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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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みゆちゃんとこのみちゃん


「おねえさん、だれ?」

みゆちゃんがこのみちゃんを睨む。

「えっと、この子は?」

このみちゃんは私に尋ねてきた。


「わたしはおねえさんのかれし。

 うわきはだめだよ。」

みゆちゃんはそう言うと、このみちゃんを乗り越えて私の膝の上に座った。

私も普段の癖でそれを抱きかかえる。


「この子は同じアパートに住んでるの。

 かわいいでしょ?」

「え、かれしって冗談ですよね……?」


事情を全て説明するのは大変だ。

それにストーカーかもしれない人にみゆちゃんのことを紹介するのも憚られる。

迷っているとみゆちゃんから説明を始めてしまった。


「じょうだんじゃないよ。

 わたしがかれしで、おねえさんがかのじょ」

このみちゃんが冗談ですよねって顔で私を見る。

でも今はちょっとこの子と距離を置きたい。

みゆちゃんの話に乗ることにした。


「うん、この子が私の好きな人。」

「えー……」


このみちゃんがすごく引いた顔で私を見る。


「だって、この子。見たところ小学生くらいじゃ……。」

「光源氏って知ってる?」

「えー……」


さらにドン引きした。


「私の彼氏に引かないで欲しいな。」

「わたしたち、らぶらぶなの」


みゆちゃんが私の首に手を回す。

そしてそのまま私のほっぺに軽くキスをした。


「おねえさんはわたしの。」

そう言ってみゆちゃんは悪戯な笑みを浮かべた。


「えっと、しかも先輩がネコなんですか……?」

「?そうだよ。」

みゆちゃんが意味も理解せずに頷く。

このみちゃんが震えだした。


「え、えっと!僕の入るスペースはなさそうですね!

 失礼しました!」

そう言うとこのみちゃんはお金を置いて飛び出していった。

そしてすぐに戻ってきた。

「ごめんなさい!

 サッカーもやっぱりやめておきます!

 僕にはお二人の関係はレベルが高すぎます!」

一言だけ謝ってぴゅーっと走り去っていった。

すごい足の速さ。

もしメンバーに入ってくれてたら大活躍だっただろう。


「お嬢様!大丈夫ですか!?」

「みゆ!大丈夫か!?」

入れ替わるようにフランと大家さんが現れた。


「みゆ、急に居なくなったら駄目だよ」

「ごめんなさい、おじいちゃん」


みゆちゃんは大家さんとの買い物中に、困ってそうな私を見つけて助けに来てくれたらしい。

おかげで助かったけど、大家さんは急に居なくなったみゆちゃんを大慌てで探していたとのこと。

そこをフランが見つけて、今に至る。


「お嬢様も大丈夫ですか??

 怖い人と一緒に居ると伺ったのですが……」

「それはもう平気。

 またみゆちゃんに助けられちゃった。」


みゆちゃんはまだ私の膝の上に座ってる。

大家さんに怒られてちょっとしょんぼりしてるけど。


「みゆ様はお嬢様の恩人ですね。

 いつもありがとうございます。」

そう言ってフランがみゆちゃんの頭を撫でる。

みゆちゃんはちょっとだけ機嫌を取り戻した。


「これからカラオケですが、お嬢様は来られますか?」

そういえば小鳥がそんなことを言っていた。

勿論、行ける。

「良ければみゆちゃんも来る?」

みゆちゃんに声をかけると首を横に振った。


「きょうはおじいちゃんとおかいものしたい」

そう言って大家さんの隣に座り直した。


「では皆様を待たせるのも悪いですし、私たちは行きますね。」

「みゆちゃん、今日は本当にありがとね。

 帰ったらマッサージしてあげる。」

みゆちゃんは私の言葉に親指を立てて答えた。


「お手をどうぞ、お嬢様」

「ありがと、フラン」


フランの手を取って歩き出す。

このみちゃんにはロリコンって思われたけど、それも別に気にしない。

フランのこともみゆちゃんのことも、私は大好きだから。


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