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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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幕間 小鳥さんとの打ち合わせ


「えっと、改めてよろしくお願いします!」

引っ越しのちょっと前。

今日は小鳥さんに誘われて一緒に買い物に行くことになった。


「あんまり緊張しないでいいよ、めぐるちゃん。」

小鳥さんはそう言って優しく笑いかけてくれた。


正直、私は人見知りだし人付き合いは上手くない。

距離感を間違えてトラブルを起こすことはよくあった。

自分から誘ったものの、小鳥さんと一緒に暮らすのは不安ばかりだ。


(しかもこんなに綺麗な人……。

 私なんかがルームメイトでいいのかな……。)


小鳥さんは私と違ってすごく格好いい。

背は高いし、女性に使う言葉じゃないけどハンサムだ。

見た目に関しては、今の王子様よりもずっと王子様が似合うと思う。


「ん?あたしの顔になにかついてる?」

「い、いえ!なんでもないです!」


ついジロジロと見てしまった。

失礼なことしちゃった……。


「あ、もしかしてバイクが気になるか?」

集合は私の家の前。

小鳥さんはバイクで来ていた。


「良いだろ。あたしの自慢だぜ?」

犬歯を見せて笑う小鳥さん。

「うん、すごく格好いいです……。」

バイクも格好いいけど、小鳥さんとバイクがすごく似合ってる。

私はついその笑顔に見惚れてしまう。


「良ければ一緒に乗るか?」

小鳥さんがそう聞いてくる。

私は首を何度も縦に振ってその誘いに乗った。


バイクで二人乗り。

ずっと憧れてたシチュエーション。

ちょっと怖いけど、乗らなかったらあとで多分後悔する。


ちょっとだけ二人乗りの講習を受けて出発。


「よし、じゃあしっかり掴まれよ。」

「は、はい!」


渡された装備をつけてバイクに跨る。

そして小鳥さんの身体に手を回す。

すごく体幹がしっかりしてる。

なにか運動とかしてた人なのかも。


「ひゃっ」

バイクが発進した。

ゆっくりと速度があがっていく。


こわい。

でも風が気持ちいい。

それに小鳥さんに掴まっていると安心感がある。


「……すごい!」

感嘆の声は風に紛れて小鳥さんには届かない。

それでもこの気持ちよさは、声を出さすにはいられなかった。


しばらくして、目的地であるショッピングモールへと着いた。


「すごい!すごかったです!」

バイクから降りるなり私は小鳥さんに飛びつく。

「小鳥さん!運転上手でかっこよかったです!」

手をブンブンと振ると、小鳥さんはちょっとだけ照れた。


「そんなに喜んで貰えるとは思わなかったよ。

 帰りも乗るか?」

「はい!乗りたいです!」

そう言うと小鳥さんはまたちょっとだけ嬉しそうに笑った。


「とりあえず何から買いに行きますか?」

今日の一番大きな買い物は冷蔵庫。

あとは食器類もせっかくの機会だし新調したい。


うーん、と考え事をしてたら小鳥さんから声をかけられた。


「これからルームメイトだしさ。

 タメ口でいいよ。」


た、ため口!?

そんな恐れ多い……!


「あたしもめぐるって呼ぶからさ。

 小鳥って気軽に呼んでよ。」

「で、でも小鳥さんは小鳥さんだし!」

「じゃあめぐるさんって呼ぼっかな。

 これからよろしくお願いしますね。」


小鳥さんはそう言ってわざとらしく距離を置いた。


「う、うーん。じゃあ小鳥……ちゃん。」

私が言うと小鳥さんは歯を煌めかせて笑った。

笑顔もかっこいい……。

「おう、よろしくな。めぐる!

 足止めさせて悪かったな。」

小鳥さん、いや小鳥ちゃんが私の手を引く。


「足元にお気をつけて。お嬢様。」


フランちゃんの真似だと言いながら小鳥ちゃんが前を歩く。

それは私の心臓が持たないからやめてくださいとお願いした。

小鳥ちゃんはどうしよっかな〜と悪戯な笑みを浮かべる。


王子様の縁で一緒に暮らすことになった彼女。

それでも彼女ともちゃんと仲良くなりたい。

私は心からそう思う。


だから私も勇気を出して敬語をやめよう。


「もう!こちらこそよろしくね!小鳥ちゃん!」


この縁もきっと素敵な縁になりますように。

そう願いを籠めて。


 


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