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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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再会

フィリア視点に戻ります。

 ぼんやりと目が覚めた。

 あれ? 何してたっけ?


 ……。あぁそうだった。私、落ちてきた本で頭ぶつけたんだった。

 ぶつけた額を触ってみたが全く痛みはなかったので、誰かが治療してくれたのだろう。

 後でお礼を言わないとと思いつつ、周りを見渡した。


 簡易のベットとシーツ以外、真っ白な空間。

 否応にもここが、どこか分かった。


「ブレン?」

「フィリア様、お久しぶりでございます」


 何もないところからスッと現れたブレンは慇懃にお辞儀をした。ちょっと話し方にトゲがあるのは、最近話し相手になっていなかったからかもしれない。


「えっと? ひさしぶりでごめんね。

 あっ! 地震は大丈夫だった?」

「知っての通り、ここは時が止まっていますから、何も問題ございません。今は起こってすぐの状況ですね。

 地震自体は、それ程大きなものではなく、被害は今の所少ないかと思われます」

「そうなんだ。えっと?

 何でここに私がいるのかな?」

「さるお方がここにフィリア様を運ばれました。

 どうしても、お話ししたいと、いう方がいらっしゃいまして……」

「そうなんだ?」

「お呼びしてもよろしいですか?」


 地震のことは気になるけれど、ブレンが態とその話を逸らして会うように促してきたので、そちらの方が急ぎの案件なのだろう。どうせここは時間が止まっているので、地震の方は急ぐ必要は多分ない。


「えっと? うん。分かった」


 私は自分の服を確認して、人に会える服装に安堵し、通してもらうようにした。


 現れたのは2人の成人した男女だった。

 二十代後半くらいの2人は、黒髪に黒目、前世の日本人の特徴で、服装も前世の物だった。何よりその面影が……。

 すぐに誰なのか分かった。とっても大きくなっていたけれど見間違える事は絶対にない。


「……実咲と正輝?」


 思いの外震える声で問いかけたのは、ここにいるなんて信じられないと思ったからなのか……。


 私の問いかけに、2人はハッとしたような顔をした後、くしゃりと顔を歪め駆け寄ってきた。

 お互いそれが当然かの如く引き寄せられ、思わず抱きしめていた。

 ……どちらかと言えば抱きしめられていたに近い。

 今世は平均よりも小さかった私に比べて、2人とも私よりも大きく、すっぽり抱きしめられていた。

 子供の成長に対して嬉しさと、それを見守る事ができなかった寂しさと申し訳なさで、私の気持ちはめちゃくちゃだった。


 思わずギュッと力を込めると、それに応えるように抱きしめ返してくれた。



 ……。どれくらいそうしていただろう。

「言葉は要らないような気もしたけど、やっぱり色々話したい。ちょっと座ってゆっくり話そう?」


 そう言ったのは正輝だった。

 私は抱きしめる手を緩める。いつの間にか、三人掛けのソファーが用意されていて、座るように促された。

 けれど、その前に言わないといけないことがある。


「……ごめんなさい。貴方達を置いて私は死んでしまった」


 色んなことを聞きたかったけれど、まずは謝罪だと思った。

 私は頭を下げて、子供達の反応を待った。


「顔をあげて?

 私達はお母さんに謝罪して欲しくてここに来たんじゃない。

 ちょっと喝を入れにきたのよ?

 覚悟して聞いてね?

 とにかく話そう?」


 実咲に促されて頭を上げる。

 そこには困ったように微笑む実咲と正輝がいて、言葉とは裏腹に、とても喝を入れるような、厳しい表情は無く、穏やかだった。


 再度促されて、ソファーに座る。

 両隣に子供達が座った。


「あっ! 私の姿! えっとこんな姿だけど、私は佐藤楓で、貴方達の母親で……」


 今の私はフィリアの姿だ。

 今更ながら、前世の姿ではないので、ちゃんと伝わっているか心配で自己紹介をしようとしたが、実咲に手を握られ、落ち着くように手を撫でられた。


「落ち着いて? お母さん!

 ちゃんと分かっているから大丈夫。

 母さんはフィリアという人物に転生していて、見た目が変わったのは分かってるよ。

 前世の私達より可愛くなっていていい感じじゃない!!」


 最後はほっぺをツンツンされてしまった。


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