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コミカル三国志(第二部)  作者: ダメ人間
第三章 暗殺の闇
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四十六.他人の力を借りよう

 劉備が報を受けたのは事が済んだ後であった。

 彼が急いで現場に向かうと、そこは死体のカーペットが出来ていた。

 見るに、一方的な虐殺であったのだろう。

 倒れているのは、敵方の兵たちばかりであった。


「関羽と張飛を呼べ!!」


 劉備は二人を呼びつけると、罵声、中傷、暴言、あらゆる言葉で二人を責めた。


「お前たちは何ということをしてくれたのだ!これで曹操を完全に敵に回してしまったではないか!!」


「今までの私の努力が全て水の泡だ!百姓の真似したり、雷に驚いて見せたり、〇〇や××、△△や□□をして彼を油断させてきたというのに!!」


「今の私たちの戦力で、曹操に太刀打ちできるとでも思ったか!出来る訳ないだろが!このステロイド馬鹿ども!ちょっとは頭を使え、頭を!!」


 彼が一通り二人を諭すと、二人もさすがに早計であったのを悟ったのか、


「「・・・申し訳ございませぬ。」」


 と謝罪の弁を述べた。


「謝ってもどうにもならぬ。失われた時を取り戻すことなど何人なんびとにも出来ぬことだ。」


「大事なのは次だ。」


「戦うべき相手である曹操もそう申しておった。皮肉だが、彼の教訓を生かすのだ。『次にどうすべきか?』それを考えるのだ。」


 劉備はいつになく厳しかった。

 彼は元来、無茶をしない性格である。


 緩やかに備え、そして正確に狙い撃つ。


 それが彼の行動の基本であり、それで上手く事を運んで来た訳だ。

 しかし、此度は違う。

 『急』だ。急なのだ。

 迫りくる強大な敵に、素早く身を構えなければならないわけだ。


「曹操のことだ。彼は必ず大軍を差し向けてくる。そうなってはもう終わりだ。」


 忌憚きたん(=遠慮)のない正直な敗北宣言である。


 絶望。


 その二文字が場を包もうとしたその時、陳登が、


「ご心配無用です。」


 と答えた。


「陳登殿・・・何か策がおありか?」


 劉備が怪しんで尋ねると、彼は、


「この徐州の郊外に、歌を作り、絵を作り、世を捨てて独り仙人のように暮らしている老人がございます。」


「その方は昔、都でバリバリと働き、人望高く、高士として名高い人物でございました。そして・・・」


と、全く関係の無い話を始めてしまった。


「いや、あの・・・陳登殿? 私の話を聞いてました? その話、今のこの状況と全く関係ないよね? ないよね? ナッシングだよね? それとも何? その話が何か役に立つの? 役に立つなら結論をさっさとどうぞ。」


 劉備が結論を急かすと、彼は一つの咳払いをして、結論を話し始めた。


「その老人の名は『鄭玄ていげん』と申します。」


「この鄭玄、かつて河北の袁紹と同じ役職をしていた関係より、袁紹ととても親しい間柄にあり、袁紹はこの人物を深く尊敬しております。」


「―――今、曹操と互角に戦える者は袁紹を置いて他にございませぬ。そこで、この袁紹を動かすために、袁紹の尊敬する鄭玄殿にお会いになり、袁紹に軍を動かす様に手紙を書いてもらうのです。」


「鄭玄殿の手紙を読んだ袁紹はあなたに好意を示し、あなたは彼と協力関係を結ぶことが出来るでしょう。」


「袁紹と協力関係を結ぶことが出来れば、曹操とて恐れるに足りません。彼と力を合わせ、曹操を討ち破るのです」


 話を聞いて劉備は、「なるほど。」と相槌を打ったが、良く考えればそれは無理なように思えた。


「君の深謀には感服するが、それは成功しまい。」


「何故です?」


「考えても見よ。私は彼の弟である袁術を滅ぼしたのだぞ。仇の相手と同盟を結ぶ者はおるまい。」


「ですから、そこを鄭玄殿にとりなしてもらうのです。―――とにかく、今の危機的状況を脱するには、外部からの協力が必要不可欠なのです。鄭玄殿にお会いになってください。」


 否定的な言葉を述べたが、陳登の言う様にもはやそれしか手がないように思われる。

 覚悟を決めた劉備は、陳登と共に鄭玄の元へ向かったのであった。

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