004 うどんジョンの2階層は____と共に
さて、やることもやったし、体調はバッチリだ。ここからは男のロマンの世界……なぁんちゃって! まあしかし、この階層にはゆでたまコッコが居る。うどんぶりスライムのUMPの2倍、200UMPも所持している怪物だ。まず間違いなく強いだろう……。
「なあ、ナビちゃん。またあのアイテム……出るかな!?」
『あのアイテムではわかりません』
「金券だよ、金券!!」
『非常に稀ですが、出現する可能性はあるかと思われます』
だが、このダンジョンにはロマンがある!! 何より凄いと思ったのがこのアイテム、【小金貨交換券】だ!! なんじゃこりゃって思って取り出して、交換券を破れば使えるって言われたら恐る恐る破いたら……!! 出たんだよ、金貨が!! ちっちゃいけど、それでも10グラムもあった!!
実は、金の価格はダンジョンが出現する以前の倍以上に跳ね上がってる。1グラムで5万円、10グラムもあったらつまり、50万円ってことだよ!! やばいよね? やばいよなぁ!? アイテムボックスに入れた時に出る説明文にも『正真正銘の純金。10グラム』って書かれてた。やばいよなぁ!?
「金券が1回出るだけで1ヶ月の給料の倍……。金の買取は各所でやってるし、本気でロマンがある……!!」
だから、俺は2匹目のドジョウを狙ってるわけ。また金券が出れば20グラム、100万円だ……。諸々差し引かれて、たとえ半額ぐらいになったとしても、50万円!! 今の俺には十分過ぎる。
「……ところで、2階層にいくにはどうすりゃいいわけ?」
『キッチンの床下収納が転送ポータルに変更されています。魔力を流して起動してください』
「…………魔力」
『はい。魔力です。流してください』
あの、すみません……。人類は、日本人は、ほとんどの人が魔法が使えなくてですね~……。スキル持ちの人しか~……。
「俺、魔法使えないんだけど……」
『魔力は保有しているようですが?』
「え、えっ? いやでも、使い方とかわかんないし……」
『手からうんちをひり出すような感覚でやってみてください』
「きったねぇ~!? なんだその説明!? ええ!?」
『…………』
あ~あ~出ましたよ、ナビちゃんの得意芸!! 都合が悪くなるとダンマリになるやつな!! なんだよ、手からうんちをひり出すような感覚って……。これから先、魔法が使えるようになったとしてさ? 手からうんちが頭から離れないじゃん。何してくれてるわけ? たとえ浄化の魔法が使えるとしても、でもこれ俺の手から出てるうんちなんだよな……ってなるじゃん!!
「あ~本当だ、床下収納に変な魔法陣みたいなのあるわ~……」
『そちらにうんちを、あっ、魔力を……』
「今うんちって言ったろ!?」
『…………』
「あ~そうですか!! 手からうんち……手からうんち……ふぅん……!!」
出ろ~うんち出ろ~!! あ、お尻からじゃなくて、手の方からね。絶対にお尻の方はダメだから!!
「うお!? なんかにゅるって、ああ光った!?」
『そうです。その調子でうんちを続けてください』
「だぁ~~~~!! 魔力だろうがああああああ!!」
『さっき自分でうんちって……』
くそっ、集中しろ! うんちを出すんだよ、手から!! 今のにゅるっとした感覚、骨の髄を通って何かが体の中心を通った感覚を……引っ張り出す!! 出る!!
『MPが1消費されました。転移ポータル、起動します』
「おお!!」
おお、起動した!! すげえ、これが…………うんち!!
違う、魔力!!
「おお……。おお、時代劇の世界だ!! 古き日本って感じ!! すげー!!」
『はい。そのように致しましたので』
おお……。凄い、古い日本家屋がずらーっと並んで、ダンジョンの壁の役割をしてる!! ああ、でもこれって空が筒抜けになってるから、やるきになれば屋根伝いに壁を無視出来るんじゃ……。
「屋根に登ったらさ、簡単に攻略出来ちゃうんじゃ……」
『このような空が見える地形のダンジョンは、一定の高さまで到達すると時間経過で強制的に地面へと戻されます』
「あ、そうなんだ。ズル防止ってことか」
『ただでさえ回収と再配置でズルなんですから、そこは受け入れてください』
あ、まだ回収と再配置で怒ってる。なんだかナビちゃんって結構、こういうの引き摺るタイプっぽいよね。今後はあんまり怒らせないようにしないとなぁ~……。
『チクワンワンワンワンワーン!!』
「あ、ちくわんこだ。こいつ元気だよなぁ」
そしてちくわんこはどの階層に居ても元気だ。胴体と口に咥えてるちくわを切れば……って、今度は尻尾がちくわになってる!? 口にはちくわを咥えてねえのかよ!!
