31.はっきりいって、の使い方がはっきりいって、おかしい
31 2013/03/08
いま勤務している現場に、オガタさんという上司がいる。
正確には、派遣のオレにとって、現場の社員のかたはお客さんなんだが、細かいことはまあ、いい。
(ちなみに、オレらの仕事はコンピュータ・システムの運用だ。以下に出てくる「運用」とは、システム運用のことである)
オレはオガタさんに、きわめて文学的な意味で影響を受けている。オレの最近の師匠といっていい。
オガタさんはオレが物書きに手を染めていることを知らない。彼と文学について語ったことなど、もちろんない。
それでも彼はオレの最近の師匠なのだ。どういうことか説明しよう。
人にはそれぞれ、独特の言い回しというものがある。口ぐせといってもいい。このエッセイでもさんざ紹介している、うちの残念な同僚タキオカ(彼はオレと同じ派遣だ)にもその傾向が顕著だ。だからオレは、タキオカにも影響を受けているなあ、悔しいけど(笑)
オガタさんは、オレが近年出会ったなかでも、最高に面白い言い回しをするかただ。
「だからタナカがいうには……」byオガタ
この「だから」は、それ以前のどんな文脈も受けていない、ものすごく唐突な「だから」である。ほとんど強調の意味しかないので、「まあ」くらいに訳せばいいだろう。
「今回の運用は、はっきりいってテストだから……」byオガタ
はい、でました本日のメイン・ディッシュです。要らないよ、はっきりいって(笑)
「はっきりいって、不愉快だ」みたいな使い方であれば、まだわかる。が、「今日のおかずは、はっきりいってハンバーグだ」というのは、ちょっとヘンだ。つーか、新しすぎる。
まあオガタさん的には、「今回の運用は本番ではなくテストだから、あんまり気にしなくていいよ」という意味で、強調のつもりで「はっきりいって」を使ったのかもしれない。オレの推測です(笑)
「いや、タナカがいうには……」byオガタ
またタナカ氏だ。タナカ氏はうちらの部署とよく連絡をとる運用担当者で、オガタさんのお気に入りでもある。
ある意見に対して、「いや、タナカはこういっている」というのであれば、まだわかる。対抗的な意見というやつだ。
しかし、そうでない場合でも、オガタさんは「いや、」と否定から入る。これは彼のクセだ。あまりいいクセではないと思う。
たしかに、人にはそれぞれ口ぐせみたいなものがある。オレ自身も「逆に」をよく使うし、「正直」とか「ようするに」を多用する人もいる。
オガタさんの場合は、「だから」「いや」「はっきりいって」の三点セットだ。ものごとや意見を、ことさらに強調したい人なのかもしれない。オレの推測です(笑)
物書きに手を染める者のひとりとして、日常で使う言葉にはぜひ注意したいものだ。オガタさんはオレにそのことを気づかせてくれる。だから得がたい師匠なんです。




