第7話
第一章は、一話をかなり長めにとっていたのですが、正直かなりキツかったです・・・
一話で進みすぎないように・・・でもダラダラしないように・・・
とか考えていたら、更新が途絶え・・・
——————というわけで、第二章からは文字数少なくすることにしました! 区切りもいいしね☆
あと、冬休み期間中はなるべく毎日投稿できるようにがんばります! ・・・なるべく!
「おはようカリスタ。今日は何を作ってるんだ?」
「あ、お兄様おはようございます! 今日は王都に出荷する回復ポーションです。爆発の心配はありませんから、安心して仕事をしてくださいね!」
「ゔっ! ……はいはい。カリスタに言われちゃったら、仕事しないわけにはいかないよなぁ」
「頑張ってくださいね!」
「頑張る! お兄様めっちゃ頑張る!」
私に応援された瞬間、眠そうだった目がパチリと開いたのは、ヴァージルお兄様。
今日もやっぱり仕事をサボろうとしていたようなので、釘を刺しておいて良かった。
お兄様が仕事をしなくなったら、すぐにこのプラタナスの塔からジェフリーズ伯爵家の本邸に連れ戻され、お父様の近くで仕事をさせられることでしょう。
そうなったら、私が自由に実験できなくなるじゃないですか!
ま、まあ少しは寂しいからってのもあるけど、お兄様には後片付けのために近くにいてもらわないと!
「ポーションって、意外に簡単に作れるものなんだな。もっとこう、複雑なものかと思っていた」
「そうですね。基本的には数種類の植物をすりつぶしたり、発酵させたりするだけなので」
「結構面白そうだな」
「楽しいですよ。それよりも……なぜここにいらっしゃるのですか? 殿下?」
そう。私が今ポーションについて話していた相手は、この国の王太子、アイザック・クロティルド殿下である。
─────いや、なぜこの国の端っこの方の塔に殿下が!?
いくらお兄様が早起きが苦手だと言っても、まだ朝早く、小鳥がピヨピヨと鳴いている。
そして、転移魔法陣があるとはいえここは王都からは遠すぎる。
多分魔力消費がものすごく大きいのではないでしょうか?
……私は魔力がないから、どのくらい消費するのかはわからないけど。
「ん? また来ると言っただろう? 約束を守っただけだが」
「王太子様は、公務で忙しいのではないでしょうか。それなのに、二日に一度のペースで来るなんて……」
「公務は昨日のうちに終わらせているから問題ない」
「そ、そうでしたか……」
初めのうちは、『なんでこんな朝早くから来るんだー!』と驚き、怒り、ちょっと引いていたお兄様も、もはや慣れてきてしまっている。
殿下は常にアンダーソン様とステップニー様を連れているから、『2人きりでないのなら、まあ……』と諦めているよう。
————だからといって、王太子殿下相手にもてなすどころか、大寝坊&ほったらかしを決め込んでいるのはどうかと思いますが…
え、でも、そういう問題ですか?
一国の王太子様が、こんな守りも弱い塔に入り浸るなんて……
こんなに塔に通っているのに、貴族社会で噂になっていないのは奇跡ですよ!?
なんでもその噂を流させないようにするため、そして殿下が塔に通う時間を作るために、ヴィクターお兄様はめちゃくちゃ働かされているそう。
─────お兄様ごめんなさい
本人としては、殿下の私欲のためとはいえ、正式に側近として昇格できたから気にしていないらしいけれど、家に帰る日が以前の半分くらいになっているとか。
まあ、そういう私もなんだかんだで塔に入れてしまっているし、全くもてなしていないから、あまり人の声は言えないですが……
「これをすりつぶすのか?」
「はい」
「それで、こっちで火にかけると」
「はい」
「その実を入れれば魔力を入れられるのか?」
「はい」
「で、私と婚約してくれないか?」
「はい……じゃないです! いいえです! お断りさせていただきます!」
流れに任せて聞かないでほしいわ…
危うく『はい』って答えちゃうところだったじゃない。……すぐに訂正したけど、実際言っちゃったわね。
殿下はずっとこちらを見つめていた視線を逸らし、小さく舌打ちをする。
『引っ掛からなかったか……』じゃないですわ!
「殿下、いい加減に諦めたらどうですか? 私は王太子妃になんてなれないし、なるつもりもありません」
「私が王太子でなければ良いのか?」
「今の王位継承権を持つお方は殿下しかいらっしゃらないし、私と婚約なんてしたら醜聞で体が見えなくなるくらいになりますよ?」
「そんなの気にしないが?」
「私が気にしますわ!」
ほら、ステップニー様もアンダーソン様もハラハラしていらっしゃるではないですか。
あの日の事件—————殿下ドーナツ事件なんて呼ぶのは不謹慎かしら?—————の後からずっとこんな感じで、周囲の苦労とストレスが大変なことになっていそうですわ……
「殿下、カリスタはそもそも結婚する気なんてないのですよ。いい加減あきらめられては?」
「ヴァージル殿、私はこの国の王太子だ。あきらめるはずがないだろう?」
「しかし、カリスタが愛すのはポーションとこの私ヴァージルだけです」
「お兄様。お兄様以外にもちゃんと大切な方はおりますのでそこは訂正していただきたいです」
「かりすたぁぁぁあああ!! そんなこといわないでよぉぉぉおお!!」
あら、わざとらしく決め顔で会話に入ってきたと思ったら、いつも通りで安心しましたわ。
いつも通りちゃんとシスコンと若干のナルシスト…というよりも自己評価が高いですね。
「それはそうとヴァージル殿。私が欲しいのはカリスタ嬢だけではない。優秀な魔法使いである貴殿も、ぜ宮廷魔法使いとして欲しているのだ」
「もちろんお断りさせていただきます。過去に何度も伝えている通り、私は自由に魔法を使いたいのです」
「そうか。だが私はあきらめが悪いからな。何度でも声をかけさせていただくよ」
「でしたら、私も何度でも断らせて頂きましょう」
私には魔法のことなんてわからないけれど、お兄様はなかなかに優秀な魔法使いらしい。
それこそ、なんでこんな塔でだらだらと執務をしながら妹に絡んでいるのか謎なほど。
お兄様の実力なら、高給取りの道は約束されていたと聞きますが、それよりもシスコン魂が勝ちましたのね……
「さてカリスタ嬢。今日はもう一つ伝えなくてはならないことがある」
「何でしょうか」
「この度、君は王族である私の命を救った。よって、父から正式に勲章が授与されることとなった。そのために王城に出向き、勲章を授与された後はパレードに参加しなければならない」
「……はい?」




