プロローグ
昔から花がすきで花言葉や、由来をよく調べていました。花言葉で人物像を描いたり能力を想像したり、設定など時間をかけて沢山考えました。
初心者だから拙い書き方ですが頑張って描きます。
楽しんでくれたら嬉しいです。
世界の中心を貫く巨大な聖なる樹――天鵞絨の大樹。
その深い緑の葉は、遥か天空をも覆い隠すほどに広がり、枝はまるで無数の命の糸を紡ぐかのように揺れている。静かに、しかし確かに、この大樹は世界の鼓動そのものを宿していた。
大樹の根元に広がる神聖な森は、季節の変わり目とは無関係に花々が咲き乱れ、薄い霧が漂う。
森の浅瀬は多くの者たちにとって憩いの場であり、花見や霧の森散策を楽しむ観光客で賑わう。 しかし、森の奥深く、天鵞絨の大樹の影に潜むのは、人知れぬ戦いの舞台だった。
魔怪物「シェイド」
その正体は形を変え、増殖を繰り返す厄介な存在。
触れられた者は「呪傷」と呼ばれる呪いの傷を負い、激しい痛みと共に身体や精神が蝕まれていく。呪いは生物だけでなく物にも及び、周囲の環境を汚染し続けるため、被害は瞬く間に広がった。
この呪いと戦えるのは、ただ一握り――
「花使い」
と呼ばれる者たちだけであった。
彼らは天鵞絨の大樹に選ばれし者たちであり、季節ごとに異なる加護を授かり、呪いの影に抗う特別な力を持つ。
四季の守り人としての彼らは、
春の生命力を
夏の熱情を
秋の切なさを
冬の静謐を
それぞれ胸に秘め、巡りゆく季節の中で試練を乗り越えながら大樹を護っている。
だが、その絆は決して穏やかなものばかりではなかった。
家族のように結ばれ、
友達のように笑い合い、
ライバルのように切磋琢磨し、
時に運命共同体として支え合う。
彼らの間には、深い秘密や葛藤が複雑に絡み合う。
その日、大樹の鼓動がいつもより強く響いた。 森を覆う霧が濃くなり、花霞が幻想的に揺れる中、呪いの歯車が音を立てて動き出す。
それは始まりの合図――
運命の歯車は、静かに、確実に回り始めたのだ。
彼らはまだ知らない。 この大樹の鼓動に導かれ、やがて自分たちの力が試される戦いへと巻き込まれていくことを。
命を懸けて守るべきものが、彼らの絆が、世界の運命が、今まさに動き出そうとしていることを。
森の奥、薄闇の中で、
魔怪物シェイドの影がじっと彼らを待つ。
霞の向こう、守り手たちの物語が今、始まろうとしている――。