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愛が重いだけじゃ信用できませんか?  作者: 歩く魚
第3章

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結果発表

「結果発表〜〜〜」


 ノリの割にやる気のない声。

 七緒と合流した俺たちは、その辺にある公園に向かった。

 そして、彼女のMCのもと俺に意見が求められている。


「……俺はどうすればいいんだ?」

「二人のデート、どちらがより楽しかったかを選んでもらいます。それで選ばれた方が、三番勝負二戦目の勝者です」

「えぇ……」


 紫の方をチラリと見る。


「この勝負を取れれば勝ちにグッと近づくね。自信はあるよ」


 助け舟とか出してくれないかと思っていたのだが、むしろ勝敗が決するのを望んでいる側だったようだ。

 いや、正直言って無茶振りすぎる。

 テストの点数とかスポーツの記録と違って、どちらのデートが楽しかったかというのは完全に主観で決まってしまう。

 二人はそれでも良いと言っているのだし、決めてやりたいのだが……。


「ちょっと考える時間をもらっていいか?」


 了解を得て、俺は今日一日……というかここ2時間の出来事を考えることにした。

 まずは七緒とのデートだ。

 ご飯を食べるのはデートの基本とも言える流れだし、特別なことをしなくても良いというのは居心地の良さに繋がる。

 その後に行ったのはウェアヒーローカフェだったな。

 今まで知らなかった七緒の一面を知ることができたし、俺も懐かしい気持ちになれた。

 派手さはなかったが、精神的な充足感のあったデートだったと言える。


「どうですか?」

「もうちょっと待って欲しい」


 対する紫のデートはどうだろう。

 最初は本屋に行ったんだったな。

 世界各国を特集している雑誌を読むのが趣味ということを知れたし、彼女の音楽に対する気持ちも感じた。

 次に行ったのはカラオケだった。

 時間にして7割くらいを抱きつかれて過ごしていた気がするが、最後に聴かせてもらった歌声は本当に素晴らしかった。

 こちらもまた、精神的な満足が得られたと言える。

 強いて減点があるとすれば、彼女の香水の匂いが俺の身体に移ったことで、隣を歩いていた七緒に睨まれたことくらいだろう。

 ……さて、ここまで考えたことで、俺が述べる言葉は決まった。


「引き分けです……」

「そうですか」

「……ん」

「…………おお?」


 この後、「どうしてどちらかに決めないのか」と詰められることを覚悟していたのだが、現実は想像と180度違っていた。

 勝敗がつかなかったというのに、紫はやり遂げたような顔で、七緒は腕を組んで何かを考えている。


「てっきり、俺がはっきり決めないから怒られるんじゃないかと思ってたよ」


 逆に気になってしまったから素直に聞いてみる。


「私は古庵くんと一緒にいれただけで満足だから。負けたなら悔しいけど、引き分けならまだいいかな」


 そういうものなのか。

 でも、今まで紫の二人きりで出かけたことはないし、そう考えると彼女にとって進展している……のか。


「七緒はどうなんだ? 悔しがるかキレるかすると思ったんだが」

「もちろん悔しいですよ。でも、これもまた私の……いえ、なんでもありません。とにかく、次が最後の勝負ということになりますね」


 何を言い淀んだかは定かではないが、今は次の勝負の内容の方が気になる。


「次も俺が必要だったりするか?」

「もちろんです」


 もちろんなのか。

 できれば関係ない内容でやってほしいものだ。


「それじゃあ発表します。次の勝負内容は……」


 メガネをきらりと輝かせながら七緒が口を開く。


「依頼を解決してもらいます」

「…………依頼?」


 紫が不思議そうに反応する。


「はい、依頼です。時期も内容も決まっていませんが、次にKLに持ち込まれた依頼を解決してください。無事に解決できたらあなたの勝ちです」

「それは私一人の力でやり遂げるものなのか、古庵くんと一緒に解決に当たっていいのか、どっち?」

「先輩と二人で構いません」


 あぁ、だから俺もいないといけないのか。

 というか、次の依頼がどうとか、彼女に実権を握られかけている気がする。


「それで、どうしますか? 怖気付いたならやめても構いませんよ。むしろそれなら――」

「いや、やるよ。不安じゃないって言ったら嘘になるけど、これをクリアしたら古庵くんと同じサークルに入れるんだもん。日向ちゃんも、言ったからには認めてね」

「もちろんです」


 強気な紫と不敵な笑みを浮かべる七緒。

 俺はもちろん、紫を全力でサポートするつもりだ。

 もちろん理由はある。

 このまま七緒と二人でサークル活動を続けた場合、おそらく彼女からのアプローチはさらに過激なものになっていくはずだ。

 そんな時、紫がいてくれれば二人で潰しあってくれる。

 化物には化物をぶつけるという寸法だ。

 しかしながら、何故七緒がこんな簡単な勝負を行うかが分からない。

 正直な話、依頼なんて俺一人でどうにかなってしまうことがほとんど。

 紫が寝ていようがなんだろうが、もはやサークル加入は決まったようなものだ。

 だが、七緒にもそれは分かっているだろうにどうして……?


「それじゃあ、今日は帰りましょうか。お手並拝見させてもらいますね?」


 俺の疑問は晴れないまま、三人は解散することになる。

 まぁ、何であれ大した依頼は来ないだろうし、気楽に待っていよう。

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