『逆襲のちくわんこに進化しているようです』
「ずーっと襲ってきてしか居ねえよこいつは!! どこに逆襲要素あんだよ!!」
『チクワァン!!』
うわくそ、ジャンプ……回転して尻尾の叩きつけ!? おお、更に逆回転してもう一撃!! 凄いぞ、逆襲要素があるじゃないか!! でもな、ちくわんこ……!!
「どこ狙ってんでい!!」
『チクワッ……ワッ!?』
『攻撃に必死で、狙いが悪くなっているようです』
「1階層のちくわんこのほうが、狙ってくる分まだ強かったような……」
狙いが悪すぎて、ただ暴れまわってるだけにしかなってねえぜ!! 尻尾、そして胴体と続いて斬る!! 手斧と鉈での連続攻撃だぜ。
『ワギャ……』
『逆襲のちくわんこ、撃破。ボーナス込みで150UMP獲得』
「おお、1.5倍になってるじゃないか!」
『1階層下がるごとに、レベルと獲得量が上がるようです。今後もUMPの表示は基礎獲得量のみを表示、階層毎の倍率は、攻略して自分で確認してください』
なーるほど。更に理解が深まりましたよ~ん。2階層は1階層に比べて獲得ポイントが1.5倍……。つまり、基礎ポイントで100貰えたうどんぶりスライムは、ボーナス込みだと300貰えるようになるってことじゃないか!
これは、あっという間にポイントが……うおっ!? なんか物陰で動いた!!
『ピュッ!!』
『ピュッッ!!』
「うわ、くそっ!? 2体同時!?」
『ランダム配置ですので、こういうことも起こり得ます』
なるほどな、ランダムだから2体とも同じ場所に居る可能性もあるってことか。こうなるとさすがに余裕がないな……。生存優先で、確実に倒すか!!
「ふんぬっ!!」
『ピギュッ!!』
「なんだ!? どんぶりに籠もった!?」
『うどんぶりスライムが【防御】のスキルを獲得しているようです。レベルが上がっていますからね』
「なるほど、1階層では雑魚だった相手も、階層が進むとスキルが増えて厄介になる可能性があるってことか!!」
『ピュッ!!』
片方を倒そうとすれば防御され、もう片方がしこしこ太麺ミサイルだっけ? 完全フリーだからってばんばん攻撃してきやがる。こうなったら……一か八か!!
「おっら!!」
遠距離攻撃はお前の特権じゃねえ!! 手斧を投げつけて、攻撃する!!
『ピュウッ!?』
『うどんぶりスライム、どんぶりが破壊されました』
「ちっ! 殺すつもりだったんだがな!! だが!!」
殺すつもりで投げたから、どんぶりを壊したのは予定外だけど、でもこれで防御は出来まいよ。そして防御中のやつは離れたら攻撃してくるはず……ジグザグに走って、的を絞らせない!
『ピュッ、ピュッ……!?』
『ピュィーー!!』
「もう助からねえよ!! おらああ!!」
『うどんぶりスライム、撃破。ボーナス込みで300UMP獲得』
「あとは、お前だけだぜ」
『ピュゥー!!』
片方はやった。さて、その防御スキルとやら……どんぶりが硬くなるみたいだが、何発ぐらい耐えられるんだ? この手斧は刃の反対側は簡単なハンマーみたいになっててな、何発目に割れるか楽しみだぜ!!
「おら!! おらっ!! どうだ、どうした!! おらぁ!!」
『ピュィーー!!』
『うどんブリスラム、どんぶりが破壊されました』
全力で叩いて、さっき殴ったのも込みで6発か……。これはゴリ押しするのは愚策か? 隙を突いて殺すのが一番っぽいな、っと!!
『うどんぶりスライム、撃破。ボーナス込みで300UMP獲得』
「もう750ポイントか……。後は長ネギとゆでたまごだが……」
鳥が2匹とも残ってるな……。同時に出てこないと助かるんだが~……。
『ネギッポォーウ』
『ユデーッコッコ!!』
まあ、そうなって欲しくない時ってのは、なってるんだよな。だが、全員同時じゃなかっただけマシだと思っておくか!!
『ネギッ……ッーー!?』
「おめーはエアバレットがウザすぎるからな。さっさと死ね」
先手必勝、長ネギンバトはネギごと手斧投げつけで殺すに限る。これで数的なアドバンテージは潰れたな!!
『長ネギンバト、撃破。ボーナス込みで150UMP獲得』
『ユデーッコッコッコッコッコ!!』
しかしこいつ、ちょっとデカい鶏なだけじゃないか? こいつのどこに200UMPもの危険性が……ん? 今、足元に何か……嫌な予感がする!! 手斧を回収しなければ!!
