第三話-リスタート
いつも通り添削は雑です、
何かミスがあればご指摘ください。
感想、ブクマなど是非お願いします。
第三話-リスタート
勇者はとても暗く先の見えない場所で目が覚めた、うつ伏せでなぜか倒れ込んでいる、ここはどこだろう?
自分の周りには果てしない闇が広がっているのだが、なぜか手足がしっかりと見える、だが足場があるのかわからない不思議な空間、とりあえず立ち上がり手当たり次第適当な方向に進む。
進みながら人を探してみる。
「だれかー!いませんかー?」
声は闇に吸い込まれて、だれからの返事もなかった。
こんな調子で人や物を探し回ったが、自分の立つ地面以外何にも触れることができなくて、自分の声と足音以外何も聞こえない。
そんな場所に不安を覚えながらとりあえず手当たり次第探索していると、目線のかなり奥の方に急に白い光が現れた、その光の出所はトンネルの出口みたいな半円状の穴になっていて放射状に広がっている、冷静な勇者はちょっと進んだだけでなんでこんなに暗いところから急に光が見えるんだよ、と思った。
今のまま探索してもどうせ何も見つからないと思った勇者は何かないかと近づいてみる、光はあるのに周りが暗くて何も見えないのが不気味で、今すぐに抜け出したい。
周囲に何もないことが分かった勇者は光の方を目指して歩みを進める。
その光はどんどんと大きく、近くなっていった。
常に周囲を警戒しながら恐る恐るその光に近づくと、見覚えのある人が二人立っていた。
「えっ…!?」
黒いローブを着た長身の男ととんがり帽子に濃緑のワンピースを着ている女、間違いないフィリアとシヴァンだ!
自分の状況を忘れて無我夢中で二人に向かって駆け寄り、声をかける。
二人のすぐそばまで来た勇者が近づきながら喋り出す。
「フィリア!シヴァン!良かった…!」
急に走ったからか勇者は少し息が荒い、呼吸を整えながら二人に近づいているその時だった。
「二人とも…い…」
二人に触れれそうなほど近づいたところで急に落とし穴でも踏んだみたいに足を踏み外した、暗闇に吸い込まれるように下に落ちる。
「うおっ!?」
そこだけ足場がなかったようだ、どこもかしこも暗黒で覆われていて勇者は気づくことができなかった。
そのままものすごい速度で下に落ちていくのを肌に刺す風圧で感じとるがどうしようもない、左右を見ても、身を翻し上を見ても、果てしない黒に覆われていて何もわからない、そのまま落ちていく。
どうにかしようとか考える暇もなくそのまま暗闇の底に叩きつけられた、意識がどんどんと消えていく。
「うっ…」
次に目が覚めたのはフカフカの布団の上だった、落下した時の衝撃にびっくりして思わず体を起こす。
勇者は焦って手足と身体を見る、怪我も何もないようだ、それともう一つ気づいたのが何故か白いパジャマのような服を着ていた。
勇者は周りを見渡して、今のが夢だったと気づいた。
「また宿屋か…?でもどこだここ…?」
状況は掴めないがさっきのが現実でなく夢とわかるや否や心身共にドッと疲れた。
「んー…またかぁ…」
夢から急に覚めた上にいきなり体も起こしたせいか、体がだるい、後頭部の辺りが何かぐわんぐわんする。
また夢か…
目をこすりながら時のことについて思い出そうと頑張る。
のだが直近で2回も悪夢にうなされていた上勇者は朝に弱いというのも重なって、ものすごいだるくてめんどくさい。
やるべきことはいくらでもあるんだろうが全く気分がのらないし身体がうまく起き上がらない、さらに背中から腰のあたりが重たい、どうにか頑張って身体を起こそうとしてみたがどうでも良くなってきた、予定を寝坊しすぎて匙を投げたみたいな状態だ。
体にかかっていた毛布を顔まで引き上げた、頭が痛くて動きたくないからもう一度寝たい。
小さい子供の頃からそうだった、どんなに重要なことがあっても朝だけは頭も体も全く動かなかった、まだ両親がいた時、自分が誕生日の日の朝に親が「ハッピーバースデー!」って元気に言ってくるけど眠すぎて「うん…」とだけ言って、ご飯食べて部屋に戻って二度寝してた。
そんな感じでとてつもなく怠惰な勇者は周囲の状況確認を一旦後回しにして、身体がだるくなくなるまで待つことにした。
でも流石に何もしないのは違うという謎の理念があった勇者はまだ寝ぼけた頭で魔法陣を破壊してからの記憶を振り返ってみる。
あれからどうなったんだっけ?
