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教えて!シルヴィア先生

次回、ようやっとダンジョン回です。

予想以上に時間かかりました、すみません。




ハンナと別れたシルヴィアは、ギルドに借りている専用ロッカーにバックパックを預け、次の目的地へと向かった。


中央通りから少し外れて、真っ直ぐ西側へ向かうと、やがて見えてきたのはこの辺りでも1番大きな建物だ。




「シルヴィア先生っ!!」




中へと入り一つ、二つと角を曲がった所で聞き覚えのある声に呼び止められた。




「おや、イレーヌさんお久しぶりですね」


「お久しぶり、じゃないです先生っ!今までどこにいってらしたんですか。課題だけだして、全然お顔出して下さらないし!」




ここで、「う〜〜っ」と唸っている、少し癖のある赤髪の女の子は、私が受け持つサポーター科の生徒だ。


私からすると、このちょっとつり目で気の強そうなところが愛らしい。

彼女とは数年前ちょっとした縁があり、それから私の元で学んでいる。




「寂しがり屋さんですね。実は少しばかり野暮用がありまして、課題の方は如何ですか?」


「もちろん先生に言われた事は、すべて日課としてこなしています。ですから私もそろそろダンジョンで実戦経験を積ませてください」


ダンジョンに入れる(・・・・・・・・・)、とそういうのですね?」


「ゔっ・・せ、先生と一緒なら・・・で、でもっ!今年の一年生だってもうすぐダンジョンに入るって、だから・・・」




彼女も、もうすぐ3年生になる。


しかし、それに対して実戦経験の方が乏しく、後輩がどんどん前に進んでいる事に焦りを感じてしまったのだろう。




実はこの子、ダンジョンには少しばかりトラウマがある。

その為、他の生徒とは別枠での履修を特別に受けさせてもらっていた。



彼女曰く、どうしても冒険者にならなければならない事情があり、私も少しではあるがその事情とやらを聞いている。



何よりもサポーターとして働きたいと決めたのは彼女自身だ。

そんな彼女が、自らダンジョンに行きたいと言っているのだから、師としてこの願いを断る理由はない。




「わかりました、ではさっそく明日行きましょう」


「明日!?あ、ありがとうございます。よろしくお願いします!」


「ふむ。ではその前に、日々の日課の成果を確認しておきますか、どれ・・・」


「え?いや、ちょっ・・待って!」




私からの突然の宣告に、彼女は何故か慌てて逃げようとするが、当然逃したりしない。




私はイレーヌを見つめ、サクッと【魔眼】を発動した。



瞳の色は透き通るような水色。

アクアマリンのようなその瞳は、その視界に捉えたものすべてを見透し、一切の嘘偽りを許さぬ【真理の魔眼】だ。



すでに手遅れだと気付いたイレーヌは逃げるのを諦めると、その場で大人しくしている。

発動は一瞬、すぐに元の瞳の色に戻した。




「それより先生っ、誰が見ているかわからないんですから、気をつけて下さい」


「大丈夫、一応周りの気配は確認してますから」


「そういう事ではないんですっ!」




私が、この目の事を隠しているのを知っている彼女は、いつも口癖のように注意してくる。

まったく心配性である。



ただ強力過ぎる力というのは、いつの時代でも疎まれ、恐怖した人々はそれを排除しようとする事も知っている。




「それはそうとイレーヌさん。結果報告ですが・・・」


「か、覚悟は出来てます。ひと思いにやっちゃって下さい!」


「では遠慮なく・・・、じゃじゃん」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【イレーヌ=ウェルネス】


年齢:17

称号:元貴族

階級:魔法師の卵、サポーターの卵


LV:11

体力:200/201

魔力:198/198

攻力:65

防御:26

俊敏:32

抵抗:21%


スキル:魔法〈初級火属性、初級水属性、スリープ〉、魔力譲渡(弱)、鑑別


状態異常:ダンジョン恐怖症(中度)


ーー備考ーー


状態:焦燥、不安、恋する乙女

身長:159*、体重:**6*、スリーサイズ:B7*,H*2,W**

特技:裁縫,料*

*味:押し花,*書,一*遊び

性格:*任感が*い、男嫌*-・・*・*、*--*…




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「なるほど、鑑別スキルの発現と・・それから魔力値もだいぶ上がってますね」


「本当ですか!?や、やった、鑑別スキル!!」


「まぁ、恐怖症の方は、自信がつけば解消できるでしょう」



ご褒美に彼女の頭を撫で撫でしてあげると、何時ものつり目が猫のように細くなる。


この子はもともと魔法の適性が高い。

何度か魔法使いになる事を勧めたのだが、まったく話を聞いてくれない。


ふと視線を感じると、頬を赤くしたイレーヌさんが、なにか言いたそうにしていた。




「そ、それで先生。今回は大丈夫(・・・・・・)でしたか?」


「もちろんです、ちゃんと加減はしましたよ」


「そうですか、良かった」



何故イレーヌさんが、ホッとしているかという話だが、実はこの【魔眼】を使ったのは今回で2度目になる。

しかし初めての時に、私は彼女を丸裸にしてしまったのだ。

いや、別に衣服を吹き飛ばしたとかではない。



ただ、ステータスは当然の事ながら、思考、趣味、果ては恥ずかしい秘密から使っている石鹸まで。

実にありとあらゆる情報を読み取ってしまい、泣かせてしまった事がある。



それ以降は、プライベートやらデリカシーやらで、気をつけるように言われて、普段使っている鑑識スキルを使うようにした。

所々モザイクがあるのは、その辺を少し手加減しているからだ。




「では、私はこれから明日の為の準備をしに戻ります。朝8時に東門の前で待ち合わせです。あなたも持ち物一式忘れないように」


「はい先生、では正面口までお見送りさせて下さい」




二人はそのまま正面口へと歩き始める。

イレーヌは元貴族という事もあり、こういう気遣いや作法が当たり前に出来るいい子である。


しかし、その気遣いを台無しにしてしまうのが、このシルヴィア先生なわけで。




「そういえばイレーヌさん」


「どうかしましたか、先生?」


「男嫌いのあなたが恋をしているとは、大変な苦労をしているのではないですか?」


「・・・・・・え?」




たまには先生らしく、相談に乗ってあげようと思ったシルヴィアに、イレーヌの足はピタリと止まってしまった。




「それに、一人で遊ぶほど寂しい思いをさせていたとは、私も反省し・・・おや?」




イレーヌさんが横にいない事に気づき振り返ると、叫びながら走り去っていく彼女を見つけた。


「やっぱり、全然わかってなかった〜〜〜〜っ、先生のバカ〜〜〜〜ッ!!」




そして私は気づく。



「・・・また、やってしまった」



そんな訳で学校です。


今回からちょくちょくステータス開示します。(本当に偶にです)


またスキルについて一応の補足です。

鑑定スキルには3段階あります。


鑑別=そのアイテムや武具の種類や名前がわかります。


鑑定=そのアイテムの種類や名前に加えて品質が、また武具なら追加効果や状態もわかります。


鑑識=無機物に限らず、人やモンスターといった生物の名前やステータスもわかります。ただし、このスキルは熟練度により精度が上がっていきます。

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