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ウィリアムとマリー


「国を滅ぼす、か。具体的にどうなさるおつもりですか?」


マリーがウィリアムにそう問うとウィリアムは意気揚揚と答える。


「国に戻るぞ!そして第一王子から継承権を取り返す!」


「そんな事が可能でしょうか?」


「うるさい。お前がいれば勝てる。」


「……」

ぶっきらぼうに答えるウィリアムを見てマリーは思う。

この人にとって私はやはり物でしかないのだなと、マリーは思った。マリーとウィリアムはとりあえず国へ戻る道を歩く。しばらくしてマリーは疲れて動けなくなった。


「おい、のろま!何休憩してるんだ!そんな時間はないぞ!」


「申し訳ありません。」


マリーは何とか歩き出そうとするが足に違和感を覚えた。


「いっ……」


「?どうした?」


マリーの足は靴擦れになっていたのだ。元公爵令嬢の彼女にとって長距離を歩くと言うことは慣れないものだった。靴擦れは赤く、皮がめくれて痛々しい。


「……」


ウィリアムは黙った。


「申し訳ありません。後で追いつきますからウィリアム様は先に……」


ウィリアムが屈む。


「?ウィリアム様?」


「乗れ」


ウィリアムはマリーをおんぶしようとしている。マリーはウィリアムに申し訳ないとおどおどして中々乗らない。


「いいから乗れ!」


マリーは渋々ウィリアムの背中に乗る。


「ウィリアム様、ありがとうございます。」


ウィリアムはマリーを背負ってもくもくと歩き続ける。


「ウィリアム様、そろそろ日が沈みます。この辺で休憩致しましょう。」



ウィリアムは黙ってうなづいてマリーを下ろす。そこにウィリアムが大きなテントを魔法でだす。


「今夜はここで休むぞ。」


「はい。」


ウィリアムはかなり疲弊しているようでなにも話さない。沈黙が続く中、マリーが口を開く。


「ウィリアム様、魔力補給しませんか?」


「お前から言ってくるとは想わなかった。元よりそのつもりだ。せいぜい俺の役にたってくれよ?」


「はい。」


ウィリアムは半ば強引にマリーの手を取る。そして魔力を回復した。


「便利だな。」


「そうですね。」


「足を出せ。」


「?」


ウィリアムはそういうと足の靴擦れを治す。


「ありがとうございます。ウィリアム様。」


「ふん、黙れ。」

心做しかウィリアムの頬は付けている焚き火の色に染まって見えた。

その日は夕食を食べた後、テントで休んだ。


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