告白覗き隊
最近、そういえば昼休みにリミがいなくなることが多々あった。ちょっとの間だけ抜けますね、とか先にお昼食べててください、とか。
考えてみればそれは、リミへの告白に関する対応に行っていたのだろう。
そんなわけで今回も、お昼を食べ終えてリミがどこかへ行ってしまった。それを見届けてから、相変わらず達志の頭の上に乗っかっているスライムのヘラクレスが一言。
「なあなあ、リミたんの告白覗きに行かね?」
こんなことを言い出した。
「へっ……何をいきなり? いやそれより、なんでリミのこと知って……?」
「いやそりゃわかるっしょ。リミたんほどの女ならラブレターとか貰ってて当たり前だし」
「言い方がなんかおっさんくさいな」
とはいえ、言いたいことはわかる。リミならばラブレターを貰ってて当然みたいなところはある。それが毎日のように昼休みに姿を消せば察しはつくだろう。
まあそれはそれとして……そこからなぜリミの告白現場を見に行こうという話になるのか。曰く……
「だって面白そうじゃん」
とのこと。告白現場を見に行くなんて趣味悪くねえかと思ったのだが、実際のところめちゃめちゃ気になるから困る。
確かに、見てみたい。いやでも……ぐぬぬ。
「タツも気になるだろ?」
「まあ……」
心の中を見透かされているようだ。とはいっても、リミの気持ちは朝聞いている。誰とも付き合う気がないのだから、相手さんは気の毒だが告白は成功しない。
結果がわかっているのだから見に行っても意味のないような、あるような。
……正直なところ、趣味がとかそういう体裁を除けば本音のところでいうと。
「めちゃくちゃ気になるかな」
「だろ?」
なんだかんだ言っても、変なところで二人の利害が一致した。今は12時の30分になる前だ。どうやら30分に呼び出しをされて、その少し前に移動したというとこだろうか。
急げばまだ間に合う。もう、この際本能のままに行ってしまおうか……
「二人とも趣味悪いですよー」
だがそこで口を挟むのは、今の今まで黙って二人の会話を聞いていたルーアだ。野菜ジュースの紙パックにストローを刺し、それをちゅーちゅー吸っている。
「まあ俺もそう思ったよ。このスライムとんでもねえこと言い出したなって」
「人の意見に賛成したの棚に上げてよく言うよな」
言い出したにしても賛成したにしても、趣味が悪いことに変わりはないと思う。
「第一騒ぎすぎですって、ラブレターの一つや二つ。まったくこれだから男子は」
飲み干した紙パックを綺麗に折りたたみながら、なぜか余裕げにルーアは言う。やれやれ、と肩をすくめるジェスチャーをしているその姿を見ていると、なんだか……
「ルーア、ラブレター貰ったことあるんだ?」
自然とこんな疑問が出てくる。だからこそこんな余裕ぶっているのだろうと。
しかし……その質問を受けたルーアは、突然に固まった。それはもう見事に、ガチンッと聞こえてしまいそうなほどに固まっている。
「ルーア?」
「どうせ私はラブレターの一つも貰ったことないですよー!」
話しかけると、突然叫びだしそのまま教室を飛び出してしまった。びぇええ、という泣き声が廊下からも聞こえてくる。
「デリカシーないんだからタツはもう」
「え、俺のせい?」
なんか恋愛マスターみたいな雰囲気出してたからラブレター貰ったことあるのか聞いてみて、そしたら泣かれて出ていって……俺が、悪いのか?
腑に落ちない。




