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タイの物語  作者: Shadow
第I部:第II部:過去の根源と真実
33/33

第三十三話 ― これが終わりか

お時間をいただき、ありがとうございます。

楽しい読書です。

トイレを出ようとした時、背後で音がした。

振り返った。

“0”が、まだ生きていた。

頭を床につけたまま——笑っていた。

突然。

白い蛍光灯の光が——消えた。

暗闇が、落ちてきた。

床の下から手が伸びてきた。

引きずり込まれた。

沈んでいく。深く、深く。

自分の手が見えなくなるほど——暗かった。

突然、闇の中から双子が現れた。

背が高かった。

巨大だった。

一歩踏み出すたびに——地面が揺れた。

左手が痛くて動かなかった。

ベストを脱いで、左腕にきつく巻きつけた。

目を閉じた。

呼吸を整えた。

心臓の音だけを聞いた。

奴らの気配を——探した。

サカが傷ついた時に使った、あの感覚と同じだった。

少しずつ、闇が薄れていった。

光の源が見えた。

手を伸ばした。

掴んだ。

光が——消えた。

鼻から血が出た。

右手が折れていた。

首に傷が走り、頭が落ちそうだった。

それでも。

手が——光り始めた。

内側から声がした。

立て。まだ終わっていない。

立ち上がった。

「そうだ……なぜ忘れていた」

叫んだ。

「よく聞け。こんなものじゃ——俺は止まらない。俺を止めたいなら、もっと持ってこい。お前たちには——俺を倒せない」

影の奥で、何かが動いた。

向かった。掴んだ。

“0”の頭だった。

反射的にナイフを抜き、頭に刺した。

闇が——消えた。

―――

耳をつんざく警笛。

光が、正面から来た。

線路だった。

列車の光だった。

俺は——線路の上にいた。

体中が痛い。だがアドレナリンが、痛みを押しつぶした。

死にかけていたと理解した瞬間——足が動いた。

走った。

前を見た。

反対側からも列車が来ていた。

二本の列車が、俺を挟もうとしていた。

横を見た。

巨大なコンクリートの柱が並んでいた。

頭の中で何かが弾けた。

——柱を蹴って、列車の上に乗れる。

やるべきじゃなかった。

だがもう考えていた。

時間だけが、問題だった。

二本が交差する直前——走った。

息を全部吐いた。

柱に向かって跳んだ。

靭帯が悲鳴を上げた。

構わなかった。

次の柱へ。

ナイフを列車の屋根に刺した。

刃が折れそうになった。

手首をひねって角度を変えた。

速度を計算していなかった。

列車は速すぎた。

体が吹き飛びそうになった。

ナイフを両手で掴んだ。

刃を深く食い込ませた。

下から悲鳴が聞こえた。

列車がトンネルに入った。

速度が落ちた。

今だ。

ガラスを叩き割って、中に入った。

全員の目が——俺を見ていた。

誰かがスマホを耳に当てながら、小声で言っていた。

「背が高くて、体格がよくて、髪が長くて、顔を隠している男が——」

探した。

人の壁に隠れていた。

見つける前に——列車が止まった。

駅だった。

窓から出ようとした。

警官が、外を囲んでいた。

捕まった。

懲役七年، 気づけば——判決は終わっていた。

―――

所持品検査で、武器が出た。

死者はいなかった。

だが体中、血まみれだった。

刑務所に入った。

全員が俺を見ていた。

看守も。囚人も。

同じ目で——値踏みしていた。

最初の日。

休憩時間。

一人が近づいてきた。

背は低かった。だが横に広かった。

口の端を上げて言った。

「お前……子供に飴でも売って捕まったのか?」

笑い声が広がった。

男は続けた。

「親に捨てられるくらいのゴミだもんな」

俺の目が——変わった。

スプーンを取った。

奴の右目に——刺した。

引き抜いた。

奴の口に——入れた。

静かに言った。

「もう一度俺のことを口にしたら——残った目もなくなる」

それから全員を見渡した。

「お前たちも聞け。笑いたいなら来い。全員——殺す」

五人が立ち上がった。

バットと食器ナイフを持っていた。

―――

五人が同時に来た。

先頭はバットを持った大男。

その後ろに、刃物を持った二人。

さらに後ろに、バットを持った二人。

怒鳴り声が飛んだ。

聞こえなかった。

目だけが、動いていた。

大男がバットを振り下ろした。

体を沈めた。

風が頭上を通過した。

奴が体勢を崩した瞬間、懐に入った。

肘を胸骨に叩き込んだ。

空気が抜ける音がした。

スプーンを首筋に当て——引いた。

一瞬の動作だった。

左右から刃物が来た。

動きがばらついていた。

一歩下がった。

右の奴の顔に左拳を入れた。

左の奴の手首を掴んだ。

ひねった。

骨が折れた。

ナイフを奪い——腹に入れた。

右の奴に向かった。

残り二人が同時に動いた。

考える間はなかった。

バットが振り下ろされた。

木の仕切りを飛び越えた。

バットが空を切った。

着地と同時に、膝を折った。

スプーンを目に——刺した。

体が勝手に動いていた。

考えていなかった。

体が覚えていた。

振り返った。

最後の一人が——震えていた。

バットが、手から落ちた。

目に、恐怖があった。

逃げようとした。

走った。追いついた。

足を顔に入れた。

倒れた。

―――

立っていた。

息が荒かった。

筋肉が張っていた。

周りを見た。

誰も笑っていなかった。

誰も喋っていなかった。

完全な沈黙だった。

俺の目は——怒っていなかった。

ただ、空だった。

これが——俺の生きてきた場所だ。

戦いの中で育ち、戦いの中で立っている。

ここでも——変わらない。

(章の終わり)

物語の体験を評価していただければ幸いです。

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