5th TARGET
【言葉の真意】
消えない……?
それはいなくならない、ということだろう。
言葉のまんま受け取るには難しい言葉だった。
いや、もしかしたら彼女は気付いているのかもしれない。
仮にそうだとしてもイルミナにそれを防ぐ術はないはずだ。
「ボクは、天才ですから。」
心でも読まれてるのかと少し動揺してしまうが、ここでボロを出さなければいいのだ。
「出来たか?」
「はい、出来ましたよ。」
あんまり大した事のない装置、ほかにも動いてる機械があるが……それらが動力源か?
「はい、繋がったよ。行先は獣人の世界。」
「そうか。」
ザクッ……
俺は両手を刃にし、イルミナを持ち上げるように突き刺した。
周りに電気が飛び散る。
防御のつもりだったのか?
この場合は防御ではなく反撃をするべきではないのか。
どちらであろうと関係ない。
こいつは死んだ、心臓が止まっているのが証拠だ。
用が済んだら殺す、無駄な情報を残さないためにもな。
そして俺は開いた入り口に、獣人の世界へ進む。
全てを知る事の出来る「全知」の能力を持つ獣人から情報を得るために。
×××
ナナシさんがいなくなり、静まり返るはずの研究室。
そんなわけないよ。
機械は動き続けるよ……当然、ボクもね。
まだ意識が生き返っただけ、それでもボクは終わりやしない。
愛おしいナナシさん、あなたにまた会うために……。
×××
空間を抜けるとそこは森だった。
「あ、穴から人が!?」
1人の少女……動物のような耳を生やしているのを確認。
獣人だろう。
ちょうどいい、こいつに道案内を頼もう。
「おい、『全知』の能力を持った獣人はどこにいるか知ってるか?」
「ミダラ……様の事ですか?……知ってます。」
「案内を頼みたい。用がある。」
獣人の少女は小さく頷く、
「ちょうどミダラ様のいる村から来てるので案内します。」
運がいい、というのだろうな。
少し進んだところに大きな像があった。
かなりコケが生えていて長い間放置されているようだ。
「それはチャナカドゥという、かつて英雄だった人の像です。」
かつて英雄だった……か。
まるで今は英雄ではない、と言わんばかりの空気だ。
「シュゴ……シュ、シュゴゴゴ。」
森の中から何かが姿を現す。
奇妙な仮面を被った何者か……その姿は異様で全体的に濃さの違う紫をしていて、肌は薄い青。
この世の者ではないような、そんな恐ろしい姿をそいつはしていた。
どこかで見た気がして、ふと振り返る。
「やはりそうか……。」
そいつの姿はチャナカドゥという、かつて英雄だった者の姿だった。
「あれはチャナカドゥの亡霊です!」
チャナカドゥの亡霊……?
「どういう事だ?」
「この村では暴走したチャナカドゥにより生贄を捧げていたんですが、それを解決してくれた新たな英雄が今、村にはいます。ですが、その解決をしてからこの森に現れるようになったのが……あの亡霊です。村の人たちはファントムと呼んでます。」
ファントム……。
やつはこちらを見て、じっと動かない……。
ここを通るのは、やつを倒さない事には叶わなそうだ。
俺は右の手のひらを地面に付け、能力を使い震動させる。
それにより草が埋まり石などが顔を出す。
俺の能力は草の上では上手く機能させられないからな……。
さあ、始めようか……ファントム。




