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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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断罪? リヒト編 sideバネッサ

 3人にそれぞれ言いたい事は違う。


 まずは、リヒトに狙いを定めると、リヒトは嫌な予感がするのか、逃げ腰だ。

 リヒトは次期当主として、申し分ない力量があるにも関わらず、私の前だとちょっと子供っぽくなるリヒトは可愛い。でも、キチンと言わないといけない事は言う。


お姉さんは甘くありませんよ!


「リヒト? フィリアは、自由に、思う様にさせているって聞いたけれど、今でも本当にそう思う?」


「え? フィリアの望む様に、配慮してきたつもりだよ?

 そりゃ、最初は、どう接するのが良いのか、距離感がわからなくて、見守るだけにしていたけど……。

 異性の兄弟だし、貴族だった手前、馴れ馴れしい態度では接しては、いなかったけれど、俺なりに守ってきたし、可愛がったつもり。

 ……俺は、もっと自由にして、我儘を言って欲しいと思ったけれど、フィリアはそれを望んで無かった。

 結構我慢したんだよ?

 フィリアの望む様に、好きな本は沢山集めたし、フィリアの希望で魔法使いにはならず半端者のままだし、寂しいけど神殿にも入れた。

 フィリアの願いを叶えたんだよ?」


 リヒトは質問の意味がよくわかってない様子だ。

 リヒトの顔に困惑が浮かんでいる。


「フィリアがどうして、そんな風に望んだのかは考えなかったの?」

「どうしてって……? それよりも相手が何を欲していて、それを叶えるのが、相手と上手くやるコツだと、俺は思うんだけど?」


 うん。ビジネスなら、お互いに最高の望む条件を出して(勿論最初から全ての要望を出すとは限らない。逆にかなりふっかけてくる場合もあるし)、駆け引きをして、妥協点なり、改善策を見つけるのは間違っていないが、フィリアの場合は違う。

 遠慮と後悔と懺悔、小心者のフィリアが、本音を全て曝け出しているとは思わない方がいい。


 フィリアは、前世、子供達を残して亡くなった後悔から、懺悔の道を選んだのだと思う。

 魔道具の話をするフィリアは、目が輝いていたし、研究の話をするのも好きそうだった。本当にしたい事はコレなんだと思う。

 それでも時折、本当に研究をしてもいいのか悩んでいる時があるのも知っている。

 フィリアが、自分の好きな事をするのに躊躇いがあるのは、確かだ。

 そこをリヒトは気づいていない。


「フィリアは、前世を後悔して、私達に罪悪感を持っていたから懺悔の道をすすんだだけよ?

 だから、結婚しないで済む様に魔法使いにならなかったし、私たちの幸せを祈る為に神殿にも入ったんだよ?」


「え? どうしてそんな事を思うの? 

 フィリア……母さんは何も悪く無いでしょ? 

 なのに何故?

 俺……そんな事を望んで無いけど?」


 そう思う事が、普通なのかもしれない。

 病気で亡くなった。自分ではどうすることも出来なかったのに、それでも子供達に、何か出来たのではないか?

 今からでも何か出来るのではないか?

 子供達に申し訳ない。

 と思ってしまうのがフィリアだ。

 小心者で、人見知りなのに、誰よりも責任感が強くて、子供達のことを1番に考えてた人だ。

 それが足枷になって、フィリアの未来を邪魔している。

 私(実咲)も、リヒト(正輝)も望んでないのに。

 私もリヒトも、今世はフィリアにいっぱい好きなことをして欲しいし、甘やかしてあげたいのだ。

 その為に、2人ともフィリアの姉と兄として生まれる事を望んだのだから。


「それをフィリア……お母さんに分かってもらいたいのよ。だから前世の姿で、今幸せなんだよ!

 って、安心して欲しいの。

 それでフィリアにも今世の人生を楽しんで欲しいって言ってあげたいんだ。

 そうするには、前世の姿で会って話す事が1番だと思う」


 前世の私達は死んでしまっているから、本当の事とはちょっと違うけれど、今世で元気なのは間違いないから、それでいいだろう!!

 うん!!嘘じゃない!!


「そうなんだ。俺、フィリアがそんな風に思っていたなんて知らなかった。フィリアの表面しか見てなかったのかな。俺……間違ってたんだ。

 ちゃんと見ていたのに、見えてなかったんだな」


 リヒトの顔が歪む。

 フィリアの幼少期を側で見ていたのに気づかなかった後悔がありありと出ていた。

 でも、リヒトが悪いわけじゃ無い。

 フィリアのその時の気持ちを最大限に汲んでいたのだから間違いなわけでもない。

 ちょっと遠回りになっただけだ。

 それにその遠回りが必要な時もある。

 まさにそれが今回のことなんじゃ無いかと思う。

 気付いた後の方が大事だ。


 リヒトの凄いところは、相手の意見を聞いて、ちゃんと考えて結論を出して、自分に非があるなら、自分の間違いを認めて、それを修正出来る強さだ。

 自分の非を認める事は、難しい。年齢や知識を蓄えれば蓄えるほど凝り固まる時もある。

 リヒトは、知識量は凄いし、次期当主としても申し分ない。それに驕ることないリヒトの柔軟さは強い武器になるだろう。

 姉さんは鼻高々だ!!

 ただ、リヒトもフィリアと同じ。直ぐ責任を1人で背負い込む。

 人は失敗する。失敗しても、どんなに回り道したとしても、最後に笑っていられたら万々歳!! で良いと思う!!


「そんな事はないよ。

 リヒトは、あの時、最良の選択をしたんだと思う。

 フィリアには、時間が必要だったと思うの。

 出会って直ぐに、だったら受け入れてもらえない気がする。

 意識が戻って直ぐ、子供が大きくなっていたら受け入れられる?? 心の整理も必要あったと思う。

 時間も必要だった。

 今だから、前を向いて進んでいってくれる気がするの。

 私が言うんだから間違いない!!」


 私が、自信満々に言うと、リヒトはきょとんとした後、ふっと柔らかな笑みを浮かべた。


「そうかな? そうだと良いけど……。

 どちらにしても今からできる事をするしかない。

 姉さんが、そう言うのなら、俺は賛成するよ」


 私達は微笑みあった。 

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