表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

158/159

番外編 焦り 後半 sideメイソン

「今までありがとう」

「貴方に、感謝される言われはありません」


 思わず言い返してしまった。

 本来なら不敬罪になるかもしれない俺の言葉にも、ルイス殿下は余裕な表情で笑みを深めた。


「ずっと護衛をしてくれていたのだろう?」

「自分がしたくてやった事ですので」

「そうだね。でも、護衛以上の事をこれまでしていなかった」


 俺は苦い顔をしているだろう。

 それは俺の本意じゃない。

 オリバーがいたからだ。

 オリバーがいなければ、もっと積極的にフィリアにアピールしていただろう。

 そうしなかったのは、それをすれば、オリバーから徹底的に排除される事がわかっていたからだ。

 俺はオリバーに鍛えられてそれなりに強くなったが、今でもオリバーに勝てる気がしなかった。


「……それは」

「わかっているよ。俺も同じだったからね」

「……?」


 ルイス殿下が同じ立場という事はどういう事だろう?

 俺は流れ者の母に持つ元半端者で、ルイス殿下はアーレン王国の王子だ。立場が天と地くらい違う。同じとは言い難かった。


「俺もフィリアが好きだった。

 何度も会いに行こうとしたけれど、周りが許さなかった。

 特にオリバーは……。

 フィリアが、王族など目立つ立場には向いていないのも分かっていた。半端者でいたいと、魔法使いになるのすら拒絶していたからね。

 俺の身分と立場では、半端者のフィリアを娶る事は出来ない。

 オリバーから、俺はフィリアに相応しくない事と、俺がフィリアに魔法使いになる様に説得していたのもあって、心を煩わせるなと、もう何年も会う事すら許されなくなった。

 そういう意味では、たとえ護衛でも、君の立場は羨ましかったよ」


 オリバーから軽くルイス殿下の事は聞いていたが、まさかアーレン王国の王子にまで、その力が及ぶオリバーに背筋が凍る。

 やはりオリバーは怒らせてはいけない人物だと改めて理解した。


 ルイス殿下はずっと妨害を受けていたのだという。

 フィリアに会いたかったらしいが、オリバーがそれを許さなかった。

 にも関わらず今は、フィリアを助けに来る事が出来たのだ。

 緊急事態だったのはあるが、それでもここに来れたという事は……オリバーがルイス殿下を認めたという事になるのだろうか?

 それを察したかの様に、ルイス殿下は続きを話し始めた。


「彼……オリバーの心境に変化があったみたいだね。

 会う事は妨害しないと言われたよ。

 最終的に決めるのはフィリアだと。

 フィリアが、嫌がる様な事をすれば再び排除する脅しも付け加えてだけどね。

 オリバーを誰が変えたかわからないが……そいつは凄いやつだよ」


 苦い顔をしながらもルイス殿下は、歓喜の様子が伺える。

 俺と同じ立場……好きな人を口説く権利を得たという事だろう。

 今まで、オリバーに認められたのは俺しかいなかった。

 それに胡座をかいていた事が悔やまれる。

 オリバーの存在が大きすぎて、オリバーの機嫌を伺い過ぎたせいでフィリアと時間が取れていないのもまずい。


 様々な後悔が押し寄せてきたが、今更どうしようもない。

 俺が何も言えないでいると、


「今日はこれで帰るよ。

 アーレン王国の結界の危機は脱したけれど、内部がゴタゴタだからね。俺も手伝わないといけない。

 それに、フィリアは魔法使いになってくれたけど、王族なんて望まないだろう?

 だから内部改革は必要なんだ。それが終わってからだとオリバーに言われているからね。

 今回は特別」


 そう言いながら、愛おしそうにフィリアを見るルイス殿下に焦りと不安と嫉妬が押し寄せてくる。

 ルイス殿下もフィリアを譲る気はサラサラないのだろう。

 ルイス殿下は名残惜しそうに俺にフィリアを託した。

 俺がフィリアを抱き上げて両手が塞がっている事をいい事に、ルイス殿下はフィリアの頬を撫でた。俺は一歩引いて距離を取る。

 ルイス殿下は、目を細め、余裕の笑みを浮かべた。

 フィリアの許可も得ず触れるなんてと、思わずイラッとして睨んでしまったのは仕方ない。


「じゃぁ、近いうちにね?」


 そう言ってルイス殿下は、俺の返事を待たず、転移魔法で姿を消した。

 後はもう、夕日が反射してキラキラ輝く穏やかな海と細波の音しか残ってなかった。



 ルイス殿下が、オリバーから与えられた課題をクリア出来るまで時間があると知り安堵するが、俺と同じ立場になればあっという間に優位に立つのはルイス殿下だ。


 魔力だって、能力だって、フィリアとの出会った時間だって何一つ敵わない……。


 けれど、それでも最後までフィリアを諦めないという気持ちは、今も変わらなかった。

今の所、恋の行方を描く予定はありません。

フィリアが、すぐに恋愛に向かうとは思えないのと、作者としては、読者の皆さんのご想像にお任せした方が良いのでは? と今は思っています。


オリバーの様に心境の変化があって、書き始める可能性もゼロではないですが……今は恋愛に関してはご想像にお任せという事で!


ここまでご拝読ありがとうございました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