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コミカル三国志(第二部)  作者: ダメ人間
第二章 偽りの王
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三十九.引っ越しは面倒

 延々数里にもわたり列が出来ている。

 皇帝の御物財宝だけでも数百輌、そこに後宮の女人などを乗せた車を含めると、その数は千でも足りないほどであった。

 加えて兵士と民である。

 騎馬歩兵の軍隊から、一般ピーポーの民たちまでもが従っていくので、此度の移動は前代未聞の大引っ越しとなっていた。


 そのタイミングを待っていたかのように劉備は動いた。


 総勢五万。

 袁術軍御一行が徐州の近くに来ると、劉備を真ん中に、鶴翼の陣にて彼らに攻めかかった。


※鶴翼の陣

 自軍の部隊を、敵に対して左右に長く広げた隊形


 さすがは曹操の一軍である。

 よく訓練された兵たちは、劉備の命に気早く動き、瞬く間に袁術軍に近づいた。


「なんと小癪こしゃくな!下民の分際で無礼無礼!匹夫の勇などはねのけぃ!!」


 袁術の命により、大将の紀霊きれいが討って出る。

 それ見た張飛、名乗りを上げて、いざ推参。


「沈めぇーーーーッ!!」


 その一騎打ちは十合と打ち合わなかった。


 一突。


 剣劇をすり抜け、張飛の蛇矛が紀霊の胸に穴をあけた。


「うっ!? うっ!うっ!うっ!うっ!うわぁ!!」


 紀霊死亡!終わり!以上!解散!


「死にたい奴からかかって来い!」


 まるで少年漫画の主人公のようなセリフを吐き、張飛は敵陣へと突っ込んだ。


 血まみれの野獣が矛を振り回し迫りくる。


 それだけで兵たちは皆恐ろしかった。


「アイム、アフレーイド!!!(=私は恐れています)」


 自分の命が一番大事。

 袁術の兵たちはピョコピョコと逃げ回り、戦う戦意を完全に失ってしまっていた。


「ええい!この馬鹿!この馬鹿!この馬鹿チンども!戦え!!」


 後方で袁術が喚き立つが、そんなモノは無駄!無駄!無駄!である。

 劉備の軍と袁術の軍では兵の質が違い過ぎた。

 経験、気合、根性、タフネス、歯ごたえ、甘味、ほろ苦さ、初恋の味、キットカット、その他もろもろ全てが袁術軍の上をいっていた。


「死死死死死死死死死死死死死死死死死!」


「苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦苦!」


「痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛!」


 袁術の配下の者たちは悲痛な叫びをあげて打ち減らされていき、テトリスのブロックのように、次々と隊が消滅していく。


「むむむ・・・! もっと兵を繰り出せ!後方の兵を前方へと出すのだ!!」


 怒り、喚き散らしながら指揮を執る皇帝袁術。

 そんな皇帝の命を受け、せっせと命を散らす兵たち。

 しかし、必至な彼らの健闘も空しく、この後、彼らにさらなる悲劇が起きるのであった。

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