【7話目】海斗の友達を紹介された件だけど、わざと?
「俺の友達で、翠ってやつがいるんだけどさ」
海斗の話。
その、翠と、海斗と俺との3人で、ここでカレーパーティーするっていうんだ。
なにそれ、美味そう!
でも女の子いないと、つまんなくね?
て思って、珠里も呼んだ。
学校では、珠里は普通に話してくれたし、俺に対して怒ってるんじゃないのはわかったんだ。
てゆーか、別に怒ってなかった。
「珠里、いまどこ住んでんの?」
「ネットカフェかな」
女の子がそんなとこにいたら、かわいそう。
「家に帰ればいいのに」
珠里の家もいろんな複雑事情あるから、帰りたくねーってのはわかるけどさ。
答えずに口をとがらせてる珠里。
「あのさ、今度、カレーパーティーするから、珠里も来れば?」
みんなでカレーとか、いろいろ作って食べるだけなんだけど、仲良くなるのが目的。
「え、じゃあわたし、ケーキ買って持ってく!」
海斗と、仲直りしてくれたらいいなって思ってたんだ。
珠里も乗り気、喜んでた。
そして当日。
最初こそ、海斗が不機嫌そうな態度してたけど、みんなで楽しんでたら、だんだん気まずさがなくなってったと思う。
初めましての、翠って人も、海斗と同じ高校2年生で仲良しなんだって。
海斗たち男子校だからさ、珠里がいるのに慣れてなさそうだった。
「ねね、翠くんてさ、めちゃかっこいいね」
珠里がこっそり俺に言ってきた。
「あーまあ、そうなのかな?」
海斗が爽やかイケメンなら、翠はキラキラ系イケメン?
昼と夜みたいな感じ。
タイプ違うけど、女の子が騒ぐような雰囲気なのかもしれないなって、思った。
「わたし、翠くんタイプかも?」
「えー、俺は?」
論外なのかもって、思ってるけど聞いてみた。
珠里は、じーっと顔を見つめて来た。
「陸は、もうひといき系!」
たった一学年、みんなより下なだけなのに、子ども扱い。
珠里だって、俺と同じなのに。
海斗もさ、なんで翠なんか連れてくるんだよ。
あ、もしかして、わざと?
カレーは美味しくできて、美味しく食べれて、珠里の持ってきたケーキも甘くて。
そしてみんな楽しく仲良くなれた。
珠里は翠の隣をキープしてて、海斗は俺の隣にいるんだけど、なんとなく上の空。
「海斗、珠里ってさ、翠のこと気にいったみたいだな」
そう聞いたら海斗、
「あの子って、ついこのまえまで陸とつきあうなんて言ってたくせに、ふらふらしてるよな」
「確かにそうなんだけどさ」
元カレ、弘人のことにしたって、くっついたり別れたりふらふらしてた。
俺のこと、つきあうなんて言ったくせに、今度は翠って人にふらふら。
「なんで、あの人連れてきたんだよ」
「心配すんなよ、翠は珠里ちゃんとなんにもならないよ」
「なんでそんなこと、海斗にわかるんだよ」
「うーん、それはともかくとして、翠を連れてきたのには理由があるんだ」
「どんな理由?」
海斗が、珠里と話してる翠のほうをチラッと見てから言った。
「俺ね、まえに翠から好きだって告白されたんだ」
「………え?」
脳みそ、バグってきた。
男同士の告白って、そんなに頻繁にあること?
男子校だから?
女の子いないせい?
「そんなこともあったから、陸が男の子ってわかっても、別に男だからってだけで諦めるのはなって気がして」
「えと、ちょっと待って。あの、その、翠からの告白は海斗どうしたの?」
海斗はちょっと目を泳がせてた。
「いや、それはその……無理だって断った」
なんだよ!
断ってんじゃんかよ!
「つまりその、なにが言いたくて翠を呼んだかっていうと、男同士のそういうのって、珍しいわけじゃなくてな、断っても友達になれるし、それでその……」
海斗は、難しく考えないで欲しいって言ってた。
「男とか女とかじゃなく、人として陸が、いいなって思った」
「……へーそうなんだ」
てことはさ、翠が珠里のこと、人としていいなって思ったらつきあえるんじゃね?
さっき、なんにもならないって言ったけど、わかんねーじゃんか?
そしてそれは、俺にも言えること?
人として、海斗のこといいなって思えば、つきあえる?
?
?
?
「えと。海斗はいま、翠のこと、なんだと思ってるんだっけ」
さっきの理屈でいうなら、つきあってないなら、人として好きじゃなかったってことになるよ?
「友達と思ってる」
「だったら理論破綻してね?」
「え、俺の言いたいこと、伝わらなかったか?」
「たぶん、伝わってないかも」
だんだん意味不明になってきた。
「ちょっと翠」
海斗が翠を呼んだ。
「やっぱ、説明できねーわ、翠、説明してやって」
翠がこっちみて、隣にいた珠里まで見てくる。
みんなの注目を浴びてしまうー。
「さっき話してたやつ、あれを陸に説明したかったんだけど、うまく伝わんない」
そしたら翠から、
「簡単にいえば、ナンバーワンかオンリーワンの違い」
とか、さらにわけわかんねーこと言われる。
恋愛経験も少ないし、さらには男同士の恋愛なんか未知の領域なんだし、さっぱりわかんねーよ―助けてー。
「たとえばね、女の子たちと合コンとかやったときに、女の子たちからLINE教えてって言われても教えないんだ、そしたら女の子たち、連絡先書いた紙ってか名刺みたいなの作って渡されるんだけど、それをさ、捨てれる」
「え、捨てる?」
そんなもったいない!
「そうだった! 翠、橋の上から、女の子たち、バイバイとかいって、それ川に捨てたんだよな」
「それくらい、女の子に興味ないんだ」
翠がサラリと言うもんだから、珠里がフリーズしてるよ。
で、翠が海斗に告白して断られ、海斗は俺に告白して断られ。
「やだ、男同士の三角関係?」
珠里が言って大笑いしてる。
この、良くわからない関係を、珠里は受け入れられてるのか?




