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ゲームが下手すぎてうどんを捏ねていたら、ダンジョンが出来上がりました。〜うどん作るのも、下手〜  作者: エリーゼ


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002 うどんジョン、攻略開始

 今日は水曜日だが、祝日で休みなんだ。まあだから俺も昼間っからゲームやって、負け過ぎてうどん捏ねてたわけなんだけど。

 ランニングをしに外へ出て感じたことがある。今までは気にもしていなかった人達に目を向けてみると、誰も彼も実に生き生きとした表情をしている。明日の希望と夢に向かってるっていうの? なんかさ、キラキラしてるんだよね。


 ああ、冒険者の話ね、これ。


 正確には忘れたけど、数年前のことだったなぁ。世界中にダンジョンが生まれたって、モンスターが湧いて出るんだって、大パニックに陥ってさ、大勢死人が出たんだ。それで、各国の軍隊なり警察なりが出てきて、その時に溢れ出てきたモンスターはとりあえず制圧された。その時に全世界の人々がステータスを開けるようになった。

 みんな何かしらのスキルを持ってた。剣術だとか、武術だとか、レアな人だとアイテムボックスっていう、物体をどこでもポケットみたいなのに入れられるスキルを持ってたりしてさ。俺も冒険者になりてーすげーと思ってステータスを確認したら……なんもなかった。


 なんにも、なかったんだよね。一般人、平凡、ただの人。


「はぁ……はぁ……ふぅ~……」


 その時、俺に冒険者は関係ない話なんだなって、すべてを諦めて凡人として生きていく覚悟をしたけど、なんとなく心にぽっかりと穴があいて。その穴を埋められないまま、何年も過ぎた。今更かよ、スキルが貰えたの。そしてなんなんだよ、うどんマスタリーってよぉ!!


「うどんが得意になって、好きになるスキル……ねぇ~……はは……」


 ダンジョンマスターとか、ダンジョン管理のほうは超凄いと思う。でも、うどんマスタリーってのが本当に意味不明で気に食わない……。いやさ、美味いけど、うどん。

 う、ど、んが付いて? 全部が入ってなきゃいけなくて? それが全部得意になる、好きになる……いやぁ~絶対にうどんしかないってこんなの。駄目だ、本気で思いつかない。


「あ~あ、喉乾いたなぁ……」


 自動販売機はなくなった。万が一にも、モンスターが野良ダンジョンから溢れてきた時に、叩き壊されて中身を奪われる可能性が高くなったから。それと単純に、日本の治安がちょっと悪くなったから。

 だからこうして運動したあとに飲み物が欲しいな~ってなると、お手軽に買えるところがなくて面倒なんだよね。まあ仕方ない、家に戻って…………。


「…………ん?」


 なんだ、今何か引っかかったな。なんだ? 何が引っかかった……? 口に出してみるか? 誰も居ないよなぁ……? 変なやつって思われたくないし……。


「お手軽に買える、面倒……仕方ない、家に帰って……いや違うな……」


 気のせいだったか? いやいやでも、なんか凄く引っかかったんだよ。もっと前に言った言葉か? えっと、なんて言ったんだったか……。ああ、そうだ。


「飲み物が欲しい、運動したあとに……運動……」


 運動…………。

 うん、どう……。

 う、ん、ど、う…………!? おいおいおいおい!!


「全部うどんで出来てる言葉じゃねえか!! 運動!!」


 おいおいおいおい、これだぁ~……!! うどんマスタリーの対象になる別の言葉、運動も対象に入っちゃうだろこれ~!? だからか、だからなのか!! 急にランニングなんてしたくなったのは!!

 運動が得意になって、好きになったから……。だから、こうして急に走りたくなったってことなんだ!!


「はぁええ~……。どのぐらい得意なんだ、これ……」


 俺な、自慢じゃないが、学生時代の体育の成績は……5段階評価中、2だ。ギリギリ1寄りのな!! 水泳、ダメ。鉄棒、ダメ。球技全般、ダメ。唯一人より良かったのは、長距離走だけだ。

 よし、まずは……立ち幅跳びとかやってみるか? どうやりゃ良いんだとかわかんないし、とりあえずその場で……よっと!!


「うおっ……!? いや、これは……」


 凄いぞ、明らかに異常な跳躍力だ。いや、今までの俺の運動神経からしたらって話なんだけど、それでも軽く3メートル以上は飛んだぞ!? レベルも上がってない、ただの凡人が……。き、木登りとかって……。ここの公園、別に良いよな? 今なら人も居ないし、ちょっとぐらい!!


