第100話 「ぐるんぐるん、しますわ」
ラミスは前回同様。手順通り手筈を整え、西の村目指し走り出した。
……したたたたたた。
速い、やはり速い。馬よりも速く走るラミス姫様。西の村で、姉リン、ナコッタと合流。そしてそのまま北の街に向かう。
豚相手に無双する、クリストフ将軍。
……やはり、強いですわね。一度将軍とは、お手合わせをお願いしたいですわ。
「……姫様。恐れながら申し上げます、進軍は二日後の援軍を待つのがよろしいかと。」
「なーに言ってんのよ。リーダーは私なのよ?私の命令に従いなさーい。」
前回同様、姉リンはクリストフ将軍の進言を却下する方向だ。
──しゅばっ!
ラミスはしゅばっと、瞬時に姉リンの後方に移動し、姉を抱き上げお願いする。
「リンおねーさまぁ。ここは援軍を待ちましょぉ。ラミスのおねがーい。」
……くねくね。
いや、姉を持ち上げているので。ぶらぶらの方が、正しいのかも知れない。
「…………。」
「もー。仕方が無いわねぇ。今回だけよー。」
姉を持ち上げ、ぐるんぐるんするラミス姫様。
何とか姉を説得し、ラミス達は二日後のホースデール王国の援軍を待つ事になる。
……ラミスには甘い、リンお姉様であった。。
その日の夜。ラミスは一人、ベッドの中で考える。
…………。
果たしてホースデール王国の援軍二万で、あの怪物を倒せるのだろうか?
ラミスには、やはりどうしても。あの怪物に勝てる未来が、想像出来なかった。
…………。
翌朝。朝食を終えたラミスは、ふと中庭に向かう。そこには一人、剣の鍛練に励むクリストフの姿があった。
…………。
クリストフ将軍の鍛練の姿を、ラミスは柱に寄り掛かりただ呆っと、眺めていた。
……クリストフ将軍。
…………。
…………。
「いい筋肉ですわ。0~0」ばーん
「クリストフ将軍、少しよろしいかしら?」
「……姫様?」
ラミスは少し、将軍と話をした。この戦いに勝利する為には、ラミスがもっと強くならなくてはいけない。……それに、まだ救えていない人達が大勢残されている。
ラミスは、もっと強くならなくてはならないのだ。
今この場で一番、武に秀でている人物クリストフ将軍。ラミスは詳しい闘気の使い方を指南して貰う為、クリストフ将軍に話を聞いた。
ラミスは将軍の指示通り、ひたすら正拳突きを続ける……。
…………。
しかし、教えられても。やはり、すぐに使える事は出来なかった。
「……難しいですわね。」
元々武術の才所か、武術に興味すら無かった姫様なのだ。そこは仕方が無いだろう。
「あ、それと将軍。少しお手合わせを、お願い出来るかしら?」
将軍は、ラミスのその言葉に驚かなかった。将軍程の実力者ならば、見ただけでラミスの強さはある程度理解出来るからである。逆に将軍は、この短期間でここ迄の強さを身に付けた、ラミスの強さに驚いていた。