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【完結】半端者の私がやれること〜前世を中途半端に死んでしまった為、今世では神殿に入りたい〜  作者: ルシトア
第二部 ルルーシオ王国編

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趣味と仕事

「魔道具好きなのはわかるんだけどさぁ。魔道具好きで、オタクになるのと、それを職業にするのは違うと思うんだよね〜」

「そうでしょうか?

 好きな事を職業に出来れば、それ程嬉しい事はないのでは?」


 どうやらまた免許の話に戻ったらしい。移り気の早い人だ。

 けれど何となく憎めないのは、多分本心からそう思っているからだ。実際の年齢はわからないが、見た目より若いのかもしれない。子供のように感じてしまうので許してしまう。


 将来のことを考えた時、興味が出た事を極めて、それを職業にする。何となく消去法で選んだ仕事よりよっぽど良いと思う。


「だって、趣味と仕事が一緒になったらさ。仕事が行き詰まった時、趣味に逃げれないでしょ?」


 確かに趣味と仕事が一緒なら、仕事が嫌になった時、趣味としても嫌になることはあるだろう。それに、仕事を一度忘れようと趣味の方に走っても、結局仕事のこと考えているのと同じことになってしまうのはあるあるだ。

 それでも趣味で作るものからヒントを得る事だってある。

 仕事とプライベートを分けたい人は、別の職業を選択するであろうが、私は違う。やりたいことはとことん突き詰めたいので専門家になりたい。そうすると職業として従事するのは、悪いことではないと思う。


「う〜ん。そうでしょうか?

 同じ魔道具でも趣味で作るものと仕事は違うように思いますけど……。

 そう言うルビーさんも趣味と仕事を一緒にしようとしてますよね? ご自分は良いのですか?」


「私は多趣味だから良いのよ。

 魔道具師の夢がはたせなくても、服飾にも興味があるし、接客業も向いてるのよ。こう見えて料理も得意だったりするのよ?

 私は、結構潰しがきくっていうか?

 フィリアって多分、一途なタイプでしょう? 真面目っていうか魔道具一筋って感じ?」


「私だって魔道具以外に興味のある趣味の一つや二……。魔道具以外にも一つくらい趣味は、ありますよ」


 ルビーは私に対する固定観念があり過ぎではないだろうか。

 私だって趣味の一つや二つ……といいたいところだったが、私の趣味って、読書しかないと思った。

 グレゴリーさんの指導の賜物で、魔法や護身術の鍛錬は日課のようにしているけれど、趣味とは言い難いのではないかと思う。そうすると、他にないかなと思うけれど、ない。

 薬草を育てる事とか? それも仕事の一つになってしまってる? 私って仕事=趣味になってる?

 後はデールさんの料理を作ってみたいと思うので将来的に料理も趣味に出来たらなぁと思う。

 魔道具一筋ではないよね?


「ふ〜ん。

 まぁ、一つでもあると、まだ良いけどさぁ。

 それってちゃんとした趣味? 仕事の延長じゃなくて?

 フィリアって、一度躓くと、起き上がれない感じがするのよねぇ。

 魔道具師は、あの怖い先生の話もあったけれど、狭き門だし、挫折率も半端ないでしょう?

 フィリアがどれくらい魔道具に詳しいのかは知らないけれど、魔道具師って結構ストイックな職業だと思うのよねぇ。自分を律することのできる人じゃ無いとダメだし。かと言ってすぐに成果が出るわけじゃないじゃん?

 真面目過ぎたら、どんどん追い詰められて、思い悩んで、ヤケになって、鬱になって……。ってなったら後味悪いじゃん?

 だから親切に言ってる訳よ」


 一体私の何を知っているのだと思うけれど(私ってそんなわかりやすい?)、意外にも親切心から言ってくれた言葉らしく、ちょっと驚いた。

 今でもちょっと言い方はきついけれど、悪い人ではないのかと思う。

 確かに、失敗したら周りの人よりかなり落ち込むだろう。

 立ち直るのも遅いと思う。

 思い詰めたらとことん悩み、鬱っぽくなる事は今思えば前世で何度かあった。そういう意味では、ルビーの言う事は正しい。


 魔道具師と呼ばれる、魔道具研究免許を持っている人達は、研究費や人件費、場所の提供等の支援が特権としてある分、義務も生じる。免許を交付されてから5年以内に1人以上の弟子を取り、後進の育成しなければならないとか、年1回の研究成果の報告する義務がある。この地域は、知的財産権はかなりしっかりしているので、安心して研究報告できるが、報告出来るような成果を上げられない事がある。

 と言うか研究なんて、そんなポコポコ成果が上がる方が珍しいのだ。

 成果が上がらなかった実験も、それはそれで他の人が回り道をしないようにする為に報告することは重要だ。なので、成功した成果が出ない事は、割り切らないといけないところではあるが、それが何年も続くと、頭では分かっていても割り切れなくなってくる。


 小心者の私ならきっと何年も続けば割り切れなくなるのは、目に見えてるし、特権が逆に重荷にはなるだろう。

 確かに、魔道具師になるのは、私を追い詰める可能性はあった。



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