「お、おおっ……! すげえ、思った通りに体が動く!! 今までは鈍臭くて、届くか届かねえかもわからんのが当たり前って感じだったのに!! 木から木に飛び移れ……たっ!! うっほぉ~……」


 俺、猿みたぁい……。名前、犬人なのに。これじゃ猿人だよぉ~……!!

 いやでも、本当に凄いぞ。思った通りに体が動く……もしかしてこれなら、対戦ゲームも……? 今までは考えてから動くまでにかなりのラグがあったけどさ、これなら思った通りに動かせちゃうんじゃないか!?


「…………いや、それは別にいいや」


 冷静に考えて、別にゲームに対して本気なわけじゃないし、いっか……。それよりこれだけ運動神経が良くなったんだったら、自宅のダンジョン化を進めて、階層を広げても良いかもしれない……。

 でも、あのうどんぶりスライムとかいうやつ、あの時はたまたまどんぶりに当たらず包丁が刺さったから良かったけど、どんぶりに当たってたら多分……刺さらなかったよな。


「…………買うか、対策アイテム」


 なら、うどんぶりスライム用の対策アイテムを買おう。包丁じゃいつ手元が狂うかわからないし、もっと専門的な……って言っても、冒険者御用達の装備ショップは目玉が飛び出るほど高い。中には新車が何台も買えるようなものもある。

 俺が欲しいのは、そんなに専門的なものじゃなくていい。あのどんぶりをかち割って、扱いやすくて、コンパクトな武器があれば良いんだ。


「ホームセンター……いくか!!」


 ホームセンターになら、手斧とかそういうのが売ってるだろ! 園芸コーナーとか、工具コーナーとかにさ。ついでにジュースも買って、家に帰ろう! うおー試したくなってきた!! 試したい、試したいぞぉおお!!


「待ってろよ、うどんぶりスライム!! てめぇのどんぶり、かち割ってやるからなぁ……!!」

「ママーあれなーにー。なにしてるのー」

「シッ! 見ちゃいけません……!!」


 あ、すんません……。は、恥ずかしっ……。さっさとホムセンいこ……。



◆◆◆◆◆



 さぁて、買ってきましたよホームセンターでね、色々と!!

 手斧でしょ? ハンマーでしょ? (なた)も買って、スポーツドリンクとかも色々と買ってきたんだけど~……。


「まずは、ダンジョンの再アクティブ化とかいうのから、だよな」


 今このうどんダンジョン……うどんジョンは、唯一モンスターが出るフロアである居住スペースを制圧してしまったから、モンスターが出てこない安全地帯になってる。

 ここからもう一度モンスターを出すには、再アクティブ化というのをダンジョン管理スキルから選択すれば良いって、ナビちゃんが言ってたけど……。


「どうやるんだ? ダンジョン管理出ろ~、うわ出た」


 でたわね。このステータスみたいな半透明なウィンドウから、再アクティブ化したいフロアをぽちっと選択してやれば……あ~……?


「モンスターの追加配属……? フロアボスのうどんぶりスライム以外に、初回ボーナスで配属可能なモンスターが2体……」

『ちくわんこ、長ネギンバトが配属可能です』

「ほぉ~ん……。こいつもポイント溜まるの?」

『どちらも50UMPを獲得可能です』


 おお~……。うどんぶりスライムの半分とは言え、1度の再アクティブ化……再アクティブ化って言うの、なんかしっくりこないな?


「なあ、再アクティブ化じゃなくてさ、リセットとかにならない? なんか言いにくいんだけど」

『…………再アクティブ化をリセットに名称変更致しました。今後、リセットと呼称してください』

「おおいいね、やれば出来る子ナビちゃん!!」

『褒めてもモンスターとうどんしか出せません』


 十分十分! それじゃ、ちくわんこと長ネギンバトも配属して、リセット!! うわっ!?


『階層がリセットされたため、入口である玄関に強制転送されました。本日の1階層目のリセット可能回数、残り4回』

「あ、残り回数とかあるのか……。いやでもとりあえず」

『チクワンワンワンワン!! ワーン!!』


 うわ、絶対この鳴き声はちくわんこだろ。おお、チワワがちくわを咥えとるわ……。胴体もなんかちくわみたいだな……。え、これがモンスターなの? 倒さなきゃダメ? 結構可愛いんだけど……。


『ギャウ!!』

「うわぁああ!? なんだよそのちくわ、床に穴が!! なんなんだよその威力!?」

『チクワンワンワンワン!!』


 くそ、見た目がふざけてるけどバカみたいに強いじゃねえか!! やるしかねえ、ここは扱いやすい鉈で……おっりゃぁ!!