俺が殴ったらパリィン!つって魔法陣が割れて、その後、世界が割れた鏡みたいに崩れていって、崩れたところから白い光が出てきて、その光に包まれて…そんでそれからは…わかんねぇや。
頭が回らないのもあったがそれからの記憶を全く覚えてない。
まぁあの魔法が起きた瞬間の事は多分さほど重要なことではないだろうと思った勇者はそれについて考えるのをやめた、問題はその後。
とりあえず時は戻ったのか?ていうかここはどこだ?という問題だ。
今になってあまりにも現実味のない時を戻すとかいう出来事が信じられなくなってきた。
というか普通に考えて時が戻ってるかどうかなんて、どう考えてもわかるわけない。
今自分の視界には毛布しか映っていないので、まだ身体のだるさはとれないが待つのをやめて仕方なく周りを色々と調べることにした。
バサっと身体から毛布を乱暴に引き剥がす、うつ伏せに一回転がり全身を使って再び起き上がり、あぐらの状態になる、ぼやける目を擦って背伸びとあくびを同時にする。
そして肩の力を抜き、腕をストンと下に落とす。
「んっ…しょっ…とぉ」
やっとこさ重い体を起こした勇者は、状況を把握しようとベッドの上を四つん這いになって動き出した。
このベッドでかいな…キングベッドか?ベッドがあるってことはここは多分宿だな………!そうだ、ここ俺たちが初めて泊まった宿か、懐かしいなぁ。
少しずつ状況を掴みかけていたその時。
毛布の上から何か硬いものを手で踏みつけた。
「ぐえっ!」
中から潰れたカエルのような声が聞こえた。
「うわっ!」
その声に驚いて後ろに飛び跳ね尻餅をつく。
この声…まさか…
毛布の中から聞き馴染みのある声と共に出てきたのは
「なんすかノアさん…まだ眠いッス…」
可愛らしい白髪の女性だった、ロングヘアに整った顔立ち、白くてお餅みたいな肌に快晴の青空みたいな水色で透明感のある美しい目、清潔感のある容姿、寝起きで髪が少しボサボサだが間違いない、彼女はフィリアだ。
寝ぼけて目を擦っている。
「朝早いッスね、ノアさ…」
フィリアが勇者の方に目をやると勇者はポロポロと涙を流し泣いていて、勇者の顔は色んな感情で顔がぐしゃぐしゃだった。
「えっ!?どうしたんスかノアさん!?…」
その透き通った声と、特徴的な喋り方、間違いない。
そう確信した勇者は自分を心配して急いで起きあがろうとしたフィリアに向かって泣き叫びながら身体の上に飛び乗る。
「フィリアぁぁぁぁぁぁ!」
「えぇっ!?何してんスかぁ?!」
フィリアは突然の出来事に驚き勇者に向かって思わずそう叫んだ。
が勇者は今再び会えたことに興奮しすぎてフィリア以外何も見えなくなり、何の音も聞こえなくなっていた。
「会いたかった…!また…!」
小さくそう言うと勇者は飛び乗った勢いのままフィリアを優しく抱きしめる。
時は…戻ったんだ…!
また会えた幸せを噛み締める、ふとフィリアとシヴァンが死んでしまった時のことを思い出すとまた目に涙が込み上げてくる。
あの日守れなくて本当にごめん…!今度は絶対に守ってみせるからな…!
