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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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20教室コンプリート

 次の日に20教室に行くと3割ほど人が減っていた。

 ドロップアウトしたのか19教室に移動したのかは定かではないが、ちょっと焦る気持ちが芽生えた。

 焦燥感はありながらも、なんだかんだ、テキストは順調に進む。

 分からない所は、レルート教官に思い切って質問してみた。

 意外と丁寧に、ちょっと脱線しつつも教えてくれた。

 教え方も上手い。

 怖そうな人だと思っていたが、学びたい人までは排除しないみたいだ。

 きっと自分にも他人にも厳しい人なのだろう。

 そんな感じがした。


 ◇◇◇


 3日目、更に減って残り3割ほどになっていた。

 焦る気持ちはあるものの、私も頑張れば今日20教室を終われるかもしれない。

 はやる気持を落ち着かせつつ、集中した。

 最後の自習時間まで使って漸く、全ての項目を終えた。

 パネルにある項目を受講し、問題もクリアすると赤色に変わるのだが、全ての項目が赤色に変わるのを見ると達成感が芽生える。

『ぬおぉー!!!! やったぜぃー!!

 私は頑張った!!』

 と叫びたい気分だが、勿論そんな事、小心者の私が出来るはずもなく……。けれど、きっと顔は、にやけてしまっているだろうと想像する。


 あっキモイやつだ。と自分で思いつつ、自習時間まで残っているのは、いつも私だけなので、誰もみていないだろうと思っていたら、レルート教官と目が合った。

 何故こういう時に限って目が合うのだろう……なんとも気まずい。

 まぁ今日でレルート教官とも、おさらばだ! と思って、気を取り直し、愛想笑いをして、その場をやり過ごす。

 何故かレルート教官は、無表情で無反応だった。

 気まずいので、さっさと帰るために、パネルの右下に出ていた完了ボタンを押す。


 すると19教室の案内図が出てきた。

 よし! これで明日から1つステップが上がる!

 今まで得た知識で、実習とか実験とかしてみたいなと思うとまたニヤける顔をしてしまう。

 あっ……いけない。すぐに顔を引き締めた。


 全部で3日、レルート教官には何度も質問をして、説明を受けた。自習時間は教官は、本来教室にいる必要はなく、最後に鍵を閉めにくれば良かったはずなのに、私を気遣ってか、ずっと教室で作業していた。

 礼儀として、最後の挨拶は必要だろうと思い、レルート教官の前まで行き、頭を下げた。


「今日で20教室、受講完了しました。

 レルート教官には、大変お世話になりました。

 ありがとうございます」

「まぁ、まだ19も教室が、残っているから頑張りなさい。

 フィリアの解答を見たが、なかなか面白い視点も持っていて興味深い。これからも励むように」


 頭を上げると、そこには優しげに目を細めたレルート教官がいた。笑うと少し幼く見える。意外とそんなに年は離れていないのかもしれない。


 今までにない表情に、ポカンとする。

 私の表情が気に食わなかったのか、レルート教官はすぐにいつもの無表情に戻ってしまった。

 慌てて私は、もう一度頭を下げて返事をした。


「はい!!

 これからも精進致します!!」

「ぷっ……精進致しますって……時代劇じゃあるまいし……イマドキ、若い子が?」


 レルート教官の声は小さくて聞こえなかったけれど、思わぬ反応に、チラリと顔を上げる。そこには笑いを堪えるレルート教官が……?

 どうやら私の言い回しが、変なツボに入ったらしい。

 何がツボに入ったか分からないけれど、レルート教官の新たな一面を引き出したみたいだ。また、無表情に戻られるのも困るのでとりあえず謝っておく?


「すっすみません」

「いや。短い時間だったが、なかなか面白い時間だった。

 これからも期待している」


 えぇっとこれは変な言い回しじゃなくて(変な言い回しとは思ってないけど)、魔道具の方だよね? 私はそう取りますよ!!


「はい! 受講生として恥ずかしくないように頑張ります!!」

「ふっ。まぁ真面目なのは良い事だが、あまり根をつめるな。人生長いんだ。もう少しゆとりを持っていけ」

「はい。気をつけます」


 何故か人生まで諭されてしまった。

 なんだかんだ私を心配してくれたのだろう。

 強面レルート教官は、優しい先生なのだと改めて思った。


◇◇◇


次の日、19教室にレルート教官がいた。

…………何故?


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