結局こうなるのか...
「...と言うわけでクーデターは成功しました!!」
ファメルテウス王国に出張させていたセレナが戻ってきた。
まあ、ちょくちょく報告と俺のMPを補充しに帰っては来ていたから久し振りと言うわけではない。
「ほいほい、お疲れさん。でっ、結局の所はどうなったんだ?」
セレナの報告では大多数の国民が元リヴァイア領の人間達とレジスタンスの連中を支持し、これらを支えた結果、現王族と主要上位貴族の国外へ追放させる事に成功したようだ。
「ふむ。それでこれからファメルテウス王国のクーデターを成功させた人達が国の国政を握るのですか?」
ワイナールがセレナの話を聞きながら書類を書いていたが、疑問に思ったようで書類からセレナに視線を移し聞く。
「えーっと、それがですね....うーん、なんと言いますか...」
「めんどくせえ奴だな!言葉を濁さねえでハッキリ言えや!!」
「....フォルティーナ様に国のトップになって欲しいらしいですよ?」
は?何言ってんだコイツ?
「...うん?悪いが...意味わかんねえぞ?」
「ですから...フォルティーナ様を国王に望む方が大多数で...説得を私が頼まれてしまいまして...はい。」
アホか!!滅んでしまえばいいのに!そんな面倒そうなこと俺がヤル訳ねえだろ!!
「何でそんなことになってんだよ!?」
セレナが申し訳無さそうな顔で「どうやらクラルフェラン共和国でのリヴァイア領の様子がファメルテウス王国でも有名になってまして...しかも途中で私がフォルティーナ様の関係者の召喚獣って言うのもバレまして...はい。」とのたまい出す。
「どうやったらお前が俺の関係者だってバレるんだよ!」
「それはですね。私がお城の牢屋に監禁されていた時に御飯を運んでくれていた兵士が途中からレジスタンスに参加しまして...そこからバレました。」
「....ならしゃあねえな。」
あ~あ、どうすっか。
行きたくねえ上に...エミリアはワイナールの嫁になるのが決まってっからなー。
行くんなら俺単体か...。
いやいや!俺はやっぱり行きたくねえ!絶対面倒だぞ!
<いっちゃいなよー!国を治めるのも楽しいかもyo!>
お前が勢い良くそう言うことを言うときは大概ろくな事にならんから嫌だ!
「...私としてはあなたがこの国から出て行ってしまうのは困りますが...後のことを考えるとフォルティーナにファメルテウス王国を治めて貰うのを望みますね。」
ワイナールが茶を飲みながら視線を合わさずにそう言う。
まあワイナールの言いたいこともわかるんだがな。
海のおかげで直接陸続きでは無いがファメルテウス王国は一応隣国。
その隣国の混乱を知り合いが早く終わらせてくれるのが理想だろうからな。
隣国の混乱が長引けばクラルフェラン共和国にも悪影響を与えかねない。
うーん、どうすっか。
「...フォルティーナ...ファメルテウス王国に行っちゃうの?」
いつの間にやら執務室に来ていたエミリアが不安そうな顔でそう言ってくる。
...行きたくねえがコイツの為にもやるしかねえか。
やれることはやってやりてえし。
「...そうだな。俺はエミリア、お前の為にファメルテウス王国に行く。...お前やエリュセルがクラルフェラン共和国で苦労せずに暮らして行ける様にな。」
「フォルティーナ!」
エミリアが頬を自分の涙で濡らしながら俺に抱きついてきた。
「おいおい、泣くんじゃねえよ。別に会えなくなる訳でもねえしよ~。それに俺とお前は繋がってんだからいつもみたいに俺に喋り掛けて来れば良いだろうが。...それに何かあった時には俺を喚び出せばいい。何せ俺を使役してるのはエミリア、お前なんだからな!」
「...うん。そうだよね...。」
「まあ、ちょくちょく帰ってくるから心配すんな!おい、ワイナール。エミリアをお前に任すぞ!後は...この国の守護はヴァランティーヌに任すか。まあアイツでも余裕だろ。」
「ええ、わかりました!エミリアは私の妃になる人ですからね。全力で守るので任せて下さい!!」
ワイナールの答えに頷くと爺が俺の側に寄ってくる。
「フォルティーナ様、私も一緒に行きましょう。セレナがどの道必要でしょうから。」
「おう、爺、セレナ頼むぞ!」
「「はい!」」
俺と爺、セレナという布陣でファメルテウス王国に帰ることに決めた。