11th TARGET
こんにちは、長期休業していたCarmillaです。
そろそろこちらの外伝もクライマックスという事で前書きを書かせていただいております。
至らぬ点は多々あると思いますが。
今後ともCarmillaを
ぜひ、よろしくお願いします。
【お邪魔します】
この女と今戦うのは非常に都合が悪い。
なぜなら、まず単純にタダではすまんからだ。
この女との相性からして殺せるかすら難しいだろう。
これから北見 翔也を早急に殺す目的がある以上、こいつとの戦闘は非常に気が進まない。
理由はそれだけではない。
こいつを殺せる可能性は確かにある。
が、それをするとかなり目立つ。
俺の行動がかなり制限されるだけでなく、ここで俺を北見 翔也に目撃されれば間違いなく警戒される。
それも避けたいのだ。
などと、考えている暇も与えてくれないようだ。
俺は即座に辺りのコンクリートなどを操り壁を作る。
ドンッという大きな音と共に女は宙を舞い壁を飛び越える。
だが空中に出たのなら仕留めるのみ。
俺は廃ビルを操り潰そうとするが女は爆発する魔法を使いそれを上手く躱す。
「『焦熱の獄剣』!!!」
「ちっ。またか。」
俺は無意味な可能性もあるが、能力を使いそれなりの壁を作りその場を離れる。
俺の勘は正しかった。
女の魔法による飛んでくる剣は壁を豆腐のように容易く貫通し、地面へと突き刺さったのだ。
この辺は人気が少ないからまだ大事にはなっていない。
だが、時間の問題だろう。
音を聞きつけ人間がそれなりに集まり始めている。
女の魔力切れを待っていたら手遅れになる。
では、真正面から戦うかと言ったら、それはリスクが大き過ぎる。
そもそもあの女に勝てるかどうかもわからないのだ。
ようするに、このまま殺り合うのも不毛だということだ。
「全くその通りですな〜。」
「あぁ、そうだろう。」
今の声は誰だ?
いったい誰が俺に……。
「クレアさんの方は大丈夫なんで、あなたもどっかに行ってね。」
俺の視界が歪む。
この感覚は空間の移動だ。
何者だ、せっかくここまで来たというのに。
×××
「一件落着……とはいかないよね。どうしよっか、これ。」
私は辺りを見回し、その酷い有様に大きくため息をつきます。
クレアさんの方は記憶を少し戻して、ここのどこかに飛ばしたから問題ないし。
さっきのあれも翔くんの害になるから別世界へ飛ばして解決。
だけど、この惨状とそれに集まってきた人たちはどうにも……。
「私との交渉に答えてくれるのであれば、この状況をどうにかしよう。」
「えーと、どちら様?」
「私は『調和』のジエスと申します。」
かなり変わった格好をした男性だと思ったけど、使徒王ね。
「使徒王が私と交渉って、何を要求する気?帝国側でしょ?」
ジエスを名乗る使徒王さんはアゴに手を当て、首を傾げる。
「帝国側……?私は確かに帝国の幹部ではありますが、あちら側ではございません。私は調和……すなわちバランスのための存在ですから。」
よくわからないけど、話くらいは聞こうかな。
「それで、交渉っていうのは……?」
「私を過去へ連れて行っていただきたい。正確には先ほど別世界へ送り込んだ彼の始末を手伝っていただきたい。」
この人もあれを狙ってるんだ。
「私の予知でも彼は人間の世界に大量のクローンを送り付けてくるっぽいけど、それは私が対応するよ?」
「それは知っております。ですが、彼の送るクローンはこの世界だけではないのです。この世界はともかく、ほかの世界に滅ぼられるのは困るのですよ。」
話を詳しく聞くと別にこの世界はかなりアンバランスで、その原因が私でもある事からジエス自身は関与する気はないらしい。
だけど、彼と戦うより彼が産まれる前に消してしまう方がよっぽど確実ということで、この交渉を決めたらしい。
「うーん、まあいいよ。翔くんの害になるわけだし、協力して損はしないからね。」
「そうですか、ありがとうございます。では、参りましょう。過去の世界へ───。」
と、こんな感じに視点が切り替わります。
今回は本編のあの子でしたが。
次回からはジエス視点です。




