入居歓迎パーティー
投稿漏れが有ったので、今さらですが8話と9話を追加しました…。
大事な話が漏れていて申しわけないです…。
「それでは2人とも引っ越しおめでとー!」
クラッカーの音と共にパーティが始まった。
今日からついに小鳥とめぐるちゃんが本拠地をこちらに移す。
なので今日はパーティの日になった。
主賓は勿論、小鳥とめぐるちゃん。
それを私とフランとみゆちゃんが歓迎する形だ。
「それでは本日の主役である2人から一言ずつ!」
小鳥とフランはそれぞれ『本日の主役』と書かれたタスキをかけ、派手な三角帽子を被っている。
すごく浮かれているのが分かる。
「いや、浮かれてんのはてめぇだろうが。」
こんなもんまで用意しやがって。
そう言いながら小鳥がめんどくさそうに立ち上がる。
「でも歓迎してくれるのはありがとうな。
これから改めてよろしく。」
小鳥がペコリと頭を下げる。
「ことりおねえさんがきてくれてうれしい」
みゆちゃんは小鳥の引っ越しが決まったときからすごく嬉しそうにしていた。
たまにしか会えない2人だったけど、これからもっと仲良くなるに違いない。
「ことりおねえさんのこともあきらめてないからね。」
みゆちゃんは小鳥にくっつくように座り直した。
「まあみゆちゃんはここの先輩だしな。
これからよろしく頼むよ。」
小鳥はそう言ってみゆちゃんの頭を撫で始めた。
「つ、次は私ですね。」
めぐるちゃんは見るからに緊張していた。
知り合いしか居ないし、緊張しないでいいのに。
「えっと小鳥ちゃんと暮らすことになりました。
四ツ門めぐるです。よろしくお願いします!」
……あれ?
「タイム」
私はタイムを宣言して小鳥を見る。
「小鳥ちゃん!?どういうこと!?」
小鳥にちゃん付けは世界一似合わない。
なんかこう、聞くと背筋がぞわぞわする。
「いや、あたしら一緒の部屋だし。
ずっと敬語は変だろ。」
小鳥は全然気にしてない。
いや、たしかに仲良くなるのは良いことだけど。
似合わない……。
「え、えっとやっぱり変かな……。」
めぐるちゃんは私の様子を見て焦ってる。
「このバカの言うことは気にしないでいいよ。」
そう言って小鳥は場を落ち着けさせた。
「ごめん、なんかイメージと違って焦っちゃった。
私もこれから小鳥ちゃんって呼んで良い?」
「いいわけあるか。ボケ。」
なんで私は駄目なの……。
まあそんなことは置いといてパーティは続ける。
「今日は1階に住む自称限界美人OLの山城さんからもプレゼントが届いてます!」
奥の部屋に隠したそれを持ってくる。
「じゃん!」
「これなに?木?」
お、さすがみゆちゃん。
いい質問。
「これは生ハムの原木です!
みゆちゃん、ちょっと食べてみる?」
みゆちゃんがコクリと頷く。
私は備え付けのナイフで一切れ切ってみゆちゃんに渡す。
「しょっぱいけどおいしい」
みゆちゃんはそれだけ言った。
中々の高評価だ。
「……?なんで生ハムの原木?」
小鳥が当然の疑問を投げかける。
もちろんその質問は予期していた。
私は白紙の手紙を読む振りをする。
『お二人の新しい生活。陰ながら応援します。
この生ハムのように、塩からくてもたくましい暮らしをしてください。』
「山城さんって変わった人なんですね………」
めぐるちゃんが絶句する。
「はぁ……」
小鳥は一度ため息をつくと立ち上がり、私が手に持つ手紙を奪った。
「何も書いてねえじゃねえか。
捏造してんじゃねえよ。」
まあ小鳥にバレるのは知ってたから驚かない。
「んで?なんで生ハムの原木?」
「酔っ払ってる時に買って、食べきれないから貰ってほしいとのことです。」
「このアパート酒癖悪いやつばっかりかよ……」
今日何度目か分からないため息。
「私が管理するので食べたい時は来てください。」
フランがテキパキと切り落としてみんなのお皿に盛っていく。
「あ、私は遠慮しておきます」
めぐるちゃんは断った。
お医者さんに塩辛いものも止められてるのかな。
まあしょうがない。
「ことりお姉さん、あーんしてあげる」
「あんがとよ」
みゆちゃんが生ハムを小鳥に食べさせてる。
せっかくだし私も真似してみる。
「めぐるちゃん?口開けて。」
「え!?」
「ほら、口。」
「え、は、はい………」
めぐるちゃんが目をつぶって口を開ける。
あ、でもめぐるちゃんは生ハム食べないんだった。
どうしよ。
とりあえずほっぺたをぷにぷにしてみる。
「!?!?」
すごく困惑してる。
ちょっと可愛い。
ばしっ
「いたっ」
遊んでたら小鳥に叩かれた。
「めぐるで遊ぶな。」
「めぐる呼び……。
いつの間にそんなに仲良くなったの?」
「何回か2人で遊びに行ってんだよ。
部屋のこと決めるついでにな。」
正反対のように見えて、2人の相性は悪くないらしい。
「ほら、お嬢様。お嬢様もちゃんと食べてください。」
フランがあーんしてくれる。
「ありがとね、フラン。
いいもん、私にはフランが居るから。」
生ハムを食べて、フランを抱きかかえる。
「ほら、みゆちゃんもこっちおいで」
手招きすると、みゆちゃんも私の膝に座った。
「はっ。あたしにはめぐるが居るから。」
そう言って小鳥はめぐるちゃんの肩を抱いた。
「めぐるちゃん、小鳥に騙されないで。
めぐるちゃんもこっちにおいで。」
めぐるちゃんにも手招きする。
私と小鳥の間で火花が散った。
「王子様と小鳥ちゃんが私を取り合ってる……。
幸せ……。」
めぐるちゃんがすごく幸せそうだから、茶番はもうしばらく続いた。
そんなこんなで大家さんがみゆちゃんを呼びに来るまでパーティは続いた。
これからはこんな毎日が続く。
そう思うと胸の高鳴りはどうしても抑えることができなかった。




