【9話目】男しかダメだったよな!なんでそうなった? (二次関数がわかりません)
あのカレーパーティー以来、うちには常に、俺いれて4人が出入りしてる。
ていうか、住み着いてる?
珠里がいうには
「イケメンパラダイス!」
なんだってさ、喜んでる。
全然相手にされてないのに、珠里は翠にべったりくっついてて、
「ちょっと離れて、近すぎ」
翠が困ってる風なんだけど、全力で拒んでるっていう感じでもなさそう。
珠里、自分で自分のこと、学校ではカーストトップなんだし、翠くんが嫌がるわけないじゃん!
なんて言ってて、自意識過剰なんだ。
だけど本気で迷惑なら、翠だってここに来ないんじゃね?
そんなふうに、集まっては、流しそうめんして遊んで食ったり、花火なんかして騒いで近所のひとから怒られたりって平和に楽しんでた。
俺に興味のある海斗、女の子に興味がない翠。
俺なんかは珠里に興味あるけど、うっかりとは手が出せない雰囲気。
だから女の子ひとりで男の中に混ざってても、危ないことにならなかったんだ。
そんなある日、そこに拓が入ってくることによって、平和が歪んだ?
あいつ、俺のことも軽く扱ってきた。
女の子の珠里なんか、簡単だよな?
その日、拓は、彼女の和泉と別れたとかで、イライラしてたからさ、なんか不穏な空気は最初から感じてた。
海斗は拓のこと、悪いやつじゃないって言ってたし、ごめんなって謝ってたけど、拓本人からは何も言われない。
謝れよと思うんだけど、アホなのか覚えてないのか、何もなかったみたいに来たから、めちゃくちゃ印象最悪だった。
泊めるつもりなかったのに、勝手に泊まってさ、その夜中、珠里に無理やり乱暴しようとした!
「やだ、やめて! 助けて! キモい離れて!」
そんな広くない家だし、みんないたし、珠里が騒いだからみんな起きた。
だから未遂なんだけど、そりゃもう海斗も翠も俺だってめちゃ怒って、拓のことボコボコにして追い出した。
出入り禁止はもちろん、絶交、絶縁。
なんならさ、珠里が被害届でも出せば?
て思うくらいだけど、珠里は大丈夫だからって、そこまでやらないって言ってた。
「拓って、和泉も言ってたけど、ときどき暴走するって、未熟なんだよ、自制できない。和泉が離れたのも、やっぱり和泉のこと考えれてなかったからと思う」
いつかみんなから、見放されるって思うって和泉も言ってたらしい。
「でも、ほんと怖かったよー」
って翠に抱きついてんの。
「もっと警戒すべきだった、俺たちのせいかもな、ごめんね」
翠も珠里のこと抱き寄せて、頭とか撫でてる。
「海斗、あれって、あれ?」
こそっと海斗に、翠と珠里のことを聞いてみる。
「うーん、なんとも言えねーけど、満更でもない? てとこなのかな?」
「ふーん、翠って男しかだめ、てこともなかったのかな?」
なんだ、良くわかんね。
でもたぶん、俺は珠里には失恋。
男とつきあったことがないって言ってた翠は、もちろん女の子ともつきあったことがなかった。
「翠くんとつきあうことになったよ」
珠里からそう聞かされたとき
「そか、良かったな」
としか言えなかった。
珠里にとっては、良くも悪くも拓のせいでそうなったみたいな感じ。
翠に聞いてみると
「つきあったこともないのに、女の子を避けるのも良くないかなって思って、珠里ちゃんいい子だし」
って言ってた。
それで、それからは俺の部屋に海斗が泊まって、珠里と翠が同じ部屋に泊まることになってんだけど、すっかり住み着いてる。
ルームシェア状態。
「だからさ、住むなら家賃払って!」
「そうだな、話し合いしないと」
海斗が言ってくれた。
食べるものは、みんなそれぞれ買ってきてくれるから食費に困ることはない。
それにやっぱり海斗が料理作ってくれるし、食生活は満たされてる。
翠とつきあってから珠里も、料理しようと海斗から習ってんの。
恋の力は、珠里を動かすんだな。
ずっと動かせなかった俺はだから、恋愛対象じゃなかったってこと?
だよな。
男しかだめなはずの翠だって、珠里に甘えられたらすっげー嬉しそう。
珠里の胸、触ってみたかったな……。
あーあ、残念。
珠里って、狙った男と100%つきあうよな?
すっげーな。
俺と正反対。
「あんなに悩んだの、なんだったんだろ?」
海斗はずっと、男しかだめって言ってた翠を断ったこと、気にしてたみたいだったから、それはそうかも。
「陸もさ、あんま悩むな」
海斗も男しかだめなわけじゃない。
だから責任感じなくていいからなって言う。
「ん? そんな悩んでもないけどな」
海斗のことに対しては、こうして仲良くやっているし、いいじゃんって思ってるけど、それとは別の悩みはある。
「2次関数と三角比のやつ、わかんねーんだけど教えて」
数学が全力でついていけてなかった!




