百一.関羽千里行 その二
老翁の家を立ってから、歩いて走って駆け抜けて全力走行を進めていると、やがて一つの関所に差し掛かった。
書くのをすっかり忘れていたのでここで書かせていただくが、河北に向かうためには五つの関門を越えなければならない。
関羽一行はその一つ目に差し掛かったわけだ。
「お控えなすって御一行!一体何者達でござんすか!!」
関羽一行が関門へと近づくと、その関所のボスである孔秀がヨヨイ!と門より出てきて一行の前に立ち塞がった。
物々しく剣を構えている。
そんな彼に対し、関羽は劉夫人の乗る車を止め、単騎で彼に近づいた。
「拙者は関羽雲長と申す者。河北へと下るため、関門の通過を願いたい」
「ほほう、なるほど・・・あいわかった!―――で、通行手形はお持ちでぇ?」
「いや、それが・・・急いできたモノで持ち合わせておらぬ」
聞いて孔秀は片眉を吊り上げ、訝しんで正論を述べた。
「てやんでぃ!てやんでぃ!べらぼうめ!! 『通行手形が無けりゃ関門は通れねぇ!』。 こんなもんは常識中の常識だろうが! さっさと引き返して一昨日来やがれ!!」
“あほちゃう?”と彼は関羽に対しファッ〇ンガム宮殿をぶちかました。
これはいけない。
これがダメで。
これはアホのすることだった。
「―――『帰る日が来れば帰る』。拙者はそう曹操殿と約束を交わしてある。通さないと申すのであれば力づくで押し通るまででござるが・・・」
関羽の得物がギラリと孔秀に向けられた。
“きさん(=貴様)、殺すぞ!!”
関羽は暗に孔秀にそう告げたわけであるが、彼の意志は変わらず、
「なんと!このべらぼうめ!この俺を誰だと思ってやがる!脅しには屈しない!やるならやってみろ!もしそうすればこの俺の」
「やかましい!余計な言葉で文字数稼ぎするでない!『通す』or『通す』!貴様が発して良い言葉はそのどちらかのみ!―――して、返答や如何に!!」
「通さない!」
「よし!ならばこうだ!!」
ブウンッ!と青龍刀が空を一文字に切り裂く。
その音と軌道に合わせて鮮血が空を舞った。
刃は孔秀を切り裂き、彼は膝をついて倒れ、地に勢いよく口づけをした。
第一関門のボス『孔秀』死亡!
ボスが死ねば後は作業である。
雑魚敵などに関羽はものともしない。
ボスが死んで寄ってきた部下の番兵たちを横へ縦へとなぎ倒した。
「大人しく通さないからこうなるのだ(ドヤ顔)」
事を終えた関羽は、劉夫人の乗せた車を門へと通し、関門を去っていったのであった。




