10th TARGET
【人間の世界】
「……ミダラ、俺のせいで扉の番人使わせちまうなんて。本当に……すまない。」
「いいんじゃよ、お主は今じゃこの村の宝じゃ。宝具を一度使ってお主を助けられたのなら十分じゃ。お主は傷も感知したようじゃし、よかったよかった。」
俺はそう言われた途端、我慢してた涙が溢れてしまった。
「それだけじゃねぇだろ……!!」
ミダラの顔から笑顔が消える。
「お前の左腕まで持ってかれたじゃねぇか!」
くそ。俺が……俺が甘いせいで。
こんな事になるくらいならいっそ俺が────。
「妾は大丈夫じゃ。……そうじゃのう。どうしても償いたいのなら、いつかこの仇を機会があれば取ってくれ。それで十分じゃ。」
×××
ここ……は?
俺は目を開き辺りを見回す。
そこにいるのは、なんの特殊さもない人間の姿。
まさかここは……人間の世界、なのか?
「あ、あんた!何者よ!」
なんだこの女は……答える義理もない。
さっさと殺して北見 翔也を───。
そう手を伸ばすと同時に俺の体が炎に包まれた。
俺は腕で自分を囲い、何とか焼死は免れたが。
「いきなり殺しに来るとは……人間の女ってのは危険なものだ。」
「あんただっていきなり私に手伸ばして来たじゃない!殺気丸出しの手を!それに私は精霊よ!」
こうも短期間に多種多様な種族に会うと耐性が付くものだな。
吸血鬼に獣人に魔力の存在に鬼に半使徒、そして精霊。
いったい他種族や不思議生物とはどれほどいるのだろうな。
「……コホンッ。それであんたは何者なのよ。」
「俺は何者でもない。名前も存在しない。」
「へー、あっそ。」
この女は自分から聞いた割にはあまり興味を示してないな。
俺から見るに嫌な奴なのではなく、こいつはコミュニケーションが苦手なのだろう。
正確には不器用というものだ。
「私はクレア=インフェルよ。で、探し物でもしてんの?」
「ああ、そんなところ……だ!」
俺はそう言い腕を変化させ攻撃を仕掛けるが炎の魔法により防がれる。
「あんた何!?さっきからすぐ殺そうとして、バカなの!?」
と言いつつも、回避したついでのように思いっきり魔法で反撃するような女に、バカとは言われたくないものだ。
「それであんた、どこから来たのよ。」
「獣人の世界だ。」
この女は面倒だ。
北見 翔也を早急に始末する為にもここは適当にやり過ごそう。
「その前は?」
その前……?俺が別の世界にいたのがわかるのか?
「どう見ても獣人じゃないもの、見る限り人間か精霊か……よね。」
最後に何かを言おうとしたがやめたようにも見えた。
まあいい。
「吸血鬼の世界だ。」
ピクッ
女の表情が変わった。
「来たれ────」
「?」
今までとは違う、これは……この感じは。
嫌悪を纏った殺気だ。
「『焦熱の獄剣』!!!」
その叫びと共に俺の方へと炎の剣が飛び出してくるが、間一髪それを回避……。
いいや、右腕を焼かれたな。
二の腕からした全てを。
俺の能力上、機械で出来た腕を治すくらいは問題がない。
問題はあの女だ。
俺の知っている情報の中にあんな魔法はないぞ。
「何驚いてんのよ。」
黒夢 紫月の言葉を思い出すな。
───『相性』、この女は俺にとって最悪の相性のようだ。
「ちょっと全身が燃えてるだけよ?」




