Ex詠.1 見習い司書と村の異変
誤字報告ありがとうございます。
誤字はどこかしらで出てくると思うので引き続きよろしくおねがいします!
他視点からの回です。主人公は女の子だぞ。
考察ギルド「シェル」の一員であるUtaka(本名:風見 詩)は、イッチエリアの村の一つ、通称ホーン村に駐在司書として都市部から派遣されていた。
レアな天恵[ ★詠み人 ]をもち、種族[ ★大陸人 ]であることから大陸語の書物から得られる情報が多いウタカ。
考察ギルド、そしてそのすすめでNPCが運営する「大陸図書館協会」に所属したはいいものの、まさかこんな初期地に近い、しかも次エリアとは逆方向の村に配属されるとは、当時夢にも思わなかった。
そしてそれをシェルのギルドマスターであるΣag!c0(マギコ : [賢者]のトッププレイヤー)が
「いいじゃ〜ん。 ちょうどホーンに支部なかったし支部長やっちゃいなよ〜」
と無責任に送り出してきたのも、もちろん想定外だ。
(時間がいっぱいあるわけでもないし、穏やかな村でTipsの一つでも見つけられたらラッキーかな)
自分が配属されるまで適当に置かれていた本や巻物たちをタイプ、著者、あいうえお順に並べていく。
とはいえ、しっかりと装丁された本はごく一部で、糸とじされただけのもの、折り重ねられただけのもの、硬い紙に書かれただけの巻物などが大半を占める。
それらを丁寧に保管するため、村の職人に防虫作用のある木材で箱を発注したり、なくなっても構わない本のみを置いた「読書カフェ」を空き倉庫を利用してオープンしたりと、それなりにスローライフを満喫していた。
そんなウタカのもとに、ひとりの老人が訪ねてきた。
「おーい、今日はウタカ先生はおるかね〜」
「はい、おりますよ。 フランツさん、本日はどうなさいましたか?」
「東の畑だが、最近よく収穫中に袋ごと持っていかれてしまっての。
少し前までならゴブリンに気づいてすったもんだして、追い返せたり持っていかれたり。
たまに怪我する連中もいて困ったもんだったが、最近は誰も気づかないうちに持っていきよる。
もしかするとゴブリンの中に盗みのうまいやつでもいるのかと思って、図鑑を調べに来たのじゃ。」
「かしこまりました。ちょうど図鑑の棚に昨日、『図解 イッチ地域の魔物対策』を整理したところです。
ただ、ホーンの周辺ではゴブリン上位種や変異種は知られていなかった記憶ですね……」
「そうなのじゃ。しかし、ウタカ先生も聞いてないとなると、ネームドかもしれんのぉ」
シェルのモットーは「疑わしくは内部共有・外部秘」。 即座にギルド長にメッセージを送ると、
〈それは興味深い! 進化はトレンド情報だから、いますぐ一緒に調べに行こ〜!〉
「ってことできちゃった☆」ブウン
「マスター! 確認もせずに転移なんかしないで下さい! フランツおじいちゃんが腰抜かしてます!!」
「ごめーん! でも今すぐ調べなきゃ! ほらほら!」
トッププレイヤーの筋力で腕を引かれ、なすすべ無く本日の図書館は閉館となったのであった。
ということで、ちょっと[シェル]を掘りつつ、クラウくんの存在がどう映るかをやっていきたいと思います。
スッキリ一段落させて、好評そうなら単独化を目論んでみたり。
ご意見お待ちしてます。