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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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夜空の下で

「フィリア、今日はお手柄だったね?」


 バネッサの声で私は、意識が浮上した。

 振り返ると、バネッサも寝れなかったのだろうか?

 バネッサも夜着に薄手のガウンという服装だった。


 お手柄とは何のことだろう?

 私が、何かしたかな?


「今日はサンとルナの喧嘩の回数が特に少なかった事よ!

 と言うか最初の一回だけだったでしょう??

 すごいなと思ったのよ!!」


「偶々です。昔、聞いたやり方を真似してみたら、今日は上手くいっただけで、昔は、ほとんど通用しなかったです」


 私が情けない顔をすると、何故かバネッサは申し訳なさそうな顔をしている。

 どうしたのかな?


「……昔。相手をした子供がもっとやんちゃだったの??

 大変だった?」


「……今思えば、そんな事は無かったように思います。

 私に余裕がなかった……。そのせいな気がします」


「フィリア真面目だから、手の抜き方がわからなくて、余裕無かったのかもね?」


「そうかもしれないです。

 私が怒ってその場を沈めるのが、その場限りでは、手っ取り早くて1番楽な方法なのでしょうが、後々、それは良く無いと習ったんですよね。2人のわだかまりが増えるだけだって。

 どんな話でも最初は受け止めてあげるのが大事だって……」


「そうなんだ。その子達は、フィリアに面倒見てもらえて良かったね。 ふふふ」


「どうでしょう? その時の私は余裕がなかったので、ちゃんと出来ていたか自信がありません。それに……私は無責任に最後まで見届ける事は出来ませんでした。中途半端な押し売りは、子供達を傷つけてしまう気がします」


「そんな事ないよ!

 ルナもサンは今日の出来事を、大きくなるにつれて忘れてしまうだろうけど、今日の出来事で2人の関係が変わるような気がするのよね? それってすごい事だと思うんだよ?」


「そうなのでしょうか? ……そうだといいですね」


「少なくとも、私はフィリアが、ペティに来てくれて良かったと思ってる」

「ありがとうございます」


 前世、どのように亡くなったのかは思い出せないけれど、子供は2人とも小さかった。

 私の事なんて覚えてないくらいに。

 私は前世の子供達に、大人になっても残る何かしてあげれてたのであろうか?

 私が、前世の子供達の事を思っていたら、バネッサから思いもしない問いかけがあった。


「ねぇ? フィリアは結婚とか考えないの?」

「え?? 結婚願望はないですね。私は、トライア地区で、誰かの役に立つ魔道具を作るのが夢です」

「その夢も叶えつつ、結婚も出来るんじゃない?」

「私は器用ではないので、両方は難しいです」


 本当は、子供を産むのが怖いだけだ。

また、子供を残していったら? そう思うだけで心が苦しい。

 それに、前世の子供達に顔向けできない。

 子供達にも怒られそうだ。

『私達は置いていったくせに、そっちでは幸せになるのか』と。

 そう思って、貴族の矜持から逃げて今に至るのだから、結婚したら本末転倒になってしまう。


「えぇ!!なんで?? 私、フィリアの子供みたい!!」

「ええ!? それならバネッサが結婚して産んだら良いじゃない。私も子育て手伝うから」


 私の結婚から晒す為、バネッサに話題を振ることにした。

 こう言うのは、年上から! とか言うつもりは更々、無い。けれど、バネッサがいるとその場が明るくなるし、きっと良い家庭を作ると思う。バネッサが、疲れている時は助けてあげたい。

 子はかすがい。存在自体が、力を与えてくれる、幸せな気持ちになると言うけれど、24時間365日だと、気が滅入る時もある。

 ほんの数時間だけでも自分の時間があるだけで救われることもあるだろう。

 私でも、それくらいの力には、なれるはずだ。

 生まれてすぐは母親はガルガル期で、他の人たちを寄せ付けない場合もあるみたいだけど、その時は勿論そっとしておく。押し売りはしない。


「私ねぇ。まだやりたい事がいっぱいあるからなぁ。

 それが全部終わってからかな?」

「急かすつもりは無いけれど、二十代で産んだ方が身体的には楽らしいよ?」


 医学的に子供を産むのに適した年齢は二十代だ。

 早過ぎても遅過ぎても、二十代の時に比べてリスクが上がる。

 この世界は魔法があるので、バネッサに何があっても治すつもりだけれど、出来るだけ安全に産んで欲しいとは思う。

 お産は命懸け。なのはこの世界でも間違いではない。


「あー。それねぇ。まぁそれでも今は、結婚したいと思わないし、仕方ないかなぁ? 良い人いないし? 今ちょー楽しいし!」


 バネッサは、今は結婚願望はないようだ。

 確かにバネッサは日々忙しそうだ。

 そんな中、私のコーディネーターまでしてくれていて体調は大丈夫なのかと心配になる。


「忙しそうだけど、大丈夫?

 私のコーディネーターは重荷になってない?」

「ぜーんぜん! 大丈夫!! 寧ろ私の楽しみなんだから!!

 私から取り上げないでよ??

 フィリアのコーディネーターはわたし!!

 何だからね!! そこは誰にも譲りません!!」


 ほっぺを少し膨らまして怒ったように力説するバネッサは、見ていて微笑ましい。本当に明るい気持ちになる。


「ふふふ。私もバネッサがコーディネーターで嬉しい。

 これからもよろしくね!」


 バネッサは不思議な人だ。

 こうやって私が必要な存在なんだと肯定してくれる。

 さっきまで落ち込んでいた気持ちが、前を向いている。


 明日は交流会当日のため朝も早い。

 2人とも、部屋に早々に戻ることにした。

 次、布団に入っても眠れない事はなく、朝はスッキリ目覚めた。

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