『キャゥウウン……』

『ちくわんこ、撃破。【うドーピン具・スピードちくわの食券】を獲得しました』

「ええ!? そんなのあんの!?」

『あります。低確率ですが、うドーピン具を無料で注文可能な食券をドロップすることがあります』


 おお……。これ、運が良ければポイントを全然使わなくても、うドーピン具で強化出来るんじゃないか……? でも、低確率って言ってたな……。あと、ドロップした食券はどこに……?


「あの~……ドロップした食券は、いずこに……?」

『マスターのアイテムボックスに収納されています。初めてモンスターからアイテムを獲得したため、スキルがアクティブになりました』

「ほぁ!?」


 え、俺……アイテムボックス使えるようになったの!? マジで!?


『ネギッポォー!!』

「うわでた」

『長ネギンバトです。飛行能力があり、ネギを杖に見立てて魔法を使ってくる個体です』

「はあああああ~!?」


 人類、魔法使えないのに!? ギンバト如きが魔法使えんの!? 長ネギ咥えてる程度で!? ふっざけんなよお前!!


『ポーッポポポー!!』

『エアバレット、きます』

「うわくそっ!?」


 空気が歪んで見える、あれがエアバレット……空気の銃弾か!! 頬をかすめたけど、避けられないこともない!!


「こんにゃろ!!」

『ポッ…………』

『長ネギンバト、撃破。レベルが2に上昇しました。おめでとうございます』

「うおおおお……!!」


 俺、レベル上がっちゃった~の!? うっひょーー!! レベル1から2に上がるのって、5人でゴブリンを10匹殺して、ようやく経験値(EXP)が1溜まるぐらいって聞いたぞ~!? これ、メチャクチャ効率良くレベル上げが出来てるってことじゃないか!?


『ピュッ!!』

「しまっ……!! あっぶねえ!!」


 うわくっそ、こいつのことを忘れてたぜ、フロアボスのうどんぶりスライムさんよぉ!! 壁にデカい穴を作ってくれちゃって……あれ? 前にもここに穴があったような……。まあいっか!! とりあえず、ハンマーだろ!!


「っしゃあ!! 今度はこっちの番だ!!」

『ピギュッ……!?』

「割れろぉおおおおお!!」


 おっら、どうだ!! 手応えありだ……が!! 本体のスライムにダメージが入ってる感じがしねえ。もしかして、どんぶりは打撃に弱いが、本体は打撃に強いのか!? くそ、鉈……!!


「っらぁああ!!」

『ピッ……』

『うどんぶりスライム、撃破。どんぶり破壊報酬として、追加で100UMPを獲得しました。フロアボス撃破、安全地帯になります』

「う~……うん? どんぶり破壊報酬?」


 どんぶりを壊して撃破すると、追加報酬が貰えるのか? なるほど、そしたら実は他のモンスターも……? ちくわをぶった切ってから倒すと追加とか、長ネギを切ってから倒すと追加……とか? ありそうだなぁ~!!


「とりあえずこれで400UMPか……。よし、もう1回リセットだ!!」

『リセットを実行します。本日の1階層の残りリセット回数、3回』


 よし、この調子で残り3回もやっちまおう!! これは楽しくなってきた、やりがいがありそうだぜ!! それと、あとで気になってたことも確認しておこう。前にうどんぶりスライムに壊された壁も、リセットで元通りに戻ってた気がするんだよね~。


「お、床が元に戻ってる!」

『リセットにより、フロアの状態も元の形に戻るようです』

「へえ~!! ダンジョンって凄いな~!! 俺の家、壊し放題じゃん!!」

『あまり壊しすぎないように注意してください』


 なるほど、リセットすると元に戻るんだ。これはつまり、俺の家を破壊しながら戦っても問題ないってことだ!! よぉし、遠慮はなしだ。やるぜ、残り3回~!!


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― 新着の感想 ―
急にダンジョンが出てきた世界かぁφ(・∀・*)なるほどぉ 諦めていたことに手が届く希望、それが『うどんマスタリー』なのが未知数すぎるwww 「う・ど・ん」なら適用される……今回運動が上がっていたが、…
そんな家壊し放題だなんておかわりし放題とかじゃないんだから…w
一般人がそれなりにいるとしても周りがスキル持ちって言われるとなんかこう負けた気分になるよね、すっぱり諦めたのは偉かったと思う。現実を見るか夢を見るかみたいな…… うどん、てっきり食べ物のみと勘違いして…
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