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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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謝罪

「すまなかった」

 いきなり謝罪から始まったレルート教官の話は、驚きだった。

 どうやら手違いで、私のテキストは20教室で、5級の全内容が含まれていたと言うのだ。

 つまり、私は5級の講義は全てクリアしているらしく講義を受ける必要がないのだとか。

 あとは実習を残すのみ、他の受講生達とカリキュラムが変わってしまうので、個人授業にこれからもなると説明された。


 …………?

「でも19教室初日は、レルート教官の講義を受けたましたよね?」

「すまない。あの講義は……」


 19教室で受けた講義は、どうやらレルート教官が専門にしている魔道具の理論らしく、5級魔道具作成免許とは全く関係がなかったらしい。最後の方は、脱線したのかと思っていたが、最初から関係ないとは思っていなかった。

 これに対しても、真摯に謝罪してくれた。


『そうなんだ。けれど面白い講義だったし、最新の理論を学べて私としては良かったのかな』


 そんな風に私は思ったので、正直にその気持ちを伝えた。

 そうしたら、レルート教官は困った顔をした後、ちょっと嬉しそうにしていた。

 まだ、量子理論は確立された訳では無く、まだ謎も多いし、例外事象もあるので、全ての理論が公式には認められている訳ではないらしい。


『そうなんだ。私が聞いていた限りでは、なるほど納得した理論に思えたけれど、こちらの世界では魔法もあるし、全てが理論通りにいかないのだろうな』

 と思った。


 謝罪も受け入れたので、これでこの話は終わり。


 困ったことと言えば、私は、2日間魔導線を引く事が出来ないので、実習を受けれない事だ。

魔導線マーカーペンを起動する際の起動ボタンは、利き手の人差し指にあり、魔導線を引く指と同じ場所な為、魔力を遮断されている状態では使用できないと言われた。

更に、講義もないとなると、もうやる事がない。

 バネッサと待ち合わせまでまだ2時間あるので、20教室のテキストの復習でもするかなぁ。後2日間もどうしよう? と、しゅんとしていたら、レルート教官は、少し迷った後、提案をしてくれた。


「俺としてはフィリアは少し休んだほうが良い様に思うが……。もし何か魔道具に関わっておきたいと思うのであれば、俺は今からこの魔導線の分析をしたり、魔導率や動作確認をしようとしてたのだが……見学するか?」


 レルート教官がちょっと、遠慮気味に提案してくれた内容は、私にとって、嬉しい提案だった。


「見たいです!!」


 第一線の研究者の実験は、本来なら弟子以外で頼んだって見る事は不可能な筈だ。

 見れるものなら見てみたい。

 見学する事によって得られる事は、多分にある!!

 私が即答すると、


「ははは。いつもは1人でやっているから、誰にも見せないんだが、今回は分析素材の提供者だからな。特別だぞ?」

「はい! 承知しています。結果も口外しないので、ご安心ください!」


 見学する事によって将来、私が研究するときに役に立つ事もあるかもしれない。魔道具の世界は閉鎖的だ。こんなチャンス滅多にないのだ。逃したくない。


「そこは、大丈夫だ。素材提供者には、必ず検査結果を報告していたから、フィリアには知る権利があるし、それをどの様に扱うかも君次第だ。

 まぁ、今の所この魔導線を引けるのはフィリアしかいないからな。今の世の中、量産出来ないモノは、普及もしない」


 レルート教官は、あっけらかんとしていた。今回の分析は、完全に趣味の範囲で、元々の自分の研究とは違うらしい。


 レルート教官の見立てでは、今までに見た事ない魔導線は、研究者としては心躍るが、多分これは量産出来ない物だろう。出来たとしても、それは遠い未来の話になるとの事だった。


 ◇◇◇


 レルート教官の研究室で分析をする事になったので、一度レルート教官は、研究室の準備の為に退出された。

 魔道具研究免許を取得した研究者は、個人の研究室を持つ事が許されている。レルート教官の研究室は、このダルダナ訓練施設にあるので、移動はすぐだ。

 レルート教官は、2年前に研究免許を取得したばかりらしくお弟子さんがいないらしい。(やはり意外と若いのかもしれない)


 かなり散らかっているので、少し片づけたいと言われた。

 レルート教官の性格から、研究室は散らかっていないと思うけれど、研究室には私に触れられたくない物はありそうなので、その整理ではないかなぁと思っている。


 10分程で戻ると言われたので、何をしようと思う。

 首を捻ると、思いの外、肩が凝っていた。

 夢中になると、ずっと同じ姿勢で腰やら肩やからが凝り固まる時がある。

 いつの間にか凝り固まっていた体をほぐすために、ストレッチでもしようかと、両腕を天井に伸ばした。


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