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【リメイク連載中】目が覚めたら世界が異世界っぽくなっていた件  作者: 白い彗星
異世界召喚かとテンションが上がった時期が俺にもありました
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まーくん



「そんなわけで、テニス部に見学に来たわけだけど……」


「そんなわけってどんなわけです……」



 結局あの後、シェルリアの後を追いかけ、テニス部が練習している場所へとやってきた。広いグラウンドより少し離れた場所にテニスコートとして活用されている場所がある。


 そこで、部員達が部活動に励んでいる。


 どうやら、男子と女子とで混合しているらしい。男女関係無しに練習したり、試合をしたり……活気にあふれている。その中にいて、一際輝いている人物がいる。



「ひゃあ、部員数も少なくないってのに、あのエルフっ子は目立つなぁ」



 比喩的にだし、物理的にも輝いているように見える。妖精というか、もはや天使のようだ。



「タツシ様……まさか、あのエルフ娘が目当てでテニス部に?」


「んまあ、それもないわけじゃないが……俺元々テニス部に入ってたからなぁ。だから興味は、今んとこ一番」



 エルフ娘、シェルリアがいるからテニス部に興味を持っているのではないかと疑うリミに、正直に達志は告白する。シェルリアへの興味がないわけではない。


 だが一番の理由としては、達志が元々テニス部に所属していたから、というものだ。


 それを聞いたリミは、ちょっと複雑そう。



「あら、もしかして見学ですか?」



 金網越しのコート外から中を見つめていた二人に、ふと声がかけられる。それは、部活動中のテニス部を見ていた二人に対する質問であった。



「あ、はい。一応……」


「テニスに興味あるの? それとも、興味はウチの女連中の方?」



 話しかけてきたのは、灰色の体毛に覆われた、金色の瞳を持つ猫だった。詳しくは、人型の猫。その声色や、女性用のテニスウェアを着用していることから女生徒のようだ。


 猫の獣人。リミのような人間寄りの獣人とは少々異なる。同じく人型ではあるものの、どちらかというと獣寄りの獣人だ。



「この時期に見学って珍しいけど、そんなの気にしにゃいから。にゃんにゃら体験してく? 男の子でも女の子でもウェルカムよ?」


「あ、私はもう、部活に入ってますので……」



 口早に、話し始める猫獣人テニス女子。どうやらぐいぐい来るタイプらしく、すこし少し押され気味だ。リミなんか、達志の後ろに隠れてしまっている。



「えっと、いいんですか?」


「もっちろん! あ、私テニス部部長の三年、ヤー・カルテア。よろしく!」


「ど、どうも」



 体験入部を提案する猫獣人のテニス女子は、テニス部部長であると自己紹介をする。その勢いに押される達志が自己紹介する前に、ぐいぐい引かれてテニスコートの中へと連れられる。



「おーいまーくーん! まーくんやーい!」


「その呼び方やめてください!」



 テニスコートに引っ張られ、達志に続くようにリミもコート内へ。引っ張っていくヤーはおそらく名前だろう、を呼び、それに答えるように誰かが駆け寄ってくる。


 それは……



「部長、その呼び方はやめてくださいと何度も……い、イサカイ!?」


「あ、マルちゃんだ」



 駆け寄ってきたのは、達志も見知った人物……マルちゃんことマルクスだった。彼も白いテニスウェアに身を包んでいる。



「マルちゃん言うな!」


「およ、お二人は知り合い? にゃら話は早いにゃー。あのね、この子体験入部したいんだって。だからちょっと相手したげてよ、まーくん」



 あれよあれよという間に体験入部することになってしまっているが、この際少しくらいいいかと思い始めている。



「体験、入部……? ……いや、それよりまーくん呼びやめてくださいと……」


「じゃあマルちゃんがいい? かわいいし」


「いやだから……まーくんでいいです」



 まーくんもマルちゃんもやめてくれと言うのに、聞く耳持たないヤーの言葉にマルクスダウンだ。今のやり取りだけで彼の苦労が察せられる。


 それにしても、まーくん……ヘラクレス命名のマルちゃんに比べて、こちらの方がかわいく感じる。呼んでる人が、スライムに対して女生徒だから、というのもあるのかもしれない。



「うん? イサカイ……もしかして、復男のイサカイ タツシくん!?」


「へ?あぁ……そうですけど、復男?」


「復学男子、略して復男!」



 パッと思い浮かんだことに食い付く辺り、この人もクセが強そうだ。思わず後ずさってしまう。


 どうやら、シェルリアが知っていたように……達志の噂は広まっているらしい。三年のヤーが知っているならそれこそ全学年レベルで。


 別に噂が嫌なわけではないが、噂の中心にいるというのはなんだか恥ずかしい。



「ほーほー……普通の男の子だね」


「当たり前です」



 達志のことをまるで観察するように……というか観察していたヤーであったが、何か期待でもしていたのかなぜか少し残念そうだ。


 だがそう言われても達志の知ったところではない。十年寝てても普通の男の子だもの。


 達志をなめ回すように観察していたヤーをじぃっと見ているリミをチラ見しているマルクス。異様な光景の中心にいる達志はちょっと居心地が悪い。


 ……が、そこで静寂を破ったのはヤーだ。



「まっ、それはそれとして体験入部、楽しんでいきなよ! ほんじゃ、いろいろ教えたりしたって、頼んだよ副部長!」



 あはははと笑いながら達志の背中をバンバン叩き、最後にマルクスの背中をパンッと叩いてヤーは部員達の所へと戻っていく。


 出会って数分だが、騒がしい人だな……というのは痛いほどわかった。


 で、残された三人。ヤーが残した言葉を思いだし、達志は驚いた表情で……



「お前……副部長なの?」



 見た目だけならガチガチの不良で、副部長なんていうメンバーをまとめるなんて恐怖政治でくらいしかムリそうなのに。


 しかし、ヤーの対応や、対するマルクスの態度はそんなことはない。やはり中身優等生か。



「あぁ、そうだ」



 副部長であると主張するマルクスは、どこか誇らしげだ。どや顔だ。もしやリミに、いいところがあるとアピールしようとしているのだろうか。


 まあ、どこの誰だかわからない人に教わるよりも、知った人物の方がいくらか気が楽だ。それに、見た目はあれだがスライムや中二娘に比べれば真面目に教えてくれそうである。



「じゃあせっかくだし、やってみるかな。いろいろ教えてくれよ、マルちゃん副部長」


「マルちゃん言うな」

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