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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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保護魔法

前日も投稿してます。

活動報告にも書きましたが、昨日から完結まで毎日投稿の予定でいます。

よろしくお願いします!

「完成だ!! 後は設置するだけだな! 流石俺!

 この魔道具が、どれ程の威力を発揮するか今から楽しみだな」

「ちょっと! 私が手伝ったお陰でしょ?」

「勿論わかってるさ! バネッサもフィリアもありがとう!!」


 今にもバネッサに抱きつこうとしていたレルート教官をバネッサは、魔法の見えない壁で遮った。

 レルート教官は、つんのめり、顔が歪んでも、お構いなしにお礼を述べている。ちょっと残念な姿だ。

 それでも、少年のように喜ぶレルート教官は、本当に魔道具オタクだ。

 目を輝かせながらはしゃぐレルート教官を、バネッサは冷めた目で見ていたが、これがいつもの風景なのだろう。


 出来上がった魔道具は、網目状の黒の魔導線に、網目を固定する色とりどりの魔道線が括り付けられている。網目を固定する魔導線の先は全て同じ方向を向いていて、角が取れた剣山のように突き出ていた。

 網だけ見ると縮小すれば、漁師さんが使う網のようにも見えるが、網目がかなり大きく、大型魚であってもすり抜けてしまうだろう。


 黒の魔導線が波を吸収する役割。固定する魔導線は、波を押し戻す作用があるとか。


「じゃあ、後は設置だな。沖合10キロあたりに設置してくれ!!」

「は!? 私?」

「バネッサしかいないだろう? 」


 さも当たり前のように言うレルート教官を何も言わずに睨む。

「……。」

「俺が後数時間で設置出来ると思う?」


 レルート教官は、あまり気にせず少年のおねだりのようにしていて、バネッサの気持ちには気づいていないようだ。


「はぁ……これって、防波堤のようなものよね?」

「さすがバネッサ!! その通り!!」

「つまり、両端に塔のような杭を打ってそれに固定すれば良いの?」

「向きに注意してくれよ。塔の強度も生半可なものだと瓦解するから、そこもよろしくな!! わかってると思うけど、突き出てない方が陸側だぞ」

「でしょうね」


 完全に頼りにするつもりのレルート教官に、バネッサは更に冷ややかになった。そんなことはお構いなしにレルート教官は、喋り続ける。

「じゃぁ後よろしく、俺はまだ他の魔道具の設置準備があるからさ!!」


 そう言って、レルート教官は、私たちを置いて走り去った。


「はぁ。レルートの奴。魔道具になると、後先考えずになっちゃう事あるのよね。

 まぁ仕方ない。私はこれを設置しておくわ。

 フィリアは、ペティに送るわね。

 この研究室は、レルートがいないと、セキュリティが起動して、中の人物は1分後には強制排除される仕組みなのよね。

 それなのにいなくなるなんて、魔道具の事になると他への配慮が足りなさすぎるわ」


 レルート教官は、最初、人を寄せ付けない、とっつき難い人だと思っていたが、本当は中身は子供のように魔道具オタクで周りが見えなくなる人なんだと思う。

 普段はちゃんとしてるけど新たな発見があると、後先考えないのだろう。


 バネッサは申し訳なさそうに私にペティに帰るように促した。

 遠回しな言い方だけど、私に、これ以上は手伝えることが無いからだ。

 私は沖合で作業出来る手段がない。魔法で少しは飛べるけれど長時間は無理だ。魔道具の知識も基礎知識のみで、実践は、ほとんどないので、魔道具の取り付け方法もわからない。

 それなら、バネッサ1人で設置した方が効率がいい。

 私は足手纏いだ。

 それとペティに行くのは私の安全確保の為だ。

 ペティは高台にある。津波がやってきてもペティまで波が押し寄せる事はないだろう。

 私に安全な場所にいて欲しいというバネッサの配慮もある。


「わかりました」


 これ以上、自分に何も出来ない事と、護られなければいけない今の自分の立場に、とても歯痒くなった……。



 バネッサは、今出来た魔道具をポーチに押し込むと、レルート教官の研究室を強制排除される前に、バネッサの魔法でペティに転移した。


 ペティの玄関に着いたバネッサはこちらに振り向く。

 私を置いて行くのが心配で堪らないと言う表情だ。


「大丈夫です。大事な役目だと思うので行ってください」


 バネッサは、私のことが心配なのだろう。

 私がいなかったら魔道具の設置を嫌がったりしなかったと思う。くすぐったい気持ちになるけど、今は多くの人の生活がかかっている。バネッサにはバネッサのやれる事を優先してほしい。

 私が安心させるように言った言葉が気に食わなかったのか、ムッとしていた。けれど、何かを思い出したのか、ハッとしてニッコリ笑ったバネッサに両肩をガシッと固定された。

 すごい圧力に固まっていると、額に柔らかなものが触れる。

 それと同時に全身が見えなに何かに護られているような感覚になる。


 数秒して額にキスされたのだと頭が理解した。

 アーレン王国に伝わる親が子供にかける最強の保護魔法だ。

 血縁でしか、かけれない魔法。親が子を思う気持ちが強ければ強いほど強固になる魔法だ。


 バネッサにとって私は子供なの?

 そこまで、か弱い事はないと思うんだけど……。

 護りたいと思ってくれる嬉しさもあるけど、そこまで過保護にしなくても、私は成人してるのに……ちょっと反抗心も芽生えたりする。

 私が複雑な表情をしたので、バネッサはしてやったり顔だ。


「ふふふ。いい子で待っていてね?」

「子供じゃないので、自分で考えて最良の選択をします」


 むくれる私にバネッサは笑い声をあげる。


「行ってくるね?」

 と、わざと子供に言い聞かせるように言い、転移してしまった。

ブレンの空間は安全ですが、時間が止まっているので意味がないのです。

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