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彼女はなぜ無差別殺人事件の犯人になったのか  作者: まるねこ


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1プロローグ

よろしくお願いします!

「キャーーー」

「助けてっ、誰か!!」


先ほどまで熱狂に包まれていたが、今は動くライトと曲だけが大音量で流れている状態になった。


「ねえ、あそこ。なんか変だよ」

「え? ほんとだ。あれ、変だよね?」

「ちょっと静かにしてよ」

「ごめんなさい。でも、あれ。何かあるみたい……」

「やだ、マジで。何あれ」


会場を見下ろせる位置にいた観客達は徐々に何かが起こっていると気づき始め、中央の席に視線を向け始めている。


「……あれ、大丈夫なの?」

「せっかくのコンサートなのにっ」

「そんなこと言ってる場合じゃなくない?」


声援は止み、ざわめきが起こり始めた。


「あれ、なんか振り回してるよ。やばい。どうなるの。こっちに来たらどうしよう」

「折角のコンサートが。マジで最悪」

「危ないし、逃げようよ」

「こっちまで来るわけないじゃん」

「今会場入り口は混雑しているし、逆に危ないよ。待機してたほうがいいんじゃない?」


中央席の観客は悲鳴を上げ、蜘蛛の子を散らすように出口へと急いで移動しているのが湧見えていたが、二階席、三階席の観客は混乱し、動けずにいた。


出入り口には怒声も聞こえ、観客たちが混乱している様子。


警備員は会場の中央へと向かっているが、逃げ惑う人々の波に押し返され思うように動けないでいるようだ。


「……ちょっと洒落になんないよ。マジでやばい」


一人の女性が中央を見て指をさした。


そこにはぽっかりと開いた空間の中心にナイフを持った血まみれの女が立っていた。


彼女の周りには女性が倒れており、他にも数名の女性が手や顔を抑えながら血まみれの女から距離を置こうとしている。



――◯


『こちらLゾーン班、Cゾーン前方の観客が暴れているようだ。応援を頼む』

『こちら本部。了解。こちらも確認した。Cゾーン班、Rゾーン班すぐに向かってくれ。現場の状況も報告を』

『了解しました』


「おい! 何をしているんだ!!」

「~~~!!!」


 返り血を浴びた女は興奮して奇声を出し、ナイフを振り上げ、駆け寄る警備員に威嚇をしている。


血まみれの女は倒れている人間を踏みつけ、座席を乗り越えようとした時、駆けつけた警備員達が彼女の死角から警棒を叩きつけた。


彼らが女を引き倒した後、上から数人掛かりで押さえつける。


「……ーーー!!!」


女は大声で何かを喚き散らしているが、大音量で流れている音楽にかき消され、言葉を聞き取ることは出来ない。


警備員の一人が必死に押さえつけていたが、女は暴れ、抵抗するように必死にナイフを持っている手を振り回そうとしている。


別の警備員がそれに気づき、警棒で手首を叩き、女はナイフを落した。


「動くな!」


女は興奮し、奇声を上げ暴れ、警備員は三人がかりで押さえつけている。


「チッ。こいつはリミッターが外れているのか?」

「そのまま抑えていろ! さっき警察に連絡をした。警官がくるまで耐えろ。すぐに来る」


本部から駆け付けた警備主任が声を張り上げ、取り押さえている警備員達に伝える。


「うあああぁぁぁぁぁーーー!!!」


警備員のやり取りをしている最中も女は興奮し、奇声をあげ、暴れている。


『会場入り口班、会場入り口で観客たちの悲鳴や鳴き声で動きを止め、混乱が広がっています』

『二階C班、二階部分の観客たちも会場から出ようと出入り口に殺到しています』

『各班、観客たちに声を掛け、安全に会場の外へ避難するように誘導と指示を』

『『了解しました』』


本部からの指示で会場内にいた他の警備員は無線で連絡を取り合い、避難誘導を始めようと動き出した。



一階の中央出口付近にいた警備員は拡声器を使い、観客達の誘導を始めた。


騒然とした客達は警備員の素早い行動でだんだんと落ち着きを取り戻しはじめ、誘導に従ってゆっくりと会場を後にしていく。


「私、看護師をしています。手伝えることはありませんか?」


観客の中に看護師が数名いたようで、警備員に声を掛け合い、会場に設置されていた救命道具を使い、怪我人の救護に当たりはじめた。


「大丈夫、すぐに救急車がくるから」


女性たちは必死に声を掛け合い、負傷者を励まし続けている。



しばらくして救急隊員が駆け付けた。


「負傷者は何名ですか?」

「重傷者は三名、軽傷者は六名です。うち二人は意識が無い状態です」


駆けつけた救急隊員は看護師に現場の状況を聞き取り、怪我人を担架に乗せて運び出す。


「こっちだ! 早く来てくれ」


ちょうど警察官も駆けつけ、警備員と交代しようとしていた。


「うわぁぁ、邪、魔を、するなーーー!!!!」


女はそう叫び、押さえつけていた警察官が女の力に負け、よろけた。


女は顔を真っ赤にして叫びながら立ち上がろうとしている。


女を抑えるように手を放したばかりの警備員も加わり、暴れる女を拘束し、担がれるように警察署へと連行されていった。


その後すぐにこの事は大々的に各種機関に報道され、誰もが知る事件となった。


――◯

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