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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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それぞれのお誕生日について


……身体中が痛い。

結局床で寝たのか、私。

横を見ると小鳥が寝ていた。

「うわっ!」

喋ってないと美人なんだよな。

ほっぺたをつつくとむにゃむにゃと言った。


「お嬢様。小鳥お姉様で遊ばないでください。」

ジトーっとした目でフランが見てくる。

ちょっと嫉妬してる?

朝から微笑ましい。

「フランもやってみて。面白いよ。」

渋々とフランの指が小鳥のほっぺたに沈む。

するとまた小鳥はむにゃむにゃと寝言を放った。

「これ!楽しいです!」

フランも気に入ったみたい。

ツンツンツンツンと連続でつつく。

「……っ!ぁあなんだよっ!」

ついに小鳥が起きた。

「小鳥お姉様!おはようございます!」

ニコニコと挨拶をするフラン。

小鳥の怒りも一瞬で収まった。

「ああなんだ、フランちゃんか。おはよう。」

くしゃくしゃとフランの髪を撫でる。

「フランの髪を撫でるな。

 それは私の特権。」

小鳥の手首を掴んで止める。

「えー。2人で撫でても良いんですよ?」

手首を掴む手に頭を擦り付ける。

そんな感じで今日という日も始まった。


時計を見たら7時。

「昨日よりはゆっくりな朝だね」

「昨日は夜更かししてしまいましたからね……。

 お嬢様の健康のためには仕方ないです。」

ちょっと残念そうにフランが言った。

7時でも充分早起きなんだけどな。

まだちょっと、いやだいぶ眠い。


「あたしは準備できたぞ。

 ほら、バカもさっさと顔洗えよ。」

小鳥はもう準備万端だ。

髪をポニーテールにまとめて、いつもの姿になってる。


「なんでお嬢様のお名前を呼ばないんですか?」

「あいつ自分の名前が嫌いなんだとよ。

 それとバカはバカだからな。

 昔あいつなー……」


私が顔を洗ってる間も2人は楽しそうに話してる。

フランにお友達ができたのはいいことだ。


「お嬢様!水を持たずに山登りをしたというのは本当ですか!?」

「小鳥?なんの話をしたの……?」

「あたし達ともう一人の3人でハイキング行った時の話。

 真夏に手ぶらで来たのまじで焦ったからな。」

「お嬢様は本当に危なすぎます!

 私がちゃんとしないと……。」

「昔の話だから今は大丈夫だよ。」

「酔って山登るのに?」

「うっ」



そんなこんなで家を出た。


「おや、今日は3人なんだね。」

大家さんのおじいちゃんに話しかけられた。

「一昨日は大丈夫だったかい?

 誕生日おめでとー!って叫んで走っていたけど……」

おじいちゃんが心配そうに見てくる。

「わ、若気の至りです……。

 気にしないでください。」

「……」「……」

大家さんに心配される様子を小鳥とフランは静かに見ていた。


「お前、まじで大丈夫か……?」

歩きながら小鳥が聞いてくる。

「し、仕方ないじゃん。

 お酒飲むの初めてだったし。」

恥ずかしすぎる……。

私、ほんとにお酒駄目なんだな。

「来年は私たちがお祝いしますから。

 自棄になっちゃ駄目ですよ。」

「来年は誕生日パーティーしような。」

フランだけじゃなく、小鳥も優しい。

いたたまれない……。


「そういえば、2人は誕生日いつなの?」

「私はこの星の時間との突合が難しいんですよね。

 お嬢様とお会いできた日が誕生日です!」

フランはそう言ってニコッと笑った。

「じゃあ私と同じ4月の1日だね。小鳥は?」

「……」

小鳥はちょっと気まずそうに口をつぐんだ。

なにか言いにくいことでもあるのかな。

「……あたしは4月2日だよ。」

……え。

「……私、小鳥の誕生日を山で過ごさせたってこと?」

余りにも申し訳無さすぎる。

「まあ気にすんなよ。どうせ予定はなかったしな。」

気まずい空気が流れた。


「じゃあこうしましょう!

 今日は皆の誕生日パーティーです!」

その空気を壊してフランが提案する。

「そっか、あたしら1日しか違わないもんな。」

小鳥が犬歯を剥き出しにしてニッと笑う。

私も釣られて笑った。

「じゃあ今日はみんなでパーティーだね。

 私、部屋の内装担当する。」

「じゃああたしはケーキ買ってくるわ。」

「私は料理を担当させていただきます!」

誕生日パーティーなんていつぶりかな。

すごくワクワクする。


「でもまだしばらくはお店も開かないだろうし。

 もうちょっとお散歩しよ。」

「はい!」「おう」


そうして私たちは笑いながら散歩を続ける。

フランを真ん中に3人で手を繋いで。

 

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