルが居てよかった。正しい道へと入った瞬間から、今まで通っていた一本道が消え、見えない道が変わりに見えるようになった。


「この先か?」

「そうも限らない。その調査隊とやらは、この道に行かなかった可能性が高い」


 しかし、道が変わってしまった以上このまま進むしかない。



・・・・・



「明らかに怪しいな」

「怪しいですね」


 正解の道らしきところを歩くこと、二分ほどが経ち、また広い空間に到着した。しかし、その中央には明らかに怪しいオーラを放つクリスタルが浮いていた。

 誰でもわかる禍々しい闇の力。

 

「あれを壊せば、この空間もなくなるのかな?」

「だと良いんだが。壊すのは良いが、その前に調査隊を探さないとな」


 結局壊して、そのまま調査隊をそのまま空間に閉じ込めてしまうのは、依頼内容的にはだめだ。


「とりあえず、この周辺を探そうぜ。また見えない何かがあるかもしれないからな」

「はい、わかりました」

「めんどうな……」

「よし、キリバ。あたし達はあっちを探そう」

「おう」


 その後、謎の闇の力が漏れているクリスタルを放っておき、俺達が周辺を探索した。

 

「見つからないな」

「見つからないねぇ。やっぱ、調査隊は他の場所に隔離されてるとか?」


 その可能性もなくはないな。

 一通り探したところで、さてどうしたものかとクリスタルに近づいたところ……俺は、クリスタルをどこかで見たことがあることに気づく。


「このクリスタル、バッカスを封じてたクリスタルに似てるな」

「そういえば……そうだね。って、あれ? このクリスタルの中に何か」


 闇の力でよく見えないが、中に何かが入っている事に気づく。バッカスを閉じ込めていたクリスタルに似ている、そして何かが入っている、調査隊が行方不明……まさか。

 

「どうしたんですか? 兄貴」

「もう探すのは諦めて、そのクリスタルを破壊するのか?」

「なあ、このクリスタルの中。何か入ってないか?」

「クリスタルの中、ですか? ……あっ、確かに」


 俺は、意を決しクリスタルに手をかざして、神力を注入させる。闇の力は、四散しどす黒かったクリスタルは透明に。

 そして、よく見えなかった中が明らかになった。


「この人達ってまさか」

「ああ、おそらく行方不明になっていた調査隊の冒険者達だろうな。クリスタルを砕くぞ」

「うん、任せて」


 中に入っていたのは、俺達が探していた調査隊と思わしき人物達だった。オルベから聞いていた人数と合っているので間違いは無いだろう。

 それにしても、バッカスに続き、違い大陸の冒険者達もクリスタルに閉じ込められたうえに闇の力を注入させられた。これが、あの主様とやらの陰謀だとすれば、いったい何が目的なんだ?


「よし、これで!」


 エルカにクリスタルを砕いてもらい、中に入っていた者達は救出することができた。人数は、三人。その内の一人の女性がまだ意識があった。


「うっ……! こ、ここは?」

「大丈夫か? いったい何があった」

「あなたは……あっ! そうだ! す、すぐ勇者バッカスの下へ伝令を!」

「お、落ち着いてください! いったい何があったんですか?」

「こ、これは誘き寄せの作戦、なんです。あなた方は、キリバさんご一行とお見受けします! 早く、勇者バッカスの下へ!!」


 誘き寄せ作戦? まさか、またバッカスが狙われるのか……だが、あっちのはリーミアとカルミナがついている。とはいえ、行かないわけにも行かないが、ここからだと数日はかかる。

 ……仕方ないな。


「わかった。ともかく、ここから出るぞ。ほら、立てるか?」

「は、はい。ありがとうございます」


 これで依頼は達成だ。後は、このまま調査隊を連れてこの空間から出るだけ。バッカスのことは、俺に考えがある。にしても、またバッカスか。

 なんだかんだで、人気者だなあいつは。

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