第8章 義理の両親
第8章 義理の両親
8‐1
「お邪魔しまーす…」
「いらっしゃい」
初めて見る顔が私を迎えてくれた
「あっあのっ」
私がそう言うと「まず中に入って」と言い、私の背中を無理やり押した
客室と思われる畳が敷いてある部屋に案内された
「なっちゃん、おはよう」とこうちゃんは背後から私の頭をポンと叩いた
私とこうちゃん、こうちゃんのお母さんとお父さんと春乃ちゃん
私達5人は同じ空間に集まった
少しの間、沈黙だった
その重い沈黙破ったのは私だった
「初めまして、現在航祐さんとお付き合いをさせていただいている愛坂夏美です」
私は笑顔で向かい側にいる3人に言った
「お父さん、お母さん、僕、この家を出ます」
こうちゃんは一気に言った
8‐2
「何言ってんの?お兄ちゃん」
春乃ちゃんは不満気に言った
「春乃、ごめんね。僕ね、お父さんになるからさ」
そうこうちゃんが言った瞬間こうちゃんの御両親が顔を合わせた
そして
「航祐、どういうこと?」とこうちゃんのお母さんは言った
「僕の彼女のなっちゃんのお腹の中に僕達の赤ちゃんがいるんだ。
で、昨日なっちゃんの御両親に挨拶に行って来た。そして2人で暮らせって
言われたんだ。もし本当に2人で暮らせるなら、生んでいいって彼女の
お父さんが言ってくださったんだよ。だから、2人で暮らす」
こうちゃんは言った
「暮らすにはお金が要るだろう」
とこうちゃんのお父さんが言った
「お金はうちの父が毎月くれることになりました」
と私は急いで言った
「航祐大丈夫なの?」
「うんっ、僕お父さんとお母さんみたいな仲のいい夫婦になるよ」
その後はほとんど会話も無く私はこうちゃんの家をあとにした