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みやこ

「うんまうんま。いつ食べてもリンゴは美味いな!」


 ガラガラゴロゴロ。パカラパカラ。


「それにしても、王都というのはそんなに遠いのか? なぁファラエル!」

「いえ、ほら、草地が広がってきてでしょう。あの先にある白く輝いているものが見えない? あれが王都よ、シグルデちゃん」

「おおー! ついに着いたのか! どれだ!」

「ほら、あの白い塔……見える? 屋根や城壁が白く輝いているでしょう!」

「おお! しかしだ、時に重要な事を聞くが王都のリンゴは美味いのか?」

「国中から商品が集まってくるわ。どの店で美味しいリンゴが売っているのかは、シグルデちゃんが実際に食べ比べてみてね!」

「おおおおおお!」


 ガラガラゴロゴロ。パカラパカラ。


「ねぇアレフ、王都だよ?」

「そうだ。俺達の英雄への第一歩だ」

「楽しみ?」

「おう、俺は楽しみだ! ジュリアは?」

「私も楽しみ!!」

「アレフさんは既に英雄ですよ。みなさんが知らないだけ。『役立たず勇者の詩』を王都で広めて見せましょう。アレフさんたちは王とで直ぐに人気者になれるはずです!」

「エリフキンさん、途中何度も危険な目に遭わせて済みませんでした」

「いえいえ。良いネタを沢山仕入れる事がで来ました。幸先の良いスタートが切れそうです!」

「そう言ってもらえると助かります。アレフさん、みなさん、本当にお世話になりました!」


 ◇


 王都の城壁が迫ってくる。

 こうして近くで見るとその巨大さがわかる。

 見れば、城壁の外にも市が立っている。



「アレフ君。馬屋があるわ。馬車はここで預かっていてもらいましょう。外に冒険にでるとき、引取りに来ましょ?」

「はい! でもさすがファラエルさん。細かいところまで気が回りますね」

「ふふふ、もっと褒めても良いのよアレフ君。その方がお姉さん、嬉しいわ」

「それじゃ、エリフキンさんともここでお別れ?」

「そうですね。お世話になりました、みなさん!」

「元気でな、エリフキン!」

「じゃあね、色々とありがとう!」

「またお会いましょう」


 ◇


「ここが王都……」


 俺は思わず声に出していた。


「おおおおおおおおおおおおおおおおお! この全ての店でリンゴを売っているのか! 凄いな!!」


 大門を潜ると、大きな通りが王城に向かって延びている。

 大小の塔を持つ建物もあれば、瓦屋根の建物もある。

 とにかくそれがみっちりと詰まっていた。

 そして通りの両脇には市が立っていて。

 うん。俺達の街とは違う。凄い賑わいだ。


「アレフ? シグちゃん? とりあえず冒険者ギルドに登録しなおしちゃいましょ?」

「え? あ、うん」

「こっちよ。ついて来て?」


 ◇


 ファラエルさんに連れられて。

 俺達は冒険者ギルドの戸を潜る。


「ここが王都のギルド。街のギルドが大きくなったものと考えてもらっていいわ。さぁ、再登録しちゃいましょ?」

「ファラエルさん。サンディさんのお姉さんのシンディさんって方が受付をしているはずなんだけど」

「そうなの? ま、とにかく受付に行って見ましょう」


 と。その中の一人に目が行く。


 流れるような金髪が目を引いた。

 サンディさんそっくりの美しい巻き髪。

 あの人がシンディさんなのだろうか。


「きっとあの人だよ!」

「じゃぁ、あの人のところへ」


 ◇


「ああ、あの街から来られたのですね。王都のギルドへ所属を変更ですか?」

「うん。あの、受付のサンディさんから聞いてきたんです。受付にお姉さんが勤めてあるって」

「あら。妹の……そうですか。私がサンディの姉のシンディです。よろしくお願いしますね?」

「あ、そういえばサンディさんからシンディさんにお手紙を預かっています」

「ぇ? そうですか、それはありがとうございます」

「ええと、アレフさん、と。ちょっと失礼しますね。<<鑑定>>


 アレフ 人間 男 15歳

 冒険者レベル:15

 スキル:剣士     習熟度A

     竜殺し    習熟度D

     才能限界突破


 これは……! 何ですかこのアレフさんのレアスキルの山は! お仲間を組まれている方の実力も中々のようですし、かなり良い線行ってますよ!?」

「いやぁ、それほどでも」

「いえいえ、ご謙遜を。サンディやるわね……こんな原石を掘り当てていただなんて!」

「原石?」

「いえ、私アレフさん達の事を褒めたんですよ! ええと、軽くご説明しちゃいますね。王都の冒険者ギルドには酒場は併設されていますが、宿は別になります。来られた街と違い、宿は別に取ってくださいね? 宿舎をギルドに併設しても良いのですが、なにせ冒険者の方も結構な人数になりますのでそれは無理なんです」

「宿、か」

「馬小屋か!? 馬小屋だなアレフ!!」

「シグがそれで良いなら良いけれど……良いの?」

「ロイヤルスイートとは言わないけれど、馬小屋はちょっとねぇ……って、アレフ君がそれでもいいなら、お姉さんは我慢するけど?」

「ジュリア?」

「私は教会での質素な生活に慣れてるから……」

「ならば、馬小屋だな!!」

「てか、城門の外の馬屋かな。馬車もそちらに預けてるし」

「はぁ、夢のロイヤルスイート生活は諦めて、っと。お風呂は大浴場まで通うようにしましょうか」

「馬屋……というと、来られた方角から行って東門の『パカパカ亭』ですね? では、緊急時の連絡先はそこ、と言う事で」

「はい、シンディさん。よろしくお願いします!」

「こちらこそ、みなさん」

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