表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/159

入棟許可証 sideレルート

 フィリアを研究室に招く準備のため、フィリアを教室に残して研究棟へ向かう。

 ダルダナ訓練施設には、実習棟に隣接した研究棟がある。

 実習訓練施設の方は、実習生は入れるが、研究棟は許可された人しか入る事は出来ない。

 なので、フィリアのために臨時の研究棟入棟許可証を発行してもらう必要がある。

 教室を出た際に、サティカで管理室に申請書は送信しておいた。

 自分の研究における素材提供者として申請したので、後は面接と素材さえ管理室で見せれば、許可は下りるだろう。


 申請しているので、本当はフィリアも管理室までは行けるが、フィリアと一緒に行けば、管理室の審査で、尋問を受けるかの様な圧迫面接がある。

 

 研究棟は、研究棟全体と個々の研究室毎にセキュリティが施されている為、他者に研究を盗まれる事は無いとされているが、それでも絶対にセキュリティが破られないという保証はない。危機管理から研究棟管理室の連中は、いつも神経を研ぎ澄ませている。

 特にここ最近は、ある事があってから、ピリピリだ。


 なるべく、入棟する人数を減らす事は、そのリスク対応と言えるのだが、それ故に管理室は他者を入れるのを嫌う。

 臨時の入棟の際の面接は、こちらは悪い事をしたわけではないのに、犯罪者の様に詰問される面接は、あまり気分のいいものではない。寧ろそれで入棟を諦めさせようという節がある。

 フィリアが圧迫面接を受ければ、私に迷惑をかけてしまうと思い、見学を辞退すると言いかねない。

 フィリアは、魔道具に関して貪欲だが、身を弁えている。

 管理室の人間に詰め寄られれば、辞退するのは目に見えていた。

 なので、手間になるが、まずは私が代理面接を受け、臨時の入棟許可証を貰いに行く事にしたのだ。

 許可証をもらう面接は必ず本人がいないといけないわけではない。代理可能だ。

 私は研究のために何度も管理室とやり合っている。

 私の場合は、危険物の持ち込みがほとんどであったが……必ず許可は勝ち取ってきた。

 私が、管理室に面倒で煙たがられているのは自覚しているので、私が行けばすぐに許可は下りるだろう。

 本人が面接に来ない場合は、セキュリティゲートで最終の確認の項目が少し増えるけれど、圧迫面接を受けるよりはまっしだ。


 普段なら面倒だからと、人のためにしない申請も、フィリアがいれば何か新しい発見があるかもしれない。

 俺は大事に抱えたポーチの中にある魔導線に、未知の可能性を感じている。

 フィリアには言わなかったが、量産できなくても研究者には、喉から手が出るほど欲しい素材の場合もあるのだ。

 はやる気持ちを抑え、管理室は急ぐのだった。


 ◇◇◇


 研究棟は出入り口は一つしかない。

 実習棟を出てさらに奥、一本道を緩やかなカーブを描きながら進む。この道は研究棟の為だけに設置された道な為、その前には関係者以外立ち入り禁止のプレートと、許可のないものが、一歩でも踏み込むと自身のサティカからの警告音が鳴る仕組みだ。ここからすでにセキュリティに引っかかる。


 道を抜ければ、高い塀が見えてくる。のっぺりとした高い塀にはそぐわない、こじんまりとした扉が一つあるだけだ。これが出入り口で、中の様子は窺えない。

 研究棟の中に入った者以外は外観すら未知の世界なのだ。

 管理室は研究棟の出入り口を入ってすぐにある。

 研究棟の扉に手をかけると、そのまま何の抵抗もなく扉が開く。

 ただ、扉に手をかけた時点で認証は始まっており、セキュリティに引っ掛かれば扉を開ける事は困難なのだが、そんなのは、このセキュリティに関わっている者しか知らないだろう。


 ◇◇◇


 管理室前には、胸ポケットにフラスコと天秤のマーク、襟に黒の大鷲の刺繍を施された白衣を身につけている人物がいた。

 白衣の胸ポケットの刺繍は魔道具研究室の研究者のみに許された証明書となり、それが許可証の一つでもある。もちろんサティカでの認証もあるので、複数セキュリティになっている。

 襟の刺繍は研究室毎に違う。

 白衣の刺繍で、一目で研究室の関係者なのはすぐにわかる。

 研究棟の研究者はそれほど多くないので、皆顔見知りだ。

 顔を見ると、色素の薄い茶色の目と髪、顔立ちもどこにでもいる様な特徴を掴めない人物がいた。

 いつもは存在も薄いのに、今は存在感を露わにしている。

 ワザとだろう。

 普段は空気のように存在感のない奴なのに。

 関わりたくない人物だった。

 私に用があるから、わざわざいる事は、わかっていたが、私は見なかった事にして、横切ろうとした。


「分析には、私も立ち会いますので」


 まるで決定事項の様に、上から目線で言われ、思わず相手を睨んでしまったのは仕方のない事だろう。


レルートサイドの話が続きます。

大事な話なので、少し長いです。

フィリア登場までは少々お待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