言葉には出来ないがそんな思いが熱く込み上げてくる。
しばらく抱き締めてからふと自分が泣いていることに気づいた勇者はフィリアに涙を見せぬよう抱きついたままの姿勢でベッドのシーツに顔面を押し付けて涙を拭う、そしてフィリアの体を離して勇者は再び四つん這いの状態になる。
夢じゃないよな、これ…本物だよな。
思わずまだ夢ではないかと疑ってしまう。
勇者にとって一度死んだはずのフィリアが自分の目の前にいるのはそれほど嬉しかった。
この夢のような出来事に感極まりニヤニヤと身体の震えが止まらない、喜びが込み上げてくるとまた泣きそうになるが、奥歯を噛み締めてそれを堪えた。
フィリアに対して言いたいことが沢山ある勇者だったが今までの旅のことは時が戻ったのなら多分伝わらないと思った勇者は自分の中で決意を固めてフィリアに向かってこう言った。
「今度こそは守ってみせるからな、フィリア。」
フィリアに意味がわからなくてもいい、勇者はただ彼女にそう伝えたかった。
ちょっとの静寂の後、フィリアがものすごい小さな声で唸りこう言う。
「…うーん…ありがと…ッス…」
勇者は何を言われるかと思ったらなんだかよくわからない返事が返ってきて首を傾げる。
ん?なんか変な感じだな…
なんだろう?言ってることが分からないにしても変な返事だ、「どういうことスか?それ。」とか言ってきそうなもんだが、なんか変だ。
「どうした?具合悪いのか?」
さっきから涙と興奮で気づかなかったがフィリアの顔がとてつもなく赤い、もしかしたら体調が悪いのかもしれない。
フィリアの異変に気づき冷静になった勇者は顔を覗きこむように近づけるとフィリアの顔がさらに赤くなって、目が色んな方向に泳ぎ始める。
そして次の瞬間、フィリアが突如叫び出した。
「う…う…ギャァァァァァァァァァッスぅぅぅぅ!」
鼓膜が破れるかと思うほどの大きな声が部屋中に響き渡る、勇者は何が何だかわからない。
とりあえずなんかフィリアが何故か怒っている様なのでとりあえず落ち着けようとしてみる。
「お、落ち着けよ、どうしたんだ!?」
「さっきから何してるんスかぁ!ノアさん!」
顔を赤くして半泣きになりながらフィリアが叫び返す。
「何?何って何が…」
周りを見渡した勇者はこの状況にハッとした。
自分たちがどんな体勢をしているか気づいたのだ。
仰向けのフィリアの腰の辺りに勇者が跨りあたかも押し倒して乗ったかのような状態だった、いつナニが起きてもおかしくないようなえげつない体勢のまま、抱きしめたりしていたのでフィリアが叫ぶのも無理はない。
それに気づきかなり焦り始めた勇者は慌てて四つん這いから膝立ちの姿勢になり、フィリアから目を逸らす。
やばいと思った勇者はフィリアの顔をチラッと見る。
見てみるとフィリアは涙目で顔を赤くしながらムスッとした表情でこちらを思い切り睨みつけていた。
「何してるんスかぁ〜…」
「いや、えっ…あっ…ぐっ…」
こっちも急に恥ずかしくなり声が出なくなって手のひらで顔を抑えながら俯いてしまう。
「私、ノアさんのこと見損なったッス!」
緊張と羞恥心で今すぐにでも退かなければならないのに上に跨ったこの姿勢から全く動けなくなった挙句、フィリアの放った一言で頭が真っ白になる。
頭を真っ白にしていたら急に部屋の出入り口の扉が勢いよく開き、この色々とまずい状態の中、部屋に誰かが入ってきた。
「おい!大丈夫かお前ら!今フィリアの声が…お前ら何してんだ!」
その声でハッと正気に戻り、まずい!と思った勇者は扉の方を見ようとしたが、動くよりも先に下からものすごい強さの平手打ちを喰らった。
油断していた勇者の左頬に激震が走る。
勇者はその時のことを後に、下からその威力出るの?ってくらい強かった、もはや魔法使いの物理攻撃の強さじゃなくね?と語ったという。
膝立ちの状態だった勇者は布団から扉の前まで大体ニメートルちょっと吹っ飛ばされ、床に頭から落ちてしまった。
吹っ飛び、仰向けに倒れ込んだ勇者に金髪の作務衣を着た男が手を差し伸べてきた、その手の主はシヴァンだった。
「何してんだ、お前ら…」
あんなところを見せられて誤解を招いたのだろう、ものすごい勘違いをしている様だ。
「シヴァン…」
シヴァンと再会できた喜びと後頭部と頬の痛み、そして最愛の女性から打たれた悲しみ、まだ残っている羞恥心、色々な感情で気持ちがぐちゃぐちゃになる。
シヴァンの手を掴もうとしたその時、なんだか意識が朦朧としてきた、まぁまぁ頭を強打したからだろう、ぼーっとして徐々に目が閉じていく。
「二人とも…」
そう言って勇者はまた気を失ってしまった。
気を失う瞬間、散々だけど今度は夢じゃなくて良かったと勇者は思った。
少し遅れたのは本当にすんまへん…
でも割と忙しくても4日〜1週間もあればそこそここだわれることに気がつきました。
これからも頑張るのでよろしくぅ。




