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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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予感

 交流会は恙無く終わった。

 今はペティに帰ってきて、後片付けをしていた。

 私は、交流会に持ち出していた玩具や本を片付けいる。

 本を戸棚にしまいながら、ぼんやりと今日の事を考えていた。



 トライア地区に来てから、前世の事を思い出す事が多い。

 ……前世の皆に何か悪い事が起きてるのか?

 だからって私に出来る事はある?


 不安と焦燥感に駆られ、私が自分のしたかった新しい事へ挑戦する事に、どこか後ろめたさを感じるようになってきていた……。


 私も地区長さんと一緒だ。

 置いてきた子供達に、詰られる事も、謝罪して許される事もない。子供達がどう思っているのかすら分からない……。

 ずっと自問自答したって答えが出る訳じゃないけれど、私も今のままで良いのか?

 ペティにも小さな礼拝堂があり、そこで毎朝祈りは捧げているけれど……。

 神殿に戻り、祈りを捧げる毎日に戻るべきなのかと思い始めていた。


「フィリア? 交流会の後から元気ない?

 疲れた?」


 バネッサの声に深く沈んでいた意識が戻る。

 交流会は午前中と、昼食を食べて解散だったので、まだ2時を過ぎたところ。地区長さんの話は重みがあったので精神的にズンとくるものがあったけれど、体は元気だ。


「大丈夫です。

 ちょっと考え事をしていただけで……」

「そう? あんまり無理しないように!

 悩み事があるなら相談して欲しいな?

 私、フィリアのコーディネーターだし!!」


 胸に手を当ててドントコイ!!

 と、自信満々だ。とても頼りになりそうである。

 バネッサに話してみても良いのだろうか?

 突拍子もない話を、バネッサは受け入れてくれる?

 バネッサなら……。

 自分1人で悩んでいても解決策なんて思い浮かばない。

 誰かに話すことで、何が変わるかもしれない。


「もし……良かったら、夜に話を聞いてくれる?」


 私が、意を決してバネッサに言うと、バネッサはとても嬉しそうな笑みを浮かべて、

「うんうん! お姉さんに相談しなさい!!

 あっ、コーディネーターには守秘義務あるから誰にも言わないよ!!

 誓約魔法で縛ってもいいならね!!」

「バネッサにそんな事はしないよ……。時間もらえたら嬉しいです」

「時間はいっぱいあるから!! 今日は夕食早めに、就寝時間も早めて、終わったらフィリアのところ行くね?

 あっ!良かったら一緒に寝ない??

 私の部屋のベッドおっきいの!!

 昔は、寝相が悪くて大きめのベッドに四方をバリケードのように柵を作ってくれてたんだけど……。

 今は柵なんてないからね??

 いや、たまに落ちる事はあるんだけど……。

 ううん!! フィリアがいたら絶対大丈夫!!

 どうしても信用出来ないならフィリア側にバリケード作ってもらって……。

 って、フィリアは一緒に寝るでいいかな??」


 バネッサが饒舌に1人で話し始めてしまっている。

 私が深刻な顔をしていた為か、夜は1人にしない方がいいと思われたらしい。

 話の結果、バネッサが、どう言う反応をするのか不安だけれど、バネッサが許してくれるなら私も1人では寝れないだろうと思うので、バネッサに甘える事にした。


「バネッサが良ければお願いします」

「全然オッケー!!

 私の寝相が心配なら、金縛りの魔道具があったはずだからそれを作動させてもいいし!!」

「どんな魔道具ですか!?」

「えっと? 私が思春期の時に、父さんが部屋に勝手に入ってこようとするからその防犯対策?」


 金縛りの魔道具を作った経緯に驚いた。

 子離れできていない父親だったのかな?

ラルフさんとはあまり話せてないので人となりは未知数だ。


「その魔道具は、ちょっと気になりますが、バネッサの健康が心配なのでちゃんと寝てください。私は蹴られても大丈夫ですよ?」

「いや、そこは、私が気になるので!!

 金縛りで大丈夫!」


 そう言って、金縛りの魔道具を使う使わないで押し問答になった。

 結局はバネッサが折れて、真ん中にクッションを置く事と、私に保護魔法をかけるとの事で落ち着いた。


 さっきまで重たい気持ちだったのに、バネッサはこんな時でも明るくしてくれる凄い人だ。

 バネッサに話をしたら、何か変わるのでは無いかと、そう言う予感があった。

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