『コッ、コッ……!!』
「くそっ、くらえ!!」
『コケーッ!!』
何かを蹴り飛ばしてきやがった!! あれは、ほっかほかのゆで卵型の……なんだ!?
「あれはなんっ……!?」
『ゆでたまごボンバーです』
しまった、爆弾だと!? ヤバい、これは嫌な予感が……!!
「うわあああああああああああああ!?」
『コケーッ!!』
『手斧がゆでたまごボンバーに直撃し、こちらへ到達する前に爆発したようです』
命は助かったが、手斧が木っ端微塵だ……。これは、ヤバいな……。次のゆでたまごボンバーはもう産んでるっぽいし、こいつはどう倒せば……! いや、そうか!!
「これだあああああああああ!!」
『コケーッ!?』
接触で爆発したんだったら、産んだばっかりのそのゆでたまごも爆発するんだろ!! なら、そいつに鉈を投げつけて直撃させる!! これがダメなら、そこらへんの木の破片でもなんでも拾って、死ぬまでぶっ刺してやる!!
「うわあああああっ!? や、やったか!?」
『はい、やっております。ゆでたまコッコ、撃破。特殊撃退ボーナスにより、1200UMP獲得』
「倍!? 相手の攻撃で倒したからか!?」
『…………』
くそ~っ!! 特殊撃破の条件がなんだったのか、そこは教えてくれないのな~!! でもほぼ間違いなく、あいつ自身のゆでたまごボンバーで倒したから、階層倍率とボーナス付与で600UMP、更に倍で1200UMPになったんだろ!
ええ? じゃあ、今回全員をボーナス込みで倒したから、900UMPと1200UIMPで……2100UMP!? これ、あっという間に3階層目も解放出来るじゃないか!! なんなら今日にでも……あっ……。
『――――ここは安全地帯に……』
「なあ!? リセットしたら、俺の武器は!?」
『はい。持ち込んだものですので、そちらは再生されないでしょう』
「ええええええ~!? じゃあ、もう武器なしってこと!?」
『そうなります』
稼ぎは良いけど、この戦い方じゃ武器が……。今回は最初にゆでたまコッコを倒したから良かったけど、順番が逆だったら大変なことになってたんじゃないか?
「武器の持ち込み数を増やすしかないのか……? あのゆでたまごボンバー、石とか投げつけて爆発させるとか……」
『アイテムボックスを活用なさっては?』
「え? ドロップアイテム以外も入るの?」
『ぜひ、お試しください』
あ……。そうか、アイテムボックスにはドロップアイテム以外も入るんだ!! じゃあ、予備の武器とかも持ち込めば、今後は武器がなくなっちゃったーって心配もなくなるぞ!!
そしたら~……とりあえず今回は、買ってきたハンマーと、家にある包丁とか投げやすそうな石も!! こういうのをアイテムボックスに入れて~……アイテムボックスってどうやって開くんだ?
いつもはナビちゃんに開いてくれ~って頼んでるけど、毎回それじゃダメだよな。うーん、じゃあ~……そうか、手からうんち!! あれの原理で、アイテムボックスを強く念じながら~……うんち!!
「おお! 開いた!!」
『アイテムボックスを自力で呼び出せるようになったのですね。おめでとうございます』
「うん! 今後は自分で開けそうだ!!」
『戦闘中にも瞬時に開けるよう、練習することをおすすめします』
「そうするわ~」
なるほどね、手からうんち論はかなり使えるな。今後もこれでやらせて貰おう……。ところで~……。
「あのさ、目の前にあるあの宝箱っぽいのは……?」
『連続で5体以上のモンスターをボーナス込みで撃退したので、ボーナスチェストが出現しました』
「おお!! そういうのもあるのか!!」
ボーナスチェスト!! 連続5体以上のモンスターをボーナス込みで撃破……なるほど、これは嬉しいなぁ~!! ドロップアイテムが出なくてもこういうがあると嬉しくなるぜ!! さあ、開けてみよう!!
「じゃじゃ~ん!! 中身は~……あ~……?」
なんだこの、ナックルガードみたいに長い刃が付いた包丁は……!?
『【戦闘用麺切り包丁】を獲得しました。戦闘で運用するのにも問題ない強度、品質をしているようです』
「…………おお、麺切り包丁!! 戦闘用!?」
これは良いものを手に入れたじゃないか~……。強い武器が欲しいなーと思ったところでこれ!! よし、次の挑戦で使ってみよう!!
「よし、帰ってリセットしてもう1回だ!!」
『レベルも5に上がっておりますので、そちらもご確認ください』
「おお~! よし、ちゃんと準備してからもう1回だな!」
良いぞ良いぞ、ますます面白くなってきた!! まずは1階層に帰還して、準備をしてもう1回だ!!




