作者より(日本語)
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。楽な読書ではなかったと思います。
『打たれた杭は、二度と出ない』は、私がこれまでに書いた中で、いちばん書くのがつらかった作品です。誠実に書くために、いじめの体験談や実際の事件を読み、命を落とした人たちの遺書にも目を通しました。重い調査で、終わったあとも心に残りました。同情してほしくて書くのではありません。ハルトは都合のいい作り話ではなく、本当にあった多くの話から作られた人物だと、知っていてほしいのです。細部まで気を配ったのは、その人たちへの敬意からです。
読者に衝撃を与えるためにこの話を書いたのではありません。ハルトの結末は避けられなかった、と言いたかったのでもありません。避けられました。最後のページで彼が考えていたのは、何週間も痛めつけられ、疲れ果て、誰にもきちんと尋ねてもらえなかった人の考えです。「自分は迷惑だ」「自分はいらない」という論理は、嘘です。いじめが作り出す嘘です。ハルトは欠陥品ではありませんでした。彼に起きたことには「いじめ」という名前があり、責任は、受けた側にはありません。
希望について。「きっとよくなる」とは言いません。渦中にいるとき、その言葉は届かないからです。もっと小さくて、現実的なことを言います。
・今日、誰か一人に話してください。最初の人が聞いてくれなかったら、別の人に。聞いてくれる人は、います。
・何があったか、日付をつけて書き留めてください。それはあなたの記録です。
・いなくなりたいと思うときは、電話をかけてください。何も決まっていなくても、かけていいのです。
24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310
よりそいホットライン:0120-279-338
子どもの人権110番:0120-007-110
(番号やサービスは変わることがあります。かける前に、公式サイトで最新の情報をご確認ください。)
そして、もしあなたがこの物語を、自分とは関係のない世界のこととして読んだのなら。次に、教室の隅でひとりでいる人を見かけたとき、特別なことをしなくていいのです。ただ近づいて、名前を呼んでください。それは、ハルトのような人にとって、「君はまだここにいる」という合図になります。




