3人の帰り道
8話と9話に投稿し損ねていた話を追加しました…
読んでくださってる方には申しわけないです(-_-;)
「ごめんなさい。
お泊りできるようなスペースはなくて……。
気をつけて帰ってくださいね!」
まあそれは一目瞭然だった。
だから今日は日帰り。
私とフランと小鳥で歩いて駅へと向かう。
「麻雀とかもそのうちやってみたいね」
ルール知らないけど、国士無双!ってやってみたい。
「ああ、あたしも何も知らないけどな。
ちょっと憧れはあるわ。」
「次は麻雀大会ですね!」
そんな話をしながら、フランを真ん中に手を繋いで帰る。
めぐるちゃんの家から駅までは30分くらい。
これを毎日往復してるなら、アパートの立地も気にはならないだろう。
「めぐるお姉様のお家、すごく楽しかったですね。
おもちゃ箱みたいでした……!」
フランは部屋の様子を思い出してうっとりとしている。
「あたしの部屋はどうだった?」
小鳥が冗談混じりに聞いてみる。
「洗練された部屋に、お布団の優しさが溢れてました」
フランはそう言ってニコッと笑った。
「……っ!」
小鳥は墓穴を掘ったことを自覚したらしい。
顔を赤くして黙ってしまった。
「お隣になっても泊まりに行こうね。」
「はい!もちろんです!」
「フランちゃんはいいけど、バカは来るな。」
「ほんとは私にも来てほしいくせに。
フラン、見て。これがツンデレだよ。」
「大丈夫です!私にもそれくらい分かります!
お嬢様も連れて行くので安心してくださいね!」
「……」
無言で睨まれた。
真ん中にフランが居なければ叩かれていたかも。
「まったく、小鳥はどうして素直じゃないのやら。」
肩を竦めてみる。
「私のことは褒めてくれるんですけどね。」
そう言うとフランは小鳥の手を強く握る。
「フランちゃんは可愛いからな。
いつでも遊びに来なよ。」
小鳥もフランの手を強く握り返す。
なんか仲間外れの気分………。
「あ、そうだ。
フラン、小鳥と場所変わって!」
「いいですよ!」
そう言うとフランは小鳥を真ん中へと押し込んだ。
「ほら、手。」
小鳥に私と手を繋ぐように促す。
嫌そうな目で見てくるけど気にしない。
「お嬢様とは手を繋いでくれないのですか……?」
フランが潤んだ目で小鳥を見る。
小鳥は暫しの逡巡のあと、私の手も握ってくれた。
「フランの為だからな。」
ほんとに素直じゃない。
「見てフラン。またツンデレだよ。」
フランを見ると、何故か私の方を見てニヤニヤしていた。
「お嬢様も顔が赤いです。……照れてますよね?」
笑いを堪えながらそんなことを言ってきた。
「へぇ。ほんとだ。」
小鳥も私の顔を見て悪そうな笑みを浮かべた。
「気の所為だよ。」
私は2人から目を逸らす。
顔を見なくても2人がニヤニヤしてるのは分かった。
小鳥を真ん中に3人で手を繋いで歩く。
顔を赤くする女性2人と執事服の少女が1人。
「私たちはどんな関係に見えるのかな」
ふと思ったことをつぶやく。
「どうでもいいだろ、そんなん。」
小鳥はそう言って楽しそうに笑った。
うん、本当にどうでもいいことだ。
私とフランも小鳥に続いて笑った。




