訓練2
突進してきたウィドを跳ね返そうと思わずはね返すバリア"リフレクター"を張る。
しかし、衝突する直前にリフレクターはパッと消える。
そして、ウィドはオレの目の前で止まり、
剣を持つ手をはらい剣を落とした。
「バリアに集中しすぎて他のところに目がいってないね。
これなら楽勝だよ。」
そう言いながら殴りかかってくる。
またリフレクターを張るがなぜかオレがはね飛ばされた。
飛ばされた先で木に当たる一歩手前で止めるバリア"アブソーバー"を使って止めた。
「さっきまでの方が手応えあったかな?
僕と同じような使い方はいきなりできないと思うよ。」
同じ使い方はできない…か。
確かにウィドがどうやってオレの張ったバリアを破ったのか分からない限り同じ戦い方は不可能だ。
バリアは最小限に…意識を剣に集中させる。
「目が変わったね…やだなー。
もう訓練終わりにしようか?」
ここで終わるなんてとんでもない。
剣を握ってウィドに斬りかかりに行く。
ウィドは至るところに様々なバリアを張るが避けながら剣の間合いまで近寄ったところで剣を振るう。
バシュ!!
しかし、始めと同じようにはね返される。
ウィドは腹を殴ろうとしているが…、
オレは跳ね返った剣の後ろにリフレクターを張った。
剣は跳ね返され再びウィドに振りかかる。
バシュ!!!
今度はウィドの近くで止まった。
やばい…ウィドの拳が腹に到達しかかっている。
思わずアブソーバーを腹に張った。
バシッ!
腹にウィドの拳が突き刺さる。
跳ね返されはしないが普通に痛い…、
そうか、リフレクターとアブソーバーはお互い打ち消すのか。
ウィドは一瞬驚いた顔をしたが、
すぐさま蹴りを繰り出してきた。
今度はリフレクターを張って蹴りを受ける準備をし、
剣を構え直す。
しかしまたしても蹴りはリフレクターを破り頭に直撃した。
「うっ!」
そのまま飛ばされ地面に倒れそうになったがリフレクターで跳ね返してウィドと間合いをとった。
ウィドはオレを殴った手と蹴った足を見ながらぶつぶつ言っている。
「痛い…。」
しばらくは襲って来なさそうだ。
この隙に考えを整理しよう。
どうやらリフレクターとアブソーバーをぶつけるとバリアは消える。
とするとアブソーバー同士だと当然止まるとして、リフレクター同士だとお互い跳ね返されるといったところか?
じゃあ仮に剣にアブソーバーを張ったら剣が通るか当たったところで止まるか剣が通るか。
リフレクターを張っていたら…、
剣が通るかお互い吹き飛ばされるはず。
ならオレだけ跳ね返されてたのは…、
後ろにアブソーバーを張っていたのか?
だとしたらリフレクターを張ってウィドに当たる直前に後ろにアブソーバーを張っていれば剣が通るはず。
考えがまとまり、ウィドの方を見る。
ウィドは放心状態というかなんかぶつぶつ言っている。
今がチャンスだ。
ウィドのもとへ走っていき斬りかかった。
剣にはリフレクターを張り、
斬り込む直前に剣の後ろにアブソーバーを張った。
ウィドに当たったかと思うとそのまま後ろに飛んで行った。
「だから、痛いと言ってるだろー!!!」
ウィドは次の瞬間上に跳ね上がり、
無数の小さな玉を落とした。
玉はそれぞれ別の軌道で襲ってくる。
しかも、それぞれの玉は異なるバリアが張ってあるようだ。
「くっ!」
剣にアブソーバーを張って玉を防ぐ…
アブソーバーを張った玉に当たった瞬間剣の動きが止まり次の玉を防ぐのが遅れてしまった。
「うっ!」
間一髪直撃は避けたが体をかすっていった。
かすったところは引き裂かれ血が出ている。
何も張られてない玉のようだが当たったらまずい。
どうすれば…。
考えがまとまらないうちに次々玉が襲ってくる。
次の玉は剣の前にリフレクター、後ろにアブソーバーを張って受けた。
が、跳ね返した玉がさらにスピードを増して跳ね返ってきた。
受ける術なく体に直撃し、体が吹き飛んだ。
「やばい…!」
体を受け止めようとアブソーバーを張るが…、
「させないよ…。」
受け止めるよりも先に上に吹き飛ばされ、
すぐに地面に叩きつけられた。
「うっ…。」
今のはかなり効いた…。
「僕に素手で殴らせたり、蹴らせたり痛いじゃないか…。
ちょっと本気になっちゃったよ。
でも、まぁこの程度なら…レオさんにはまだ遠く及ばないね。」
「もう、何やってるんですか!」
ココが駆け寄ってきた。
「えっと、訓練だけど…。」
ウィドが気まずそうに答えた。
「明らかにやり過ぎじゃないですか!?
ほら早くヒールかけてあげるから。」
ココにヒールをかけてもらうと痛みがひいてきた。
「ココ、ありがとう。」
「こ こ で怪我したらダンジョン潜れないじゃない、
何考えてるの!」
「…ごめん。」
「もう、何よ。なんか気味が悪いくらい素直ね…。」
「でも…もう一度だけウィドさんと戦いたい。」
「はあ?」
立ってウィドを見る。
ウィドは苦笑いをしている。
「ウィドさん、さっきのどういう意味ですか?」
「ん?なんだい?」
「レオさんには遠く及ばない…ってことです。」
その言葉どうも引っかかっている。
父…という記憶はないが比較されてばかりなのが…。
「なんていうかもっと身を任せてたよ。
僕が使う技を瞬時に読んで対応していた感じ。
そのせいでかなり鍛えられたんだけど…。」
もっと身を任せる…か。
「けど、これ以上やるとまた痛い目あいそうだから嫌だなー。」
「トリルも一方的にやられてたわけじゃないの?」
ココが聞いてくる。
「いや、素手で殴られたりしただけだけど…。」
「それでも手が痛いんだよ!」
ココが呆れている。
「お願いします、もう一度だけでいいんで。」
「えー…。」
…
「私からもお願いします。
これで最後でいいんで。」
オレ達のやりとりを見てココが言った。
「あの目をしたらなかなか言うこと聞かないんで説得する方が大変ですよ。」
「んー、まぁ女の子にまで頼まれたらなー。
嫌だけどあと一回だけやってやるか…。」
「ありがとうございます!
ココもありがとう。」
「その代わり大怪我しそうになったら問答無用で止めるからね。
頑張ってね。」
再びウィドを見て剣を構える。
身を任せる…か。
やるだけやってみよう。
意識を剣に集中させた。




