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シュタイナー伯爵 幕引きの後に残るもの 3

誤字脱字報告、ありがとうございます!

気をつけてはいるのですが、やはり自分ではわからないものですね。

適用させていただきました。


やや説明じみた文章が続いています。

次か、その次で伯爵夫妻の会話になる予定です。

めんどくさいな~と思ったら、読み飛ばしてしまっても、特に影響はないと思います (;^_^A



 現シュタイナー伯爵アーネストが20歳を過ぎた頃。そろそろ婚姻準備に入ってもおかしくない年齢なのに、彼には婚姻どころか、婚約者の影も形もなかった。これは当時当主だった父が、伴侶くらい自力で見つけろという方針だったからだ。

 そういう父はというと、天晴なくらいの政略結婚。そこそこの身分、そこそこの実家、そこそこの容姿に能力。余計な口出しはしないが、家の事業の発展には都合の良い位置の領地を持ち、当時考えていた新事業に合致する家業を営んでいる、という好条件に、会ったこともない相手に求婚したのだ。

 これは、まだまだ保守的な雰囲気を残していた当時でもかなり珍しく、この結婚を切っ掛けに、伯爵家はさらに事業を多方面に拡大したため、今でも社交界では、冷徹な仕事人間だと陰で囁かれている。

 それはともかく、家庭での父母の仲はよく、お互いに満足している様子だったので、特に気にしたことは無かったのだが、彼が年頃になると同時に周囲が煩くなると、父はいきなりとんでもない宣言をした。

 曰く、自分は自分の意志で伴侶を選び、結果大変満足している。一生を共に過ごす相手を自分で決めるのは当然。故に、息子の婚姻に関して、己は一切関与しない、と。


 それから、アーネストの周りは何かと騒がしくなる。普通は親を介しての、婚約のやりとりが皆無であるため、将来有望な彼の伴侶となるためには、令嬢本人が自分を売り込むしかない。結果、学院でも茶会でも夜会でも、常に妙齢の女性に囲まれる状態だ。学生時代から父を手伝い、尚且つ後継に相応しい手腕と学業成績を求められていた彼にとって、大変迷惑なことこの上ない。

 事態の責任者でもある父は、我関せずで、なんなら、うまく捌けないのは能力がない証拠などと嘯く始末。

 彼とて年頃の青少年。異性に興味がなくはないが、冷静に見ると、自分に近づいてくる令嬢は、自信があるだけあって、皆華やかで美しく、才気煥発。自己主張もそれなりにするし、他者を貶める技術もさりげなく披露してくれる。たまに控えめなアプローチをしてくると、大抵は計算ずくだったりする。

それは社交界では必要な強かさではあるが、必須ではないし彼の好みでもない。

 事実、母はそういうタイプではないが、父の地位がモノを言っているのもあるだろうが、底意地の悪そうな貴婦人方ともうまく折り合いをつけていた。どうやら夫の適切なサポートがあれば、さほど策を弄せずとも済むらしい。

 諸々考慮した結果、群がる令嬢たちに、彼はさりげなくアピールした。会話の中に、事業に関する用語を混ぜて煙に巻いてみたり、会話中に話しかけてきた青年と仕事の話を始めたり。結果として、条件は最高だが女性に興味がない仕事人間、という父親同様の評価を得て、適齢期間近なのに婚約どころか女性の影も形もない状態だった。


 そんなときに耳にした、件の子爵令嬢の話だ。これも何かの縁と思って聞いてみれば、

「妻の義姉になるはずだった女性なのですが」

 そんなことを言う。どうやら目の前の男性は、例の男爵家嫡男の妹と婚姻し、彼が亡くなった時、アーネストが弔意を示す書簡を送ったのを憶えていたらしい。ひとしきり経緯を説明した後、令嬢本人について語りだした。


「こんな田舎にはもったいないほど容姿に恵まれた女性なので、縁談は多いらしいのですが、いかんせん、年齢的に良縁は難しくて。本人は、家族に迷惑をかけたくないらしいのですが、ご家族は無理に嫁がずともいいという方針のせいで、ますます縁遠くなってしまう。今は疎遠になってしまいましたが、妻としては、長らく未来の義姉として付き合いのあった人なので、良いご縁があれば、と気にしているのです。教養もあるし、知性的で穏やか、生涯の伴侶とするに相応しい賢婦人かと。後継の方などという不相応な望みも無いとのことですので、アーネスト卿のお知り合いにどなたか頃合いの方がおいでなら、ご紹介いただけないでしょうか」


 この時頭に浮かんだのは、さほど関わりのなかった同級生だった。


 目立つ存在ではないが、言葉の端々に堅実さを感じさせ、学業成績も良く、周囲から信頼されていた彼の婚約者ならば、王都のご令嬢たちとは違うのではないか。そう考えたアーネストは、その場で自分が名乗りを挙げた。


「紹介ではなく、僕では如何でしょう」





 

 

  

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