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したたらずなわけは、

二ヶ月ぶり更新。

前話参照推奨です。

 




『かじゅちさまー』


『おささまっ』


 寝台の中で既に身体を起こしていた落人おちゅうどの娘へとカヅチが歩を進めると、道を開けながらもちいさきもの達が舌足らずな“言葉”でさえずりつつ、わらわらとカヅチの足元へと群がってくる。


『ひーさまおきたっ』


『おめめっおめめっ』


『おめめあいたー』


「お前たち、少し黙っておれ」


 何やら一生懸命に報告をしようとするちいさきもの達に静かな声で諭すと、カヅチは寝台の傍まで近寄り、見上げる娘に声をかけた。


「――具合はどうだ」


「……ありがとうございます。

 体調は頭が少しふらふらするくらいで特に問題ございませんわ」


 頭を下げて礼を言った娘はまだふらつくのか頭を少し振りつつ答えた。


「そうか。……まあ命が助かったのだからそれくらいは我慢せよ。

 横腹への衝撃で頭が振られたのだろうが、すぐに良くなる。 それ以外に痛みはないか?」


 カヅチの言葉の何に反応したのか、静かにしていたちいさきもの達がまた騒ぎ出した。


『おててびしーっ』


『ひーさまびししーっ』


『おうでいたたいっ』


「黙っておれと言うに」


 そう辛抱強くちいさきもの達へ返すカヅチに、娘はどこか困り顔で恐る恐るというように、カヅチへ尋ねた。


「先ほどから……もしかして、この子たちとお話、していらっしゃるのですか?」


 何を分かり切ったことを聞く、とカヅチは眉根を寄せたが、しかしすぐに娘が異界から落ちてきた人――“落人”であり、上位種のこともちいさきもののことも獣人のことさえ知らぬことを思い出す。


「そうだ。 と言うても異種族のお前には、この者達の言葉は聞こえぬだろうが」




 カヅチの種族はこの世界――“獣人世界”の種族の中でも、少々毛色の変わった一族である。


 大体の他の種族は、上位種ならば人の姿をとる“人化”をしていても、同族のちいさきものの言葉が理解出来る。

 しかし、カヅチの種族は元々が獣形をとっている際に発声器官を利用しての会話をする種族ではない。

 そのため、上位種であるカヅチなどが人化をしている場合は、同族でもちいさきものは“発声での会話”をしないために意思疎通が難しい。

 だが、一種独特の“言葉”――共感能力によってそれを可能としている。


 そもそも“共感”とは、相手の意思や気持ちを感じ取ることを言うが、カヅチの一族ではそれに加えて、自分の意志を相手に感じさせるのもその能力の内なのである。


 相手の意思を汲み取る能力は、生きていくのに必要不可欠だからか、生まれて暫くすればすぐに感じ取れる(つかえる)ようになる。


 相手にこちらの意思を伝える能力は、二段階だ。

 まだ幼いちいさきものはまず、一段階目の能力として、身体の一部に直接触れて己の意思を伝える“接触型共感”を覚える。


 そこから成長していくと二段階目として、接触していなくても人化した同族の上位種とまるで言葉を話すように意思疎通が出来る“非接触型共感”が出来るようになっていく。


 これらは、元々が言葉をあまり必要とする環境に棲む種族ではなかったので、その代替として相手の意思を言葉を聞くかのように汲み取り更に伝える力が発達したのではないか、と言われている。



 非接触型は接触型とは全く異なる感覚の能力なために、ちいさきものが使いこなせるようになるのには苦労を要するため、習得は一語、二語から始まる。

 上位種が、まだ幼いちいさきものの言葉を舌足らずな言い回しに感じるのは、接触・未接触で“言葉”の習熟度に差があるからだった。






 

世界に違和感な設定だったようなので、大元の喜多美耶子様や、竜族の御紋様にご助言頂き設定変更。

……説明文も長くなった上にもしかすると前話までと違和感があるかも知れないのはそう言う訳です。筆力不足申し訳ない。


取り敢えず無い頭ふりしぼったので、世界観を崩してないと良い、な… 




という希望的観測。


2011.2.13

読み直したら致命的な間違いがありました…あ″ー

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