第九話
ついに全国大会当日をむかえた。
「マリコ先輩来ていますかね?」
私は美咲先輩と二人で全国大会の会場に来ていた。マリコ先輩は……結局、今日まで一度も私達の前に現れることはなかった。
「だ、大丈夫よ! マリコちゃんを信じましょう」
メールしても返ってこない。電話しても出てくれない。家に行ったら「マリコは山篭りしてくると言って出て行った」とマリコ先輩のお母さんに言われる。警察に捜索願を出しても見つからず。人気占い師『ミセスブラウン』に占ってもらっても居場所がわからず。『見つけた人には懸賞金1万円!』という手配書を町中に貼っても見つからず。
私達は貴重な3日間を練習ではなく、マリコ先輩を探すことと懸賞金の1万円を稼ぐための日雇いバイトで費やした。それでも、マリコ先輩は見つからなかった。だから私達はマリコ先輩のことを信じて、とりあえず二人だけで全国大会の会場まで来たのだ。
『村岡高校の選手は集まってください。10分後に試合を開始します』
会場にアナウンスが流れる。まずい、このままでは人数がそろわなくて不戦敗になってしまう。マリコ先輩! どこにいるんですか!!
私はとにかく会場の隅から隅までを見渡してマリコ先輩を探した。
『村岡高校の選手は直ぐに集まってください』
しかし、時間は無常にも過ぎていく……。もう、本当にダメかもしれない。私が本気であきらめかけた